映画「バクテン!!」公開へのカウントダウン企画⑪~2011国士舘大学

今日は7月2日に迫った「バクテン!!」の公開に先立ち、あちこちの映画館で完成披露上映会も行われてるようで、あちこちから「よかった!」「感動した!」「これが青春だ!」といった感想が聞こえてきている。

※「バクテン!!」完成披露上映会レポートはこちら ⇒ https://aniverse-mag.com/archives/128866

映画「バクテン!!」、期待を裏切らない出来のようだ。楽しみで待ち切れない公開まで、あと21日!!!

そして、今日も昨日取り上げた『DDD』のアーティスティックスポーツ増刊号(2011年4月発行)に掲載された国士舘大学の記事を紹介しよう。

振り返ってみれば、この2010~2011年が国士舘の団体は一番しんどい時期だったように思う。その後は、徐々に復活し、インカレでも青森大学に限りなくて迫った年もあったし、2020年の全日本選手権では2008年以来の優勝も成し遂げている。個人では、斉藤剛大や福永将司、川東拓斗ら全日本チャンピオンも輩出しているが、これはまだそれより前の国士舘大学の貴重な記事だ。

雪辱に燃える国士舘大学の練習に潜入!
~男子新体操団体の魅力とは?

(『DDD』2011年4月増刊号掲載)


 男子新体操の名門・国士舘大学は2010年、 苦い思いでシーズンを終えた。
 1年を締めくくる全日本選手権で、団体4位に沈んでしまったのだ。 ライバルの青森大学に負けただけでなく、 花園大学、そして社会人チームの烏森RGにも抜かれた。
 あの全日本選手権から4ヵ月。 国士舘大学が、 新しいシーズンに向けての団体作品の練習をしているというので観に行ってみると、 すでに作品はほとんど完成していた。
 「こんなに早い時期に完成しているのは、正直珍しいです。」と山田監督。 今シーズンに懸ける意気込みの表れであると同時に、 実は 「今年のメンバーは、強力な選手が少ないので、時間をかけないと勝負できない」 というチーム事情もあるのだそうだ。
 

 かつては「男子新体操と言えば、国士舘」という地位は揺るぎないものだった。強い選手はみなこぞって国士舘に来た。しかし、今は、そうではない。今の国士舘には高校時代にはビッグネームではなかった選手も多いが、その分、のびしろがある。「それをなるべく伸ばして、チームを強くしていくのが私の使命」と山田監督は言う。
 練習に目を移すと、 そこではフロアマットいっぱいに男子6人の造形美が繰り広げられていた。 男子新体操の魅力あるダイナミックなタンブリングだが、実は練習では毎回フルに本番同様のタンブリングは入れていない。 タンブリングを多くやりすぎるのは身体への負担も大きく危険だからだ。 「分習」と言われる、1つの作品をいくつかのパートに分けて行う練習では、ほとんどタンブリングは入れずに、徒手と言われる動きや倒立、バランス、 柔軟などの練習を、驚くほど回数多く繰り返す。


 

 はたから見れば、一糸乱れぬように見えた動きも、「腕の角度が少しズレた」「ひざを折るタイミングが1人遅かった」など、細かいチェックが入る。それはほんのわずかな差にすぎないのだ。しかし、これでもかというところまで揃え、すこしでも美しく見える形を追求する。 男子新体操団体の演技は3分。 その数秒ごとにこれをやるのだから、気の遠くなるような作業だ。 しかし、彼らは飽きることなく、ひたすらにこの練習を行う。 「そのくらいの違いはどうでもいい」とは誰も言わない。
 「男子新体操は、総合的なスポーツで、ダンスやアクロバットなどいろいろな要素が盛り込まれています。 だから、 一秒一秒すべてが見どころなんです。 派手なタンブリングや、バランスなどもきちんとやるのは当然ですが、 その間の動きがただのつなぎや準備になっていてはダメなんです。 その間の使い方がうまくいくと、3分で1つの映画を見たような感覚を与えることができる、 それが男子新体操の団体なんです。」と山田監督は言う。そして、団体リーダーの蜂須賀竜太 (新4年) も、 「集団でここまで揃えることを求めるのは珍しいし、そこが面白いと思う。 細かい部分を揃えるのは大変ですが、 できたときの達成感はとても大きいです」 と言った。
 昨年のドラマや舞台の影響もあり、 男子新体操の知名度は確実に上がってはきた。しかし、実際に見たことはない人が多いだろう。ぜひ一度、見てほしい。YouTubeなどの動画でもいい。 一度見れば、そのすごさはわかるはずだ。まさに、「百聞は一見にしかずなスポーツ」。 それが男子新体操なのだ。

~映画「バクテン!!」公開まであと21日~

※映画公式サイトはこちら。 ⇒ https://bakuten-movie.com/

TEXT:Keiko SHIINA