「通過点」~玉名RG発表会

3月は発表会のハイシーズンです。

今年は、地元である熊本のクラブを中心に3月に3つの発表会を見に行きました。

どの発表会もそれぞれに素敵でしたし、感動的でした。

これは、どこのクラブでもそうかと思いますが、3月に開催される発表会は「クラブの卒業式」的な意味合いをもたせている場合が、多く、最後には発表会を最後にクラブを卒業する選手たちの挨拶や、後輩たちの贈る言葉、花束贈呈などが行われます。

自分の子どもが新体操をやっていたのは、もう遥か昔のこと、になってしまった現在、どこの発表会に行っても、ほとんどが知らない選手たちです。それでも、やはり10年やそれ以上、新体操に打ち込んできた選手たちの最後の演技を見て、新体操への思い、支えてくれた人達への思いなどを聞くと、「あなたの娘さん?」と思われそうなくらい、泣いてしまったりします。

そして、新体操っていいな~、発表会っていいな~という思いを強くするのです。

3月31日は、私が2歳から17歳の15年間を過ごした熊本県玉名市のクラブ「玉名RG」の発表会でした。

今年は、中学3年生が4人いて、4人とも高校では新体操は続けないという選択をしていると聞きました。

だから、彼女たちは、この発表会での演技に「これが最後!」という思いで臨んでいたと思います。

おそらく練習時間は十分ではなかったかもしれません。それでも、強い思いや達成感などが伝わってくる演技を4人とも見せてくれました。強い思いがあるからこそ、なミスも出たりはしていましたが、それも含め、15歳まで新体操を続けてきた彼女たちの集大成にふさわしい演技だったと思います。

中3のときには、団体で中体蓮九州大会にも出場したという実績もある選手たちです。

この日の演技を見ても、「高校でも続けてくれればもっと素敵になるだろうな」と感じさせるだけの力はもった選手たちでした。

彼女たちが「新体操は中学までで辞める」という決断をしたとき、指導者にはきっと残念な思いがあっただろうな、と想像します。

もしかしたら、進路で少しもめたりした子もいたかもしれない、なんて余計なことも想像してしまいました。

だけど、そこにどんな思いがあり、いきさつがあったとしても、この発表会で彼女たちは、晴れやかな表情で踊り、後輩たちが「これからは一緒に練習できないのが寂しい」と涙ながらに言われ、指導者も「彼女たちの未来(たとえそれが新体操ではなくても)」を楽しみにしている、と温かく送り出している姿に胸が熱くなりました。

彼女たちにとって、そこが新体操の終着点だったとしても、人生においてはまだまだ通過点。

いや、新体操だって今は「終わり」と思っているだけで、また始めることだってないとは言えません。新体操ではない世界でも、「新体操で培ってきた自分」を感じながら、きっと彼女たちは頑張っていくに違いありません。

新体操でどんな結果を残していても、残せていなくても、やり切ったと言える子でも、やり残しだらけの子でも。

「新体操をやっていて良かったな。このクラブでやってきて良かったな。」

そう思って卒業できれば十分なんです。クラブチーム(とくにジュニア)の最大の役割ってそこだと思います。

3月に見た3つの発表会はどこも卒業生を温かく送り出している素敵な発表会でした。

もしかしたら、指導者にとっては思い通りにはいかなかった選手もいたかもしれません。

不平不満の多かった選手、思春期ゆえの反抗をしまくった選手もきっといると思います。

でも、最後にはそんなことはどうでもよくて、15歳まで(あるいは18歳までの選手もいました)の人生の多くを託したそのクラブや先生達に温かく送り出してもらえる。

それが一番大切なことなんです。

本当にそれだけでいいんです。

熊本RGさん、みどり新体操クラブさん、玉名RGさん、素敵な発表会、選手たちの大切な旅立ちのときに立ち会わせていただき、本当にありがとうございました。