初の5人制団体に挑む九州勢~2024高校選抜

今年の高校選抜は、男子団体競技が今までの6人制から5人制に変更になる。

つまり5人制になって初めての全国大会、という意味でもこの高校選抜への注目度は高い。

5人制になることで、もっともわかりやすく変化しそうなのが「組み技」だ。

男子新体操の見せ場のひとつであった高さのある組み技は選手が一人減ることでかなり制限されてくる。

その影響はどう出るのか?

今大会に出場する九州のチームを見てきた。

 

昨年は、全日本選手権に出場し、団体予選では3位という高校生トップの成績を残した芦北高校(熊本県)。

力のある3年生が2人が抜けたとはいえ、残っているメンバーも、全日本ジュニアでトップ争いをしてきた選手たち。

急激に弱体化していることはないはず。高校選抜では優勝を狙っていてもおかしくないと思って見に行ってみたが、彼らの練習はじつに淡々と、そして楽しそうだった。「優勝を狙う」という熱はよくも悪くもあまり感じられなかった。

が、そういえば、全日本選手権前もこのチームはこんな雰囲気だった。「目指せ、●●!」ではなく、自分たちにできることをやってこよう! その平常心が、昨年は結果にもつながってきた。

「組み技」に関しては、やはりそれ相当の思い入れは感じられた。「5人になったからできません」ではなく、創意工夫されている。試技順が最後になっている芦北高校だが、その演技は見る価値あり。競技終了までしっかり見届けてほしい。

 

今回優勝すれば「高校選抜4連覇」という大記録を達成する神埼清明高校(佐賀県)は、もちろん、優勝できるだけの力はある。

本番でのミスも、めったに出ないのが神埼の強さなので、ほとんど不安はない。

が、それでも何が起こるかわからないのが試合であり、ましてや高校選抜は、どのチームも人員に余裕がない。神埼といえど、ベストメンバーで組めなければ4連覇には黄色信号が灯る。

万全の体制で本番を迎えることができたならば、神埼清明は今年も優勝候補の筆頭にいることは間違いない。

かつて「組みの神埼」と言われていたチームだが、「脱組み」も早かった。とにかく対応力には優れているチームなので、今回も5人になったからできない、ではなく5人で魅せられるもの、を追求してくる。そして、おそらくインターハイ、国スポに向けてはさらにブラッシュアップしてくるはずだ。

 

ここ2年はすっかり公式大会ではまじめ演技で、2年連続全日本選手権出場も果たした鹿児島実業高校(鹿児島県)。

今回は、エース・東を個人に専念させているが、団体を捨てたわけではない。インターハイ経験者も3人残っており、その3人も見違えるほど力をつけてきている今の鹿実は、東抜きの団体でもかなりいい。

以前のコミカル演技のときと違って、鹿実のまじめ演技には、派手さはない。むしろベーシックの極みで、無駄な動きも少ない。それだけに実施力の高さが際立ち、評価されてきたのがここ2年の鹿実だと思う。今回のチームもまさにその路線をいっている。

どこまでも正統派、そしてきっちりやる! 演技会で見せるコミカル演技とは180度違う鹿実を高校選抜では見られるだろう。

「組み技」に関しては、鹿実はもともと6人でがっつりの組み技は入れてきていなかったので大きな影響はなさそうだ。

 

近年は、苦しい時期が続いている小林秀峰高校(宮崎県)だが、「組み技」では常にパイオニア的な存在だった。今も伝説となっている人間ピラミッドや3段タワーなど、6人制でなければ絶対不可能の組み技を数多く考案し、披露してきたのがこの小林秀峰だ。

昨年は全日本選手権出場も逃しており、この高校選抜に懸ける思いは強い。

小林秀峰は、レギュラーメンバーがフロア内で練習するとき、控えの選手たちがフロア周り(ときにはフロア内に入り込んで)で檄を飛ばすのだが、このところ、全盛期に比べて人数が減ったせいもあり、少し檄が控えめになっていたように思う。ところが、今回、選抜前の様子を見に行ったとき、久しぶりに熱すぎる! と感じる檄が飛び交っていた。

演技している選手たちももちろん、必死だし一生懸命だ。だが、それ以上に、周りの選手たちが熱い。

今回は、本来ならレギュラーだったはずだったが故障などで外れている選手もいる。そんな選手はなおさらのこと、フロアに立つ選手たちに思いを託し、檄を飛ばず。今の小林秀峰は、逆境にあると思う。6人制でなくなったことも、一番大きな痛手を受けているのはおそらくここだ。(昨年最後の6人制団体でも見事な3段タワーを見せてくれた)

しかし、逆境だからこそ、這い上がる力をきっと彼らはもっている。その力が爆発するのは今大会なのか、夏のインターハイなのか、それはわからないが、小林秀峰は着実に力をつけてきているし、「組み技」に関しても創意工夫している。

男子団体は、ほとんどのチームが昨年の作品で臨んでくる高校選抜だが、今年に関しては同じ作品であっても「6人⇒5人」の変更はなされているはずだ。

史上初の5人制全国大会におおいに注目してほしい。

(注:厳密にいえば、国体休止前の最後の国体2008年大分大会の男子団体は5人制だった。今回はそれ以来の5人制全国大会となる)

 

※高校選抜大会団体競技は、埼玉県熊谷市・彩の国くまがやドームにて、3月20日に開催されます。観覧無料、入場制限はありません。可能な方はぜひ足をお運びください。

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