高校選抜は、複数校出場県に注目!①~千葉県立東金高校

「一県一校」が出場するインターハイと違って、春の高校選抜には、様々な枠があるため、同じ県から複数校が出場することがある。

昨年の高校選抜には、兵庫県が2校出場し、ワンツーフィニッシュという快挙を果たしたが、複数の強豪校がある兵庫、東京、千葉などの二番手校にとっては高校選抜はまたとないチャンスなのだ。

昨年と今年、連続して高校選抜に出場する千葉県立東金高校にとっても、高校選抜出場の機会はなかなかめぐってこない。

なにしろ、千葉県には全国トップレベルの強豪校・昭和学院高校がある。さらに八千代松陰高校もある。

インターハイ出場はほぼ昭和が独占状態、選抜を目指そうにも八千代松陰という壁がある。

そもそも公立高校である東金は、新体操部の歴史こそ長いが、近年では団体を組めない年も少なくない。

しかし、昨年の全日本選手権で大学生チームをも凌駕し、「リボン&ボール」で予選1位、種目別決勝1位、団体総合でも3位という快進撃を見せた東金RGの選手たちは、全員東金高校の生徒たちだ。当時の3年生が1人引退したが、ほぼメンバーも変わらず、彼女たちは、今回の高校選抜に挑む。

昨年の高校選抜では6位だったが、今年はもっと上、を狙う力もありそうだ。

なんと言っても、昨年の全日本選手権は、大乱戦で「フープ×5」「リボン&ボール」の両方の種目で決勝進出を果たしたのは5チームだった。その中の1チームがこの東金だ。

全日本選手権のあの舞台で4回演技した。彼女たちのその経験値は侮れない。

さらに言うならば、今の東金高校のメンバーのほとんどが2021年に東金RGが全日本ジュニアで団体優勝(ボール×5)したときのメンバーなのだ。

練習している姿は、無邪気で素朴な雰囲気だが、「勝負強さ」は折り紙つきの選手たちだ。

2月末、東金高校の団体練習を見に行かせてもらった。

全日本選手権では、「リボン&ボール」での優勝のインパクトが強かったが、「フープ×5」でも全日本選手権の種目別決勝で6位入賞しているのだ。「フープ✕5」も、うまくないわけはない。

この日は、直前に出場したシルクカップで見つかった課題をクリアすべく、細かい部分の修正を繰り返し行いつつ、通し練習も何回も行うというなかなかハードな練習ぶりだった。

しかし、そんなハードな中でも、このチームは雰囲気が明るいな、と感じた。

ジュニアのころから東金RGでともに育ってきた選手が多い、ということにも起因するのだろう。

お互いの良いところも、悪いところも分かりあっている、そんな空気が感じられた。

東金RGで育っても、高校は強豪校に進むという選択肢もある中、みんなで東金高校に進み、団体を組むという選択をした彼女たちは、おそらく、このチームが大好きなんだと思う。

そして、今のメンバーにはジュニア時代は他のクラブだった選手も入ってきているが、東金高校で新体操をやる! と決意して飛び込んできてくれた選手のことをみんな歓迎し、仲間として受け入れていることがわかる。

ジュニアから一緒の選手たちも、高校からそこに入ってきた選手も、「東金高校」として、ひとつにまとまっている。

彼女たちの明るく、フラットな練習の雰囲気からそう感じた。

その一体感は、演技にも表れる。

複雑な連係技も特徴のあるステップも、なにをやっているときもこのチームには一体感があるのだ。

パンシェやフェッテバランスなど、びしっと決めるところが揃うのは当然として、その間の微妙な動きも非常によく揃っていた。

とくに、高速でのフェッテローテーション。これが素晴らしく揃っていて鳥肌モノだった。

シルクカップでは、想定した得点に届かず、作戦を練り直したとのことだったが、そうやって選抜本番ギリギリまで、少しでも得点力を上げようと挑戦する貪欲さもある。

全日本選手権では「台風の目」だったこのチーム、今回の高校選抜でも要注目だ。

※高校選抜大会は、埼玉県熊谷市・彩の国くまがやドームにて、3月19日(個人競技)、20日(団体競技)が開催されます。観覧無料、入場制限はありません。平日開催ではありますが、可能な方はぜひ足をお運びください。