"稲木選手に続け!" みどり新体操クラブ、大躍進の予感

先日のアジアシニア新体操選手権で、結果的には惜しくもパリ五輪出場を逃すことになったが、限りなく優勝に近い2位となる素晴らしい演技を見せたフェアリージャパンPOLA。そのメンバーの中の唯一の九州出身者が稲木李菜子選手(国士舘大学)だ。

稲木選手は、熊本県のみどり新体操クラブに幼いころから所属し、チャイルド時代から全日本クラブチャイルド選手権でも入賞するなど活躍してきた。ジュニアまでは同クラブに所属していたが、2019年からはフェアリージャパンPOLA入り。

2021年の世界選手権ではメンバーとして団体総合4位に貢献した。

今回のアジアシニア後には、帰省しみどり新体操クラブにも顔を出したようで、そのときの様子が地元の熊日新聞に掲載されていた。

※熊日新聞の記事

 ⇒ https://news.yahoo.co.jp/articles/530e11744a84c076e72ef654f64c12f692d6e3a3

この記事でも、稲木選手の存在が後輩たちにとっておおいに刺激になっていると触れられているが、その刺激はホンモノのようで、今シーズン、みどり新体操クラブの快進撃が続いている。

まずは、5月9~10日に行われた東日本インカレ。この大会でみどり新体操クラブ出身の岩永茉莉亜選手(国士舘大学4年)が優勝。岩永選手もジュニア~高校時代から力はある選手で全国レベルの大会にも出場しているが、優勝にはなかなか手が届かなかった選手だ。身体難度や手具操作の正確さなどは目を引くものがありながら、もう一歩、アピール度が足りない、そんな選手だったのが、大学での3年間、そして現在のルールに対応すべく研鑽を重ねてきた結果、大きな花を咲かせた。

東日本インカレには、ジュニア、高校時代には岩永よりもずっと上の成績だった選手たちも数多く出場していた。その中で岩永が勝ち取った優勝には大きな価値があり、また、「早咲きではない選手たち」には大きな希望となると思う。

東日本インカレでは8位の福永恵子選手(東京女子体育大学4年)も、みどり新体操クラブ出身で岩永とは同級生だ。この選手も高い能力は持ちながら、本番で力を出し切れず、高校時代まではなかなか個人で名前が出てこなかった。しかし、大学に進学してからメキメキと力をつけ、昨年から全日本選手権にも駒を進めるようになった。

 

稲木選手がまだジュニアだったころにみどり新体操クラブの練習を取材させてもらったことがあるが、とにかくまんべんなく、新体操に必要な要素を網羅するような練習をしていることに驚いた。ちょうど手具操作の重要性が高まってきていた時期でもあり、理にかなっていると感じた反面、大会で演技する作品とそこで必要な要素を重点的に練習するチーム、選手に比べると、本番弱さがあるのではないか? という印象もあった。

が、長い目で見ればあれは正解なんだな、と岩永、福永のここにきての活躍を見ると思う。もちろん、稲木選手もだ。

新体操は求められるものが多いので、まんべんなく練習していれば、苦手な分野を克服するのは遅くなる。しかし、時間はかかっても最後のピースまでをそろえることができれば、その選手なりの最高点にたどり着けるのではないか。

早くからトップレベルで活躍することだけが正解ではない、そう感じさせてくれた。

 

そして、5月12日に菊池市総合体育館にて行われた熊本県中学生新体操大会でも、みどり新体操クラブの快進撃は続いた。

中学生では松田麗愛選手(中3)が優勝。

岡村雫句選手(中2)が2位。

昨年の全日本ジュニアで8位入賞したみどり新体操クラブの団体選手も務めていた2人だが、ここにきて個人でも大きく伸びてきた。指先の繊細な動きが醸し出す優美さがジュニア離れしている松田選手に対して、岡村選手は弾けるような表現も見えるキュートな演技が持ち味。そして、2人とも身体難度、手具操作ともにじつに正確なのが見ていて気持ちよい選手たちだった。

 

さらに、この日、中学生の大会の後に行われた九州国スポ熊本県予選では、みどり新体操クラブ所属の高校生たちで組んだチームが優勝し、7月に行われる九州国スポへの出場権を獲得した。(ちなみに昨年の熊本県国体予選では熊本RGで組んだチームが優勝し、鹿児島国体への進出を果たしている。)

稲木選手が所属するフェアリージャパンがパリ五輪出場を逃したことでは、後輩たちも少なからず落胆はしたと思うが、その無念をばねにしたかのような「この夏の主役は自分たち!」といわんばかりの活躍を見せているみどり新体操クラブの選手たち。

今年は、このチームと選手たちにぜひ注目してほしい。

いや、今年、花咲くとは言い切れないが、いつかはきっと、少々時間はかかってもきっと大きな花を咲かせるに違いない。

先輩たちの例もある。たしかに、そう思わせる選手たちだ。

撮影:岡本範和(福永恵子選手のみ)