男子キッズ選手権1部高学年~2024テレビ信州杯

2012年のテレビ信州杯で行われた第1回の男子キッズ選手権のときは、まだ「徒手個人」なんて競技のルールがそもそも存在していなかった。

「とりあえず手具を持たずに個人の演技する感じで!」くらいのノリで始まり、イメージがわかないだろうからと「DEMO演技動画」をYouTubeで公開したりもした。(今、見返すとなかなかお宝の動画もある ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=V-WAi8AQuXo&t=16s

初のキッズ選手権のオープニングでは、今も指導者として活躍されている某S先生がタイガーマスクに扮して演技披露してくれたこと、覚えている人はどれくらいいるんだろうか。

あれからもう12年が経った。

今では「個人競技徒手」のルールはしっかりと整備され、2018年度版のルールブックでは12ページにもわたって詳細にルールが記されている。

1位:棚橋哉仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ/小6)

※空中での姿勢も美しく、指先、つま先も伸ばそうという意識がある。演技全体でも美しい線が見え、柔軟性も高かった。

 

12年前、テレビドラマ「タンブリング」の影響もあり、小学生から男子新体操を始める子どもが増え始めていた。

が、当時はまだ高校始めも珍しくなかった時代だ。小さいころから男子新体操を始める子どもにまず何を教えるべきなのかは、まだみんな手探りだったと思う。

それが、徐々にキッズやジュニアの育成が系統だってきて「とにかく基礎をしっかり!」に行き着いたんだな、ということがこの「個人競技徒手」のルールを見ればわかる。そして、このルールが制定されて5年が経過し、今のキッズたちの演技を改めて見てみると、なんとまあ「ちゃんとしている」んだろうと、感心してしまった。

2位:青木蒼龍(synchression/小4)

※まだ4年生! それで鹿倒立もしっかり止めた後の伸びがこれだけ美しいとは! 動きに安定感があり、ふらつきが少なかった。

 

高学年といっても小学4~6年生だ。筋力も脚力もまだまだ発展途上の彼らは、もちろん失敗もしていた。

完璧だったわけではない。

それでも、「ちゃんと」した形を意識できていて、その練習を積んできたことはよくわかる。

こういう子ども達が、10年後にどんな選手になるんだろう?

想像するだけでも楽しみになる。そんな選手が目白押しだった。

3位:誉士太夏向(synchression/小4)

※なんとこちらも4年生! この高さに脚を上げても安定感のあるバランスはお見事! 動きに情感もあり表現力も感じられた。

 

ちなみに、第1回キッズ選手権高学年の部で優勝したのは当時小4だった乾蒼真選手(華舞翔新体操倶楽部)だった。その乾選手も今年大学4年生。この12年間での男子キッズの進化には目を見張るものがある。一時期は「より小さいころから凄いことをさせる」方向に行きかけていたように感じたこともあったが、ルールが整備され、そこも軌道修正されてきたと思う。

今の流れの中でキッズのうちに、正しい基礎、美しい体を身につけたならば、あとは積み上げていくだけ、だ。

10年後、男子新体操は驚くような進化を見せてくれるかもしれない。

そんな期待が膨らんだ今年の男子キッズ選手権だった。