史上初! フェアリージャパン、2025世界選手権団体総合優勝!!!

日本からはちょうど地球の裏側にあたるブラジルで行われている新体操世界選手権。
個人総合では、松坂玲奈選手が21位、喜田未来乃選手が27位と、順位だけを見れば「決勝に進めず」(18位までが決勝進出)と言われてしまうのかもしれないが、2人とも大きな成長が見られる演技で評価も決して悪くなかったと思う。
松坂選手は、世界選手権は初めての出場。それでこの順位は立派だし、それだけ松坂選手の演技のもつインパクトが大きかったということだと思う。決勝進出ラインの18位の選手との差は、わずか0.400。
かつて、世界選手権でも決勝に残り、五輪に駒を進めてきた選手たちがロシアでの長期強化などを受けていたことを思えば、当時とはまったく違う環境でコツコツと実績を積み重ねてきた松坂選手が、日本人らしさを存分に感じさせる演技でこれだけの成績を残したことは、「決勝に進めず」の一言で終わらせてほしくはない。強化費など注ぎ込んできたものに対しての結果としては、かつてないほどのコストパフォーマンスの良さなのだ。2006年以降続いてきた「選抜強化方式」であったり、ロシア依存とはまったく別のルートで松坂選手がこの結果を残してくれたことは、日本の新体操の未来にとってどれほど大きな希望になることか。
それでも、普段から新体操を追っているわけではないマスコミにとっては「決勝に進めず」でしかない。
それはある意味、仕方のないことだ。口惜しい気持ちはありながらも飲み込むしかない。それが世間なのだから。
団体もまたしかり。
2024年のパリ五輪出場枠を逃したとき、マスコミは「日本、五輪出場ならず」とだけ報じた。
2021年の東京五輪に向けて強化されていた頃と比べると、「今のチームが力が劣るんだろう」と、新体操を知らない人なら思ってしまう、そんな書き方、扱い方だった。
たしかに、五輪出場は逃した。2008年の北京五輪から続いてきた団体での連続出場は「4」で途切れることになった。
が、あのときのチーム、演技が「以前より劣っていた」かというと決してそうではなかったと思う。
「ソーラン節」を使ったフープ×5は、「どこの国のチームかわからない」演技をしていた頃のフェアリージャパンの演技よりもずっと心動かされるものであり、記憶にも残った。2024年のアジアでの最終選考で開催国であるウズベキスタンの地の利に屈した感のある敗北により、五輪出場は叶わなかったが、あのチームのあの演技の価値はそれで損なわれたわけではない。
長年、新体操を見続けてきたし、フェアリージャパンは初回のトライアウトのときも取材に入っていた。
その変遷をずっと見てきたが、東京五輪後のチームは、能力的にはもっとも高く、技術と表現力ともに高いレベルにあると感じていた。一時のスーパーモデル軍団のようなチームではないが、それにも勝る魅力あふれるチームだった。
それでも、勝負のあや、というものがあるのだ、「パリ五輪出場ならず」は、まさにそうだった。

それでも、2025年になってからは、4月に行われたワールドカップソフィア大会で団体総合2位に入り、今シーズンへの期待が膨らんできていたが、5月に突然、パワハラ指導問題が噴出する。一時は選手がボイコットとともとれる行動に出るほど、だったそうだが、問題発覚後の日本体操協会の対応への批判も多く、今だに「完全解決」と言える状態ではない。
今、現在も選手たちは本当に納得して、今の体制のままやっていくのかどうか。それも不透明だな、と感じてはいたが、一方で、この問題が明るみに出たあとの大会でも、フェアリージャパンは、比較的好調を維持していた。
それはパワハラ問題が解決してすっきりした故なのか(そうであってほしいが)、あるいはまだ解決してはいなかったとしても、チームに残ることを選んだ以上、世界選手権では意地でもいい演技をする! という選手たちの気持ちの表れなのか。
選手たちの本当の思いは、外からでは想像するしかないが、「世界選手権に対する強い思い」があることだけは、間違いない。
そう感じていた。
そして、迎えた今日。
8月24日。
世界選手権団体総合。
1種目目のリボン×5では、トップのブルガリアとは0.550差の3位につけたフェアリージャパンは、2種目目のフープ+ボールで28.350をマークし、この種目では1位。2種目総合でも1位となり、世界選手権の団体総合では初の金メダルを獲得。
「パワハラ問題乗り越え、史上初の金!」
マスコミ的にはこんな見出しになりそうな、じつにドラマチックな展開となった。

2019年の世界選手権では種目別ボールで初の金メダルを獲得。
翌年に迫っていた東京五輪(実際にはさらに1年開催が延びてしまったが)に向けてのイケイケドンドンな時期を知っているメンバーは現在、鈴木歩佳と稲木李菜子の2人だけだ。あの右肩上がりの時代を知っている二人にとっては、2021年以降の逆風はどんなにか堪えただろうと思う。そして、東京五輪後に加入した田口久乃、西本愛実にとってはフェアリージャパンは決してキラキラした夢舞台ではなく常にギリギリの厳しい戦いを強いられる場だったろう。
パリ五輪出場を逃して以降は、はっきりと世間の掌返しを感じたことも少なからずあったのではないかと思う。
それは指揮を執る強化本部長にとっても同じではなかったか。
東京五輪以前は、強化本部長に物申す空気はほぼなかった。とくにロシアでの長期合宿に入ってからは、メディア対応でも、どこかのメディアの記者が少し突っ込んだ質問をしても「ロシアのコーチが決めることだから」の一言で疑問も挟み込ませない空気があった。
2021年以前とは、新体操を囲む環境は大きく変わってしまったのだ。
そんな中で、かつてはなかった(あるいは表沙汰にはなっていなかった)問題も起きてきていたのかもしれない。
そして、それはまだ解決に至ってはいないのかもしれない。
それでも、そんな中でつかんだ「史上初の団体総合金メダル」は、一点の曇りもなく輝いているはずだ。
ここで自分たちの力を出し切り、運も味方につけた彼女達は凄い!
この結果をつかみとった選手たちのことを、心から祝福したい。
本当におめでとう!

PHOTO:Norikazu OKAMOTO ※2025ユースチャンピオンシップでのエキシビションにて撮影