「家族」~華舞翔新体操倶楽部発表会

華舞翔新体操倶楽部を語るときに、「華舞翔は家族」という言葉がよく出てきます。

毎回の発表会へのOB・OGの参加の多さや、田中涼介復活プロジェクトに見られる団結力など、華舞翔はたしかに「家族」のようなクラブチームです。

今回の発表会では、OB・OG作品以外にも、それを象徴するような作品を見ることができました。

田中三兄弟、吉田兄弟などきょうだいで在籍する選手も多い華舞翔ですが、昨年12月の花園大学の演技会で喝采を浴びた「加藤兄妹」も、この華舞翔育ちです。そして、今回の発表会であのときの兄妹演技を再演してくれたのです。

加藤渚(倉敷芸術科学大学)と加藤藍(花園大学)のペア演技は、兄妹だけあって息もぴったりで、男女ペア演技という新たな可能性も見せてくれました。とくに今回は、二人を幼いころから知っている地元の人たちの前での演技でしたから、演じる側も見る側も感慨もひとしおだったのではないでしょうか。

そして、なんと!

この演技の後半では、「黒い人」が2名登場。

なんとなんと! 華舞翔新体操倶楽部の主宰者である山田智史・山田志津子夫妻ではないですか。

選手としての現役は遥か昔のことかもしれませんが(智史氏のほうは数年前、テレビ信州杯で教え子と団体に出られていましたが)、指導の現場ではまだまだ動いておられるのでしょう。

加藤兄妹の演技の雰囲気を壊すことなく、作品に厚みを加えていたと思います。

そして、しみじみ感じたのは、こうしてOB、OG、指導者も長く踊る環境があるから、田中涼介選手の復活プロジェクトにも、あれだけ真摯に取り組めるんだな、ということでした。

田中涼介選手は、今年、大学4年生。何事もなく競技を続けていられたならば、おそらく今年は全日本インカレや全日本選手権での優勝争いを演じていただろう選手です。今回の発表会には車椅子で姿を見せていた彼の回復ぶりは、負った怪我の重さを思えば、驚異的なものではありますが、もちろん、「元通り」になったわけではありません。

それでも、いつかは本人も納得のいく「復活」を遂げることができると、周囲が信じて支え続けられるのは、新体操を「大学までで終わり」「競技者として結果を残せなければ無意味」と、ここの人たちが思っていないからだと思います。

田中涼介選手が、「大学時代に日本一になる」ことだけを目指していたのならば、現状は絶望的と言わざるを得ません。

でも、そうじゃない! 他の誰も経験しないような苦境を乗り越えて、「復活」できたならば、競技で日本一になるよりも、もっと大きなことを成し遂げられます。そして、それは後輩たち、地元の人たち、そして新体操人たちにとっても大きな希望になるに違いありません。田中涼介選手は、今、その偉業の過程にいるんだと思います。

この「復活」を成し遂げるには、時間がかかります。でも、時間なんてかかってもいいんだ! とOBたち、指導者たちが身をもって示してくれるのが華舞翔です。

OBもOGも指導者も踊り続けている。それこそが、「涼介選手の復活をみんなが信じて待っている」という証のように感じました。

華舞翔の発表会。

この舞台に、田中涼介選手はきっと戻ってきます。

<写真提供:naoko>

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