前半種目終了し、松坂選手7位、鈴木選手9位!~アフロディーテカップ

日本時間で午前2時半からというとんでもない時間だったが、アフロディーテカップをライブ配信で見ることができた。

ジュニアの部に出場していた井上結愛選手(イオン)は、おそらく初の海外での試合ではなかったかと思うが、驚くほど落ち着いており、堂々としていた。

前半種目のフープ、ボールともに大きなミスもなく、演技中には楽しそうな笑顔を見えた。上位選手と比べればまだDBやDAなどは少ないのだろうが、明るくのびのびとしたその演じっぷりは、おおいに伸びしろを感じさせた。

 

シニアの部では、Bグループでまず松坂玲奈選手(ヴェニエラRG/東京女子体育大学OG)がフープで登場。

松坂選手の持ち味であるスピード感満点、めまぐるしく連続するキレキレの手具操作が小気味よく決まり、32.500!

続く鈴木菜巴選手(武庫川女子大学/アリシエ兵庫)のボールも、出だしこそやや緊張感が伝わってきたが、序盤の連続ジャンプターンあたりからのってきて、こちらもほぼパーフェクトの演技で、30.650。

この大会にはシニア選手が78名出場しているが、30点台にのせられているのはカザフスタン、イスラエル、アメリカなどごく一部の選手で、日本の二選手もこの1種目目の出来と点数を見る限り、十分上位争いに食い込める!

と感じられた。

 

が、1種目目がよすぎた、のだろうか。

松坂選手は2種目目のボールでは演技冒頭のリスキーな投げ受けで落下。一瞬こぼれたボールを見失ったのか、松坂選手にしてはわずかに演技中断が見られた。それでも気落ちを見せず、松坂選手の真骨頂であり、「日本の魂」を感じさせるAKIRAの曲を使った作品を最後までエネルギッシュに踊り切り、29.500と30点にはのらなかったが冒頭のあのミスがあったことを思えば、よく踏ん張ったと思える点数を得た。

鈴木選手のフープは、静かでともすれば単調にも感じられる曲を使った独創的な作品だが、この日の演技は、この曲がよく映えた。演技の精度もよく、「これはかなりいいのでは?」と思ったのだが、演技終盤にさしかかったところで痛恨の落下。ころがしでわずかに腕からフープがこぼれてしまった。しかし、鈴木選手も後に響くことなく、しっかりと演技を締めくくり29.550。二人とも、落下というミスは出てしまったが、それでも限りなく30点に近い点数はもぎとった。

つまり、ミスなく通し切れば、松坂選手のフープのように32点にものせられる内容の演技を準備できていた、ということだ。

また、思わぬミスが出ても気持ちを切らすことなく、でき得るベストを尽くす。二人のその力には感服した。この精神的な強さは、国内での厳しい競争を針の穴を通すようにしてくぐり抜けてきた彼女たちならではのものではなかったか。

もちろん、ノーミスの演技がいいに決まっている。が、たとえミスはあっても、こうして粘り強く踏みとどまる演技こそは、見ている者の胸をうつのだ。

 

前半種目を終えた時点での順位は、松坂選手が7位、鈴木選手が9位。たらればではあるが、2種目目でのミスがなければ、もっと上に食い込んでいただろうことは間違いない。

現時点で、暫定首位のTODOROVA選手(BUL)と松坂選手の得点差は、2.500。僅差とは言えないが、ミスがあってもこの差でおさまっている。

そして間に入っている5選手との差はもっと小さい。後半種目の出来次第では総合順位を上げられる可能性も十分にある。

それは鈴木選手にも言えることだ。鈴木選手と8位のGOLOVAN選手(USA)との差は、わずか0.05なのだから。

この結果、松坂選手はフープ、ボールの両方で、鈴木選手はボールでのファイナル進出を決めている。

日本時間で17日午前3時半から行われる後半種目(クラブ、リボン)でも、二人の健闘を期待したい。

※  ↓  「アフロディーテカップ」ライブ配信はこちらから。

https://www.ego-gymnastics.gr/2024/03/14/live-stream-aphrodite-cup-2024/