佐賀ジュニア新体操クラブ、驚異の高得点でかささぎ杯初優勝!
12チームが出場した第39回かささぎ杯の男子団体一部では、9番目に登場した神埼ジュニア新体操クラブが、会場をシンとさせるような圧巻の演技を見せ、「18.500」とジュニアとしてはこの上ないだろう高得点が得点表示された。この時点で、会場には「神埼優勝」を確信する空気が流れた。
1週間前には新体操フェスタ岐阜で、やはり18点台をたたき出し、ジュニア団体部門で優勝している神埼だが、そのときは1週間前に選手1名が交代したばかりで、わずかではあるが、演技の細かい部分で合わせきれなかったように見えたところがあった。
が、それから1週間。
今回の演技は、岐阜の時よりかなりブラッシュアップした感があり、「優勝」に相応しい演技だった。
そして、14番目に神埼にとっては最強のライバルである佐賀ジュニア新体操クラブが登場した。
昨年の全日本ジュニアでは、史上まれにみる僅差で神埼ジュニアに次いで2位となり、おそらくこの1年間、「次は必ず」という思いを募らせ続けてきただろう佐賀ジュニア。
チームTシャツにプリントされた「執念」という文字は、かねてより強く印象に残るものだったが、ここにきてその意味がより深く、強く感じられる。「次こそは勝つ」その思いは、まさにチームをあげての「執念」と化しているに違いない。
佐賀ジュニアの演技が始まると、目の肥えた九州の観客がどよめいた。
タンブリングのたびに、そして、彼らが中学3年生になって手に入れた立派な体躯からくる重厚感のある、それでいてシャープな体操を見せつけ、凄まじいスピードでフロアを駆け回るさまに、会場のボルテージは上がっていった。
おそらく「凄いものを目撃している」そんな実感があの場にいた観客、あるいは審判にもあったのではないか。
小学生のころから非凡さを感じさせる選手たちで、強いチームだった。
全日本ジュニアにデビューするなり、上位入賞と輝かしい実績もあげてきた。
それでもなかなか、目指すところにはあと一歩届かない、そんな思いを積み重ねてきたと思う。
年月を重ねるごとに、自信と同時に、悔しさもどんどん蓄積していたんじゃないか。
そんな彼らの今年の演技は、とにかく堂々としていた。「自信しかない」ように見える、そんな演技だった。
春先に一丸監督に話を聞いたときも「今年の演技はシンプル」と言われたことを思い出す。
過去には「これでもか!」と自分たちの能力を見せつけ、ねじふせるような演技をしていた時期もあったこのチームが、今年は「唯我独尊」とでもいうように、ただ、フロア上で自分達がこれまでに培ってきたことを披露していた。奇をてらうでも、意表をつくでもなく、ただ「これが男子新体操だ!」と言わんばかりの演技、「これが俺たち!」と宣言するような演技、だった。
それでも。
彼らが上挙で思い切り腕を宙に引き上げると、観客の目は惹きつけられ、みな息をのんだ。
2階の観客席の高さまで上がっているんじゃないか、と思うほどの高さのタンブリングには会場がざわついた。
彼らがここにたどりつくまでに懸けてきた時間や思い。その重さが伝わってくる演技に、観客は圧倒され続ける。
そんな濃密な2分半だった。
表示された得点は、「19.350」。
ジュニアの試合では見たことのない(いや、高校や大学でもめったに見れない)高得点が出た。
この瞬間、佐賀ジュニア新体操クラブのかささぎ杯団体初優勝が決まった。
じつは直前の公式練習では、一人の選手がほとんど動いていなかった。万全のコンディションではなかったのだと思う。
それでも、本番ではそれをまったく感じさせなかった。十分な準備ができたわけではなく、最高のチーム状態ではなかったのだろうが、それでもここまでやれる。その地力には恐れ入るしかない。
このチームは、全日本ジュニアでもおそらく会場を飲み込むような演技を見せてくれるだろう。
そのとき、ただ「凄いな、強いな」ではなく、彼らのたどってきた道のりに思いをはせてもらえればと思う。
天才なんていない。はじめから強いチームなんてない。
「執念」をもって理想を追いかけ続けたからこそ「今」がある。
そう感じることができるはずだ。
TEXT & PHOTO:Keiko SHIINA