個人は、重原仁菜(鹿児島純心女子3年)、団体は鹿児島純心女子が優勝!~鹿児島県高校総体

優勝:重原仁菜(鹿児島純心女子3年)

 

2位:山元理央(鹿児島実業3年)

 

3位:弓削きらら(鹿児島純心女子1年)

 

2020年に新型コロナ感染拡大のために延期になった「かごしま国体」が、この秋、いよいよ開催されます。

開催県である鹿児島にとっては、2020年を目指して進めてきていただろう強化が3年延びてしまい、計算が狂った面もあったとは思います。

ただ、やはり「国体」という大きな目標に向けての強化が当初予定よりも3年長かっただけの成果は出ていると、5月の鹿児島県総体を見て感じました。まるで2020年の国体に合わせたかのような復活劇をそせた鹿児島純心女子は、今や全国大会でも上位常連校に返り咲き、ジュニアチームも全国でのトップ争いに絡むようになりました。

そして、その鹿児島純心の演技は、メンバーは年々変わるものの、着実にブラッシュアップされてきていると感じます。

純心は「美しい新体操」を目指していることがその演技から感じられますが、2019年の鹿児島インターハイで団体2位になったときのチームでさえ、その「美しさ」にはやや背伸びしている感がありました(当時の忙しいルールの影響もあるとは思います)。しかし、その後、国体が延期になった3年間を経て、今の純心の演技は、「本物の美しさ」に近づいていると感じられました。

それは個人演技にも反映しており、個人優勝の重原選手は、身体能力も高くキレのいい動きをしながらも、上半身の可動域が大きく、それを生かしたたおやかで美しい演技を見せていました。3位の弓削選手は、1年生らしくチャーミングではつらつとした印象がありましたが、それでも動きの美しさという点では重原選手に迫るものがありました。

2位の山元選手は、今年は団体が組めていない鹿児島実業の選手ですが、3年生だけにこの試合に懸ける強い思いが伝わってくる演技でした。とくに2種目目のクラブはちょっと神がかっているような1本で、彼女がどれほど新体操に懸けてきたのか、が透けて見えた気がしました。山元選手が1年生だった2021年は、鹿児島実業が国体出場権を得た年でした。当時1年生だった山元選手が選手だったかはわかりませんが、久しぶりの国体出場に向けてチームが活気づいていたことは想像に難くありません。しかし、この年の国体はコロナ感染拡大のため直前になって中止。もちろん、そのときは「次がある! 来年がある!」と気持ちを切り替えたでしょうが、その後の2年はおそらく「こんなはずではなかった」ということの連続だったのではないかと察します。

それでも彼女は、高校最後の年の県高校総体でこれだけの演技をしました。純心一色になってもおかしくなかった試合で一矢を報いました。

どんなことがあっても、新体操にしがみついてくれたから。あきらめずにこの大会に出てくれたからこその「魂の1本」には、この種目では一番高い点数が出、優勝した重原選手に限りなく迫りました。

国体の3年延期、2021年の国体中止と、様々なことに翻弄されていた3年間だったとは思いますが、鹿児島の新体操はしっかりと進化していることが感じられた鹿児島総体でした。

2023.5.19.     at  鹿児島県総合体育センター体育館