種目別団体「リボン&ボール」で金! 個人総合で松坂玲奈が銅!~ユニバーシティーゲームズ

秋山エリカ氏のFacebookにこんな動画が投稿されていた。

https://www.facebook.com/100004589948691/videos/661333785919280

 

並んだ選手たちの晴れやかな笑顔を見て、朝から最高に幸せな気分になった。

7月29~31日に中国・成都で開催されたユニバーシティーゲームズで日本選手団は大活躍!

個人総合では、松坂玲奈が銅メダル獲得! 鈴木菜巴も4位と表彰台まであと一歩にまで迫った。

成績もさることながら、二人の演技は、圧倒的なスピード感と多彩で正確なテクニックで海外の選手たちの中でもまったく遜色がなかった。

松坂も鈴木も決して大きな選手ではないが、その思い切りの良い伸びやかな動きでフロア上ではとても大きく見えた。

身体の隅々までを使ってのスケール感のある演技は、現在のルールの「芸術」の部分に明記されている「選手の体格や身長に関係なく、身体の部位の動きは最大限の範囲、幅と伸長で実施される」という一文をまさに体現していた。

「細くて長い身体」は新体操においては最高の財産、だった時代は本当に終わったんだな、と今回のユニバーシティーゲームズに出場していた他の選手たちを見ていても感じた。そして、その世界線で行われた新体操は、とても魅力的だった。

松坂と鈴木も、もともとは技術の高さを武器として頭角を現してきた選手たちだが、年齢を重ね、またルールも変わったことで、年々表現力に磨きがかかり、今大会の演技では、観客がその演技に惹き込まれていることがライストで見ていても感じられた。

特別強化選手以外にも、こんな選手たちが育ってきている日本ってなかなか凄いんじゃない? と誇らしく思わずにはいられなかった。

彼女たちが育ってきた時期、日本では「フェアリー体型じゃなければ世界は目指せない」という空気が色濃かったが、そんな中でも、ここまで努力し続け、自らを磨き続けてこれた選手たちがいたことに感謝せずにいられなかった。また、そんな選手たちを根気強く支え続けた指導にあたられた先生方、保護者の方たちにも、めちゃくちゃ感謝したい! と思った。

さらに。

団体は、総合3位。

種目別「リボン&ボール」では念願の金メダルを獲得!

団体総合では勝てなかった中国、ウクライナをも上回ってのこの金メダルは間違いなく「今大会ナンバーワン」の演技を彼女たちがしたという証だ。

東京女子体育大学の現役大学生と卒業生による今回の日本チームは、とても美しいチームだった。美しだけでなくエネルギーにあふれていた。

団体総合のフープ×5では惜しい落下があったり、他の種目でも細かいミスはあったように思うが、そのミスをまったく引きずらず、2分半を駆け抜けるだけのパワーが彼女たちの演技にはあった。身体難度や動きを見ても、その精度は中国、ウクライナにも負けていなかったし、同調性においては間違いなくナンバーワンだったと思う。

その力が存分に発揮された種目別「リボン&ボール」ではついに金メダル獲得!

諦めなければこんなこともあるんだ! そう思わせてくれた金メダルだった。

今の団体メンバーが大学生になった頃、東女は以前のような常勝チームではなかった。国際大会どころか国内の大会でも勝つことが難しくなってきていた時期に、彼女たちは東京女子体育大学に進学してきたのだ。それだけに、「負け知らず」の大学生活ではなかった。何回も負け、何回も泣き、おそらく悔しい思いをしたことのほうが圧倒的に多かったと思う。そんな彼女たちが、やっとつかんだユニバーシティーゲームズの金メダルは、彼女たちへのご褒美でもあるが、日本で新体操をやっている多くの選手たちの希望にもなったと思う。

なにしろ、このチームでも、毎回勝てるわけではないのが、現在の日本だ。全日本インカレでも負けることもあり、全日本選手権では高校生に負けることもある。そんな戦国時代で戦ってきたからこそ、東女は再び世界の舞台に立つことができ、そこで力を発揮することができたのだと思う。

 

東京五輪も終わり、このところの国際大会では、日本代表選手たちが苦戦することも増えてきているが、そんな鬱憤を一気に晴らしてくれた、今回のユニバーシティーゲームズだった。

日本の新体操は、ちゃんと進化しているのだ。

世界に出ても審判に評価され、観客を惹きつける、そんな演技ができるのだ。

これからの日本の新体操、楽しみにしておきたい。

※日本体操協会公式サイトの大会レポートはこちら。

 https://www.jpn-gym.or.jp/rhythmic/report/35587/

 https://www.jpn-gym.or.jp/rhythmic/report/35590/

<写真提供:東京女子体育大学新体操競技部>