葛西麗音(青森大学NEO)が初優勝!~男子新体操クラブ選手権個人総合

9月19~20日の2日間で行われた男子新体操クラブ選手権個人総合では、優勝が葛西麗音(青森大学NEO)、準優勝が高山蓮音(青森大学NEO)、3位に本田歩夢(青森大学NEO)が入り、青森大学勢が表彰台を独占した。

青森大学といえば男子新体操の強豪である。

個人総合での表彰台独占も驚くことではないと思われそうだが、決してそんなことはない。

団体では他を寄せ付けない強さを見せている青森大学だが、個人となると他大学にも力のある選手が多く、クラブ選手権だけ見ても、昨年の優勝は、海谷燎摩(福岡大学)、その前は尾上達哉(花園大学)、さらにその前の年は大村光星(花園大学)と、青森大学の選手の優勝は、2021年の岩渕緒久斗以来ということになる。

さらに、今回ついに頂点に立った葛西だが、ほんの1か月前の全日本インカレでは、苦い思いをしている。初日のスティックこそ、この種目では4位となるまずまずの演技だったが、後半種目では、ロープ10位、クラブ18位の大乱調で総合6位に終わってしまった。

高校時代から個人選手としても一気に頭角を現し、青森大学入学後も常に上位陣の一角にはいるが、「そろそろ優勝もあるのでは」という周囲の期待にはなかなか応えられずにいた。良い種目では、とてつもない破壊力のある演技を見せるのだが、なかなか4種目をバチッとそろえることができず、どこかでつまづく。そんな試合が多かったように思う。

それが、今回は、1日目にロープ、クラブを行うという変則的な日程だったが、インカレのトラウマが残っていそうなこの2種目をまとめた。とくにインカレでは、大崩れしたクラブでは、21.825とこの種目ではトップとなる得点をキープ。

2日目もスティック2位、リング3位と安定した強さを見せ、総合での優勝をもぎとった。

のびやかでスケール感のある動きと、個性的なユニフォーム。目力のあるダイナミックな演技で強いインパクトを残す選手ではあるが、じつは「勝ち続けてきた選手」ではない。青森に「BLUE KIDS」ができたその初期から在籍し、青森で純粋培養されてきた選手の中から初めて生まれた「チャンピオンを狙える選手」ではあるが、「BLUE KIDS」もまだ全国のトップをうかがうようなチームではなかった。そこで育ってきた選手なのだから。高校~大学と、周囲から期待されればされるほど、苦しい思いを抱えることもあったのではないかと思う。

「勝ちたい気持ち」はあるに違いない。

だが、「勝つ覚悟」はどうだったのか。

今までの葛西の凹凸のある試合ぶりを見ているとそんな疑問が残っていた。

それは彼に限ったことではなく、早くから実績を残し続けているわけではない選手たちは多くの場合そうだ。

「勝てたらいいな」「勝ちたい」から「勝つ!」へ。そこに至らない限り、乗り越えられないものがたしかにあるのだ。

今回の優勝は、葛西麗音にその覚悟をもたらしてくれるのではないか。

大学生としてのラストシーズンとなる来年、いやその前にも全日本選手権がある。

「勝つ覚悟」をもてたとき、彼はもう一回り、さらにスケールの大きな選手へと化けるのではないか。そんな期待が膨らんできた。

<写真提供:naoko>