全日本選手権に向けて~国士舘大学編

さあ、いよいよ今週末(11月7日~)から全日本選手権が始まる。

ジムラブや、前身である「新体操研究所」では、新体操界では最高峰といえるこの大会をなんとか盛り上げたいと、長年にわたり、選手の紹介や写真掲載などをやってきた。

2011年からコロナ前あたりまではかなりの濃度でやってきたと言えると思っている。

が、ちょうどコロナ禍からなんとか脱して、大会も有観客があたりまえになってきたころから、取材申請が非常に厳しくなってきた。

たしかに、これだけ肖像権や個人情報の保護に神経を使う時代になってくると、ひと昔前のようにWEBマガジンに掲載されることを歓迎する人ばかりではなくなっているんだろうとは理解できる。

そんな状況変化もあり、今は、ほとんどの大会で写真は撮れなくなった。

なので、以前のような「全日本選手権事前記事」を写真つきで書くことも難しくなってしまった。

しかし、今では各所属がさまざまな形で、選手たちの情報や声(それもかなり素に近いもの)を発信してくれるようになった。

今回も、国士舘大学の男子新体操部は、「全日本選手権に向けて」の意気込みインタビューをYouTubeチャンネルで公開してくれているので、ぜひこちらも見てほしい。

※国士舘大学男子新体操部YouTubeチャンネル ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=Vcnwg7WT51M

ほかにも、Xでは「妄想ポスター」なるものが多数投稿されている。これも、ファンが少しでも全日本選手権を盛り上げようとやっているいわゆる「推し活」の一種だが、ポスターはかなり秀逸な出来で、全日本選手権へのワクワク感を盛り上げてくれる。

※「妄想ポスター」はこちらのアカウント(実況や事前情報など多くの有益な発信をされています) ⇒ https://x.com/Ganymede_V_oo_V/status/1985003790320460277

 

そんな状況変化もあり、掲載可能な写真は極めて少ないのだが、「新体操フェスタ岐阜」では、撮影することができたので男子に関してはこの大会で撮影させていただいた写真で出場選手を一部であるが紹介していきたいと思う。

まずは国士舘大学。

上記のインタビュー動画を見てもわかるように、今年の国士舘(個人)は、4年生が多い。

試技順(スティック)1番の野村壮吾、11番の星野太希、31番の赤羽拓海の3人が4年生だ。

野村壮吾は、昨年の全日本選手権では個人総合5位とブレイク。今年は4年生でもあり、インカレも優勝候補の一人、それもかなり有力候補と目されていた。しかし、全日本インカレでは3位と、ここまでやや不完全燃焼気味な試合が続いている。

身体能力が高く、疾走感あふれる演技が持ち味の野村の演技は、見ていてワクワクするし、本人も気持ちよく楽しく演技しているように見える。高校時代にはユースチャンピオンになったこともあり、大学時代いつ頂点を極めてもおかしくない素材には違いなかった。が、そんな自分の立ち位置をいい意味であまり分かっていないような、そんな軽やかさが彼の強みでもあったように思う。

「大学4年生」という特別な年に、特別だからこそ予想以上の力が出る選手もいれば、その「特別さ」を重く感じてしまう選手もいる。今年の野村は、後者だったのかもしれない。しかし、全日本選手権は、学生として出場する最後の試合だ。泣いても笑ってもこれが最後! 楽しまなきゃ損! そんな風に吹っ切れたとき、野村壮吾の能力と魅力はフロアで開花するんじゃないか。そんな気がしている。

 

星野太希も、昨年の全日本選手権では個人総合18位とまずまずの成績を残している。

たしか昨年の彼は、インカレでは全日本枠に入れず、最後のチャンスだったクラブ選手権での滑り込みジャパンだったと記憶しているが、それで全日本での18位は凄い。大事な試合で、力を出し切れたと言ってよいだろう。今年は、全日本インカレで11位に入り、しっかり全日本の出場権をつかんだ。彼の持ち味は、なんと言ってもそのドラマチックな演技力だ。タンブリングや手具操作よりも、いわゆる「表現力」で魅せる選手。彼の演技を見ていると「自分はこういうものを伝えたい」という思いがストレートに伝わってくる。そんな選手が迎える学生最後の全日本選手権。そこで彼はどんな思いを伝えてくれるのだろうか。

 

赤羽拓海も、もう4年生。小学校3年生のときに、テレビ信州杯のキッズ選手権で、基本に忠実でとても丁寧な演技を見せてくれたのがつい昨日のことのようなのだが、もうあれから10年以上たってしまった。キッズのときから変わらない彼の良さは、ベーシックで美しく雄大な体操ではないかと思う。それでいて、手具操作でもかなり果敢に攻めてくる。それゆえか、ややミスは多い印象があったが、最後の年の全日本インカレで10位という好成績をあげ、全日本選手権までたどりつくことができた。とくにロープでは、この種目2位となる会心の演技。その1本が最後のインカレで出る。その粘りが素晴らしいと思う。どうかこの大舞台を楽しんでほしい。

 

3年生の貝瀬壮は、試技順2番で登場する。

今年度の東日本インカレチャンピオンだが、全日本インカレでは9位。高3の時は、ユースチャンピオンシップで優勝しているが、インハイでは優勝を逃している。線や動きの美しさでは卓越したものをもち、手具操作の多彩さにも磨きがかかってきているが、なかなか連勝できない。ライバルの多さもさることながら、種目によって大きくばらつきが出ることもあるなど、安定感という点で今、一歩抜けきれないでいるように思う。来年は最終学年になる。「4年」の重圧を感じずにやれる今年の全日本は、チャンスだ! 思い切りよく、のびやかに自分の演技をやり切ってほしい。 

 

試技順7番で登場する神山貴臣は、2年生。

昨年も全日本選手権に駒を進めているが35位。しかし、今年は昨年からは大きな進境が見られる。

全日本インカレでは個人総合5位。それも、リングでは15位と沈んだにもかかわらず、他3種目では8位以内に入る高値安定ぶりを見せての5位だ。リングでのミスがなかったらあるいは台のりもあったのでは? と思わせる快進撃だった。

神山は、2019年度の全日本ジュニアチャンピオンだった。国士舘ジュニアで新体操を始め、そこで育ってきたいわば純粋培養。身体能力も高く、ミスの少ないまさに「スーパージュニア」だった。しかし、青森山田に進学してからは、苦労している姿を見ることが多かった。団体ではインターハイ優勝という輝かしい結果も手にはしたが、高校時代の個人の試合ではミスが目立ち、生気なく見えてしまうことが多く気になっていた。それでも、大学で新体操を続ける道を選んでくれたことを嬉しく感じてはいたが、昨年まではまだ本人も半信半疑のような様子も見えていた。が、今年は違った。ミスする種目はあったとしても、自分のやりたいこと、見せたいものをつかめてきた! そんな風に見える。ジュニア時代に、培ってきたトップレベルの基礎力は、こうなってくれば間違いなく生きる! 大学生としてもあと2年。おそらく迷いに迷ったあげく選んだのだろうこの道で、どこまでいってくれるのか、楽しみにしたい。

 

<写真提供:naoko>※貝瀬選手、野村選手除く