「アサタクの功績」~2024KAGF

先日、神埼清明高校を卒業したばかりの浅田匠は、長きにわたり、神埼清明および神埼ジュニアの精神的支柱だった。

幼いころから身体能力が高く、「おそろしく上手い子がいる」と目立つ存在だった。

そして、彼はその身体能力だけでなく、人間性の面でも抜けた存在だった。抜群のリーダーシップで常にチームのまとめ役を務め、後輩たちの面倒見もよい。「アサタクがいれば大丈夫!」そう思わせるものを彼はもっていた。

ところが、彼には意外と「悲運」がついて回った。

今回のKAGFでも二部のインタビューコーナーに登場し「ついてないアサタク」と言われていると自嘲していたが、本当に、あれだけ幼いころから活躍し続けてきていながら、手に入らなかったもの、もたくさんあった選手なのだ。

3連覇がかかっていた2020年の全日本ジュニアは、コロナ禍で大会そのものが中止になった。

また、当初予定とおりに2023年に佐賀国スポが行われていたならば、男子新体操国スポ復活の年に、彼は高校3年生で、おそらく佐賀チームのキャプテンだったろうに、これも、2020年の鹿児島国体が2023年にずれこんだため、なくなった。

さらにいうならば、彼が神埼清明に在籍していた3年間、神埼はインターハイで優勝していない。

高校選抜では驚異の3連覇を果たし、層の厚さを見せつけてきたが、インターハイ優勝にはいつも届かなかった。

神埼清明はずっと強かった。

浅田匠も、高校でさらに成長して力をつけた。

それでも「運」なんだろうか。

この3年間、おそらく彼が一番欲しかったものは、彼の手をすり抜けていった。

それでも。

多くの人たちが信頼を寄せてきた「アサタク」のリーダーシップは、今も健在だった。

佐賀県で初の試みとなった「KAGF」では、オープニングを飾る神埼ジュニア+神埼清明高校の集団演技を、彼は見事に仕切って見せた。

自分自身の出番は多くなく、縁の下の力持ち的な役回りに徹しながら、後輩たちをこの大舞台で輝かせた。

それも、みんな伸び伸びと楽しそうに自信をもって演じていることが伝ってきた。

後に続くものたちをこんな風に成長させられる。それがアサタクの持っている力だ。

浅田匠は、青森大学へ進学するそうだ。

今まで手に入らなかったものを、ひとつひとつしっかりと自分のものにしていく、彼にはそんな4年間を過ごしてほしい。

これまでに見舞われたいくつもの不運は、きっとこれからの4年間が最高の4年間になるための布石だ。

あなたがたくさん悔しい思いもしてきたこと、涙も流してきたことを知っているから、最高の笑顔を今度こそ見たい!

頑張れ、アサタク!

※KAGF2024大繩の演技動画(浅田匠選手インタビューもあり)はこちら

 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=Wc-peJ1AbVo