今年も強いか? 九州勢!~全国高校選抜団体競技(男子)

本日の個人競技に引き続き、明日は団体競技が行われる全国高校選抜大会ですが、昨年夏にはチームの中心だった3年生が抜け、新入生はまだ入っていないというこの時期、どこのチームが強いのか? 毎年のことながら、予想するのは難しいです。

こういうときに頼りになるのは、昨年のインターハイのメンバー表です。往々にして、昨年のインターハイ時に3年生が多かったチームよりも、1,2年生が多かったチームのほうが、チームとして完成している可能性が高いのです。

その観点で見れば、男子では、盛岡市立高校(岩手県)、埼玉栄高校(埼玉県)、甲府工業高校(山梨県)あたりには期待できそうです。そして、なんと言っても昨年のインターハイ覇者・青森山田高校(青森県)。このチームも、昨年のインターハイ登録メンバー8人中5人が1,2年生だったのでかなり期待できると思います。

青森山田のライバルとなりそうな神埼清明高校(佐賀県)は、なんとインターハイの登録メンバーで残っているのは2人だけ。そこだけを見れば「神埼ピンチか?」とも思えますが、なにしろジュニアの育成体制が強固な神埼です。しっかり力のある後輩たちが控えていて、今年も強いことは間違いなさそうです。(そもそも昨年の全日本選手権にも新チームで出場していました。)キャプテンの浅田匠選手も「目標は連覇」と迷いなく口にしました。「先輩たちも勝ってきているので、それしかないです」と、その言葉は頼もしいものでした。

昨年は、想定外の強さを見せ、全日本選手権での決勝進出まで果たした鹿児島実業高校(鹿児島県)ですが、こちらも8人中5人が3年生だったため、その穴は大きそうです。しかし、実際に、選抜直前に見た鹿児島実業の練習では、「今回が初めての全国大会」という初々しい選手も多いながらも、彼らの地力がかなり上がっていることを感じさせる仕上がりでした。たしかに去年のチームほど強いとは言えないかもしれませんが、ほとんどの選手が高校から新体操を始めたというこのチームがここまでやれるというのは、驚きです。

もう一つ、ちょっと驚きの伸びを見せているのが小林秀峰高校(宮崎県)です。昨年は鹿実の躍進もあり、定位置だった九州2位の座からも陥落。インターハイでも11位と全日本出場権を獲得できず、小林秀峰にとっては苦しい年でした。しかし、繰り上げで出場できた全日本選手権では、まとまりのある演技をきっちりと実施し、予選11位と健闘。小林復活! の兆しは見えていました。

それでも、これまでは常に大所帯だった小林秀峰ですが、3年生が卒業した現在の選手は7人。かつてない少なさです。コロナ禍の3年間でかなり様変わりしてしまい、苦しい状況にあることは想像できたので、選抜直前に訪ねてみました。正直、「今回の選抜は難しいだろうけれど、夏に向けて上がっていくことを期待して」の訪問でしたが、なんと! 想像をはるかに超える演技を彼らは見せてくれました。

たしかに昨年の春~夏は苦戦していた小林秀峰ですが、全日本出場権を逃していたため、インターハイ後はすぐに新チームで始動。急に出場が決まった全日本選手権での素晴らしい演技はその賜物だったのです。今回の選抜はそのときのメンバーとは1人入れ替わっただけ。これは侮れない! と感じました。

唯一の2年生でキャプテンの坂元凌選手は、「高校生の間に一度は全国大会でメダルを獲りたい」と目標を語ってくれました。

「昨年の選抜やインターハイもチームの状態は悪くはなかった。ただ、試合会場では空気に飲まれて力を出し切れなかったので、今回は自分たちが周りをのみこむんだ! という気持ちでいきます。そのためには練習からしっかり声を出すことが大事だと思っています。」

 同期がいない中でキャプテンを務めるのは苦労が多いのではないか? と訊いてみると「大丈夫です。後輩たちはみんなちゃんとしているので、1人でもとくに大変ではないです。」という答えが返ってきました。

 今大会、選手の中では1人だけ控えに回っている堀添啓仁選手は、昨年の全日本にはメンバーとして出場していた選手です。しかし、今回はチームのサポート役に徹しています。例年なら、控えの選手も多い小林秀峰ですが、今年は1人だけ。サポート役も大忙しです。坂元キャプテンは「練習から声を出していく」と言っていましたが、そこでも堀添選手の役割は重要になってきます。

「自分もメンバーに入っていたジャパンに向けての練習や本番でいい経験をさせてもらった。今回はフロアの中で演技する6人がやりやすい環境を作れるように自分にできることを精一杯やろうと思っています。」

 今回はフロアには立たない堀添選手ですが、サポート役で学ぶことも得るものも大きいに違いありません。まだ1年生。この夏やその次の夏にもまだチャンスはあるのだから。彼にとっても、一時期の苦境から抜けつつある小林秀峰にとっても、この選抜大会の持つ意味は大きなものになりそうです。

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