超激戦区・東京の代表はどこに?~今週末、東京都インターハイ予選

5月~6月にかけて高体連ブロック大会やインターハイ予選、国スポ予選など、毎週のように各地で大会が行われている。

そして、今年のインターハイ予選は各地で波乱が起きている。

昨年度インターハイ優勝校である日ノ本学園高校が、須磨ノ浦高校に敗れた兵庫県。

古豪・佐賀女子高校を凌ぎ、県立佐賀北高校が初出場を決めた佐賀県。

長崎女子高校の4年連続出場を活水女子高校が阻んだ長崎県などなど。

 

そして。

今週末には、注目の東京都のインターハイ予選が行われる。

東京が激戦区なのは毎年のことではあるが、今年はさらに熾烈だ。

3月の全国高校選抜には、東京から駒場学園、藤村女子、日女体大附二階堂の3校がそろって出場していたが、そのときの順位は、藤村女子7位、駒場学園8位、二階堂女子11位。

しかし、5月に行われた国スポ東京都予選(団体競技+個人4種目)では、日女体大附二階堂が1位通過。

さらに、先週(6月2日)行われた高体連関東ブロック大会では、駒場学園が3位、藤村女子が5位、日女体大附二階堂女子が6位と、大会ごとにくるくる順位が入れ替わっているのだ。関東大会では東京代表の中では一番下になっている日女体大附二階堂でも、27.50とインターハイに出ていても十分上位争いができるだけの力はあるが、この3校の中でインターハイ出場を勝ち取れるのは1校だけ。

なんとも厳しい。

そんな注目の3校の中で、高校選抜で披露した作品「ライオンキング」のストーリー性、エンタメ性あふれる演技が話題になっていた藤村女子高校を訪ねてみた。

訪問したのが4月だったため、トップチーム以外のチームも大会出場を控えていて、その日は、3チームが交互にフロアマットに入って練習をしていた。まず、その部員の多さに圧倒され、またどのチームもじつに生き生きと練習していること、どのチームに対してもまんべんなく指導がされていることが印象的だった。

そして、高校選抜で観客の度肝を抜いたという「ライオンキング」を、すべてのチームが演じていたが、チームごとに色の違いはあるものの、どのチームもしっかりと表現しようとしていることが伝わってくる演技をしていた。

この10数年、苦しい時期が続き、インターハイ出場からも遠ざかっていた藤村女子だが、たしかに今年のこの作品ならば、近年最高にインターハイ出場の希望が見える、そう思える作品であり、選手たちであり、練習風景なのだ。

いざトップチームが演技を始めると、「さすが」と思わせるものがたしかにあった。身体能力や技術ももちろん高いが、やはりなんと言っても表現力。そこはかなり秀でているチームだと感じた。

また、今のルールが要求しているものを、ただの得点稼ぎではなく、面白く、魅力的に組み込んでいる構成の妙も感じられた。「芸術性重視」が言わるようになった2021年以降のルールが求めていたのはこういう作品なのか! と腑に落ちる、そんな演技だった。

聞けば、藤村女子の指導に関わられている五明みさ子氏(フェアリージャパンの初代ヘッドコーチ)の尽力によるところが大きいとのことだった。近年、五明氏は、陰に日向になりながら、藤村女子の指導を続けておられ、その愛情と創造力豊かな指導で選手たちに大きな変化を与えているという。一時期は、このまま藤村は沈んでしまうのか? とも思われていたのが、見事な復活を遂げてきた。その陰には、五明氏をはじめ、多くの人たちの支えがあったのだ。

その結果、今年の藤村女子は限りなくインターハイ出場に近づいている。

なによりも、選手たちが自分たちの作品に愛着と誇りをもって演じていることがわかるし、インターハイ出場という目標に向かって努力することを楽しめていることも伝わってきた。

たとえ結果がどうなるとしても、こういう日々を送れたことに後悔はないだろうな、と思える表情を彼女たちはしていた。

勝ち負けには、時の運もある。

いくら素晴らしい作品でも、ミスが出れば負けることもある。それは仕方ないことだ。

それでも、「良い作品」「印象に残る作品」というのは、成績とはまた別の部分で必ず残る。今回の藤村女子の「ライオンキング」は、そんな作品になるのではないかと思う。

藤村女子、2010年以来のインターハイ出場は成るか?

6月16日の東京都インターハイ予選に注目したい。