高山蓮音&本田歩夢(青森大学NEO)~男子新体操クラブ選手権個人総合
男子クラブ選手権個人総合で準優勝に輝いたのは、高山蓮音(青森大学NEO)だった。
高山は青森大学の1年生。全日本インカレでも優勝した田中千紗仁(同志社大学)とは僅差での2位に入っている、まさにスーパールーキーだ。インカレ⇒クラブ選手権の連続2位はルーキーとしては出来すぎな成績とも言えるが、彼にとっては決して「大満足」ではないだろうと思う。
なにしろ、全日本インカレでは3種目目までは首位だったのだ。最後の種目・クラブで田中は21.700、高山は20.500と1.200の差をつけられ逆転を許してしまったのだ。大学1年生のインカレチャンピオンは、佐能諒一(2013/国士舘大学)以来となるが、ほぼ手中にあったその栄冠はすり抜けていった。それから約1か月の間、おそらく腐ることも驕ることもなく、努力を重ねてきたんだろう。今大会では1種目目のロープこそ、やや手こずった感もあり、点数も伸びきれなかったが、あとの3種目は上々の演技だった。クラブ3位、スティック3位、リング2位という高値安定ぶり。小柄ながら、迫力あるタンブリングと積極果敢な手具操作。それでいて、高校時代に師事した川東拓斗氏(2019全日本チャンピオン)を彷彿とさせる重厚感と深みのある体操は、男子新体操ファンなら「大好物」なはずだ。
高校3年時は、コンディション不良もあり、やや不完全燃焼だったように見えたが、そのことさえも、大学でのブレイクのエネルギーにもなっているように思える。大学での4年間、無理なく、でも思い切り、自身の求める新体操を追求してほしい。その追い求めた先にたどりつく領域を見てみたいと思わせる選手だ。
3位には本田歩夢(青森大学NEO)が入ったが、彼もまたこの結果に満足はできていないだろう。
なにしろ、本田は今年の全日本インカレでは前半種目を首位で折り返している。しかし、2日目のロープでミスを連発。17.000の大ブレーキとなってしまい、総合順位を7位まで落としてしまったのだ。インカレでのロープは、本田にとってはまさに「悪夢」だったのではないか。このロープさえなかったら、おそらくインカレチャンピオンも夢ではなかったのだから。
クラブ選手権では1種目目にロープがきたが、ここはしっかりクリアし、21.450とこの種目では3位となる得点をマーク。まずはインカレでの悪夢を払拭してみせた。クラブでも4位、スティックは1位と限りなく優勝に近づいていたのだが、最終種目のリングでミスが出てしまう。リングでは種目13位に沈み、個人総合3位となった。大学生、高校生のトップ選手たちがほとんど出場する今のクラブ選手権での3位は立派な成績だ。直前の全日本インカレでは苦い7位を経験しているだけに、よくここまで持ち直したと言っていいと思う。
が、「優勝も見える大会」だっただけに、本人も悔しさを感じているだろう。そして、高校生のころから、「伝えるもの」のある演技をしていた本田にはファンが多い。たとえミスで点数は落としてしまうことがあっても、「自分のやりたい新体操、見せたい新体操」をしっかりもっていることがわかる演技が彼のもつ唯一無二の魅力だ。目指すところが高いだけに、ミスが出てしまうこともあるが、彼の演技を楽しみにしている人たちにとってはそれは大きな問題ではない。
高校生のころは、「思いが先走ってしまい、粗も目立つ」面もあったが、大学生になってからどんどん洗練されていき、「やりたいこと」をこなせるようになる道のりがきちんと見えてきているのだろうと感じる。そのことで、持ち味である「伝える力」はますます磨かれてきているのだ。これからも、その演技で多くの人を楽しませてくれそうな本田。あとは、4種目をどうまとめるのか。苦い経験も重ねつつ、そこをクリアできるようになったとき、頂点に立てる選手ではないかと思う。
<写真提供:naoko>