この週末、鹿児島実業が真価を見せる!~全日本ユースチャンピオンシップ/男子団体選手権

本日(5/24)から3日間、高崎アリーナにて全日本ユースチャンピオンシップ/男子団体選手権が開催される。

日程や試技順、チケット情報などは以下の日本体操協会のサイトに公開されている。

今回はライブリザルトも準備されているようなので、現地観戦かなわず、の人はぜひライブリザルトでドキドキワクワクしてほしい。

※  ↓  ユースチャンピオンシップ/男子団体選手権詳細はこちら。

https://www.jpn-gym.or.jp/rhythmic/event/36724/

 

大会1日目の今日は、女子個人予選(前半)と男子個人予選が行われるが、注目したいのが男子個人試技順1番の東凰雅(鹿児島実業高校)だ。3月の高校選抜でも個人総合2位になり、その実力は折り紙つき。今回は、試技順1番とやや不運な感もあるが、はじめにガツンと高得点をたたき出すだけの力も今の彼にはある。全日本ジュニアチャンピオンにもなっただけの高い身体能力に加え、このところ手具操作の正確性、巧緻性もめきめきと上がってきており、今回も優勝候補の一角と言ってよいのではないかと思う。

そして、侮れないのが、鹿児島実業高校には東のほかにも、個人選手としての活躍が期待できる選手がいるということだ。

米澤翔太(鹿児島実業高校)は、東とは同級生。持ち前の素直で美しい体操に、このところぐっと力強さも加わってきている。

加治木壱悟(鹿児島実業高校)は、現在高校2年生だが、恵まれた体格から繰り出す体操にはスケール感があり、動きに華がある魅力的な選手だ。

今年は、男子新体操が正式に国スポに復帰する年だ。

7月には九州でも国スポ予選が行われるが、今年は佐賀県が開催地のためすでに出場が決まっているが、佐賀の他にあと1県、国スポに進むことができる。男子新体操激戦区の九州なので、熊本、宮崎、鹿児島、福岡の争いは熾烈だ。中でも、伝統的に団体を中心にしてきたチームが多い九州では、個人でどれだけ点数を伸ばせるかがカギになる。(※国スポは、個人4種目を4人の選手が演技した合計点×1/4に団体競技の得点を合わせて順位が決まる)

鹿児島実業は、近年は「脱コミカル」で団体競技でもしっかり上位を狙えるようになっているうえに、個人競技の選手たちも、エース・東を筆頭にかなりレベルが高い。記念すべき国スポ復帰の年、佐賀と並んで九州代表を狙える位置にいると言えるのが今の鹿児島実業だ。ぜひ注目してほしい。

 

また、大会3日目に行われる男子団体選手での鹿児島実業高校もおおいに注目だ。

2年前の男子団体選手権は、いわば「New鹿実」全国デビューの大会だった。あのとき、鹿児島実業は約20年ぶりに全国大会でコミカル抜きの演技を披露し、衝撃の優勝を成し遂げたのだ。

それ以降、インターハイでも全日本選手権でも、以前は鹿実の代名詞だった「コミカル演技」を封印、それでもしっかり2年連続して全日本選手権に出場するなど、その実力を見せつけてきた。

ただ、一方で、マジメになった鹿実の演技を物足りないと感じる人たちもいたと思う。それは「コミカルがないから」ではなく、ここ2年の鹿児島実業の団体演技は非常にシンプルだったから、という面があると思う。「脱コミカル」で勝負するために、鹿児島実業はこの2年間、潔いくらい「実施重視」に舵を切っていた。それまでは、得点を思えば無駄なこと(ユニークな振り)にあれだけの力を注いできたチームが、その全力を実施を上げることに傾ければ、そりゃそうなる! と思わせる「減点しにくい演技」が、ここ2年間の鹿実の強みだった。

鹿実の練習は、驚くほど基礎を重視している。

大会が近づいてきても、できる限り基礎練習にかける時間を削らず、たとえ初心者で入部してきた選手でも、3年間でかなりの力をつけて卒業させる。そんな練習をしている。その地道さ、ハードさは全国屈指だと思う。以前は、演技のコミカルさゆえに、その力が軽視さていたように感じるが、(コミカル演技ゆえに)インターハイに出ても順位は下から数えたほうが早かったが、彼らの力はそんなもんじゃない!

先日、西日本インカレでは、朝日大学が初の団体で出場を果たし、話題になったが、このチーム、5人中3人が、この春、鹿児島実業高校を卒業したばかりの選手だった。かつては「あの鹿実」と、やや侮蔑的に言われたこともある鹿児島実業だが、その力はすでに周囲が認めることとなった。

彼らは本当に強くなった。そして、大学でも十分通用する力もつけている。

そして。

今年の鹿実はそこからまた一歩進化した。

少なくとも私にはそう見えた。

「実施重視」は変わってないと思う。相変わらず引きどころの少ない、ていねいな演技ではある。

 

が、今年の鹿実の演技には、以前の鹿実を思わせる「勢い」があるのだ。

2年前、「New鹿実」が鮮烈デビューを果たしたこの大会で、今年の鹿実はより進化した彼らの真価をきっと見せてくれる。

大会3日目に行われる男子団体選手権、男子は24チームも出場する大激戦が期待される。

この中で3位以内に入れば、11月に行われる全日本選手権への出場権を得ることができる。

もちろん、鹿実もそこを目指しているだろうが、他のチームも思いは同じだ。

インターハイ予選もまだ終わっていない地区が多いこの時期に、より完成度の高い演技をやり切り、全日本選手権の切符を手に入れるのはどの3チームなのか。こちらにもおおいに注目してほしい。