第21回全日本ユースチャンピオンシップ(男子1班)の見どころ

いよいよ今日から!

全日本ユースチャンピオンシップが始まります。

1日目は男子個人予選(スティック、クラブ)と女子個人予選(クラブ、リボン)前半が行われますが、男子の見どころは、なんと言っても出場人数の多さ!!! 昨年の62名からぐっと増えて88名に膨れ上がっています。コロナ禍前の2019年時でも73名の出場だったのですから、この多さが画期的だということがわかると思います。

テレビアニメ「バクテン!」が放送されたのが2020年、映画公開が2021年ですから、せっかく「バクテン!」を見て、「男子新体操、見てみたい」と感じた人でも気軽に観戦できる大会がこの3年間はほとんどありませんでした。しかし、今年はついに本格的に観戦解禁! 今回のユースチャンピオンシップにも初めて観戦にみえる方も少なからずいると思います(思いたい!)。

しかし、そういう人にとっては、いきなりの88人×2種目は、ちょっとハードかもしれません。しかもユースチャンピオンシップ、男子は中2~高3までに出場資格があるので(女子は高校生しか出場できません)、キャリアも様々です。高校生最後のこの大会に勝負を懸けてくる選手もいれば、初挑戦でドッキドキ! という選手までが出ているので、どの選手を見ればよいの~? この選手うまかったように思うけど、これくらいが普通なのかしら? など迷うことも多いかと思います。

もちろん、楽しみ方は人それぞれです。好きに見て、好きに感じるのが一番! です。

ただ、少しばかり予備知識があればより楽しめるかもしれません。後になって「見逃した!」と悔やまずに済むかもしれません。

なので、今回出場する88選手の近年実績などをもとに「見どころ」を解説しておきます。少しでも参考になれば幸いです。

男子は1~3班に分かれて競技が行われます。まず、第1班(試技順1~28番)では、男子新体操の老舗強豪クラブ「大垣共立銀行OKB体操クラブ」(岐阜県)が登場します。【注:コロナ以降、所属クラブごとに試技順が固まっています。「箱推し」で見る人には見やすくなりました。】

このクラブには、現チャンピオン、元チャンピオンなどがごろごろいます。OBにも名選手がざくざくいます。

丸山一休選手(中3)は、昨年の全日本ジュニアチャンピオン。非常にバランスのよい選手で演技には安定感があります。昨年は中2だったため、今年は連覇も狙える位置にいます。

青木涼多朗選手(高3)は、2019年の全日本ジュニアで4位、昨年のユースでも決勝進出している力のある選手。スリムできれいな体の線が魅力的です。

髙橋定暉選手(高1)は、昨年の全日本ジュニア6位、山田拳伸選手(高3)は、2年連続で高校選抜大会出場、長瀬羚選手(高2)は2021年の全日本ジュニアでは2位、今年の高校選抜4位という実績のある選手です。そして田中千紗仁選手(高3)は、2年連続高校選抜大会に出場し、今年は優勝を飾った今のりにのっている選手です。非常に柔軟性に富み、情緒的な演技を見せる田中選手は、従来のOKBの選手たちとは少し毛色が違いますが、年々OKBらしい力強さ、巧みさを増してきている大注目の選手です。

かつては、OKBといえばほぼ毎年どのカテゴリーかのチャンピオンを輩出していました。表彰台に複数の選手がのることも多かったです。

そのころを知っている人から見れば、近年のOKBの実績は「やや物足りない」かもしれませんが、決して力が落ちたわけではないと思います。

おそらく男子新体操のクラブチームの中でもっとも古く、そしてもっとも早くからジュニア育成に本格的に取り組んできたのがこのOKB体操クラブ(旧・NPOぎふ新体操クラブ)なのです。競技を始める時期が早く、練習時間も多い。長らくOKBはその豊富な練習量で他の選手たちを凌駕してきました。しかし、近年は他のクラブチームも幼児期から新体操を始める子どもも増え、幼いころから競技を目指して練習を積むよういなってきました。周囲が追いついてきたのです。その結果、どの試合でもOKBの選手たちが優勝する、というようなことはなくなりました。

が、それでも、OKBはずっと「しっかりとした基礎力のある選手」を継続的に出し続けてきました。今のユース世代は、まさにそんなOKB世代の充実期にあたっていると思います。1つのクラブから8名も出場していること自体、凄いことです。そして、この選手たちはみんな、きっとかなりいい順位につけてくると思って間違いないでしょう。不安材料があるとすれば、3日目に行われる団体選手権にも彼らは全力でぶつかってくると思うので、個人の練習時間が十分とれているかな、ということくらいですが、それもOKBにとっては伝統ですから、大丈夫でしょう。

ここ数年は、少しずつ惜しかったり、悔しかったりすることも多かったOKBの選手たちですが、今年は田中選手の選抜優勝を皮切りに、大爆発してくれるんじゃないか、そんな予感がしています。

 

OKBに続いて登場する高田高等学校(三重県)は、現在の全日本チャンピオン・堀孝輔選手が教諭として在籍している学校で、堀選手が指導にもあたっています。ジュニア時代から堀選手とは同じクラブチームだった弟分たちが続々と高田高校に集まってきています。関戸銀児選手(高2)は昨年のインターハイに出場。ジュニア時代からスピード感溢れる巧みな演技で会場を沸かせてきた選手です。山本響士朗選手(高1)は、昨年の全日本ジュニアで3種目目まではほぼ優勝を手中にしていた選手です。最後のロープで大きなミスをしてしまい最終順位は4位となってしまいましたが、今年高校に進学した選手たちの中では間違いなくトップレベルの力をもった選手で、中3だった昨年のユースでも15位に入っています。全ジュニでの悔しい思いを糧にどこまで成長しているのか、今大会の演技が楽しみすぎる選手です。

昨年のユースチャンピオン・貝瀬壮を輩出した男子新体操の老舗名門校・光明学園相模原高校(神奈川県)からは5名が出場。昨年の全日本ジュニア8位の岩崎彪雅選手(高1)、同じく全日本ジュニア出場の岩崎竜誠選手(高1)という双子の兄弟が国士舘ジュニアから揃って進学しています。

ホワイトキューブ新体操教室(宮城県)からは中学が5名出場。中でも昨年の全日本ジュニア12位の高橋憲信選手(中3)には注目です。人気TolToker佐藤三兄弟や先日の東日本インカレで2位になった遠藤那央斗選手(青森大学)など、演技のかっこよさが際立つ選手が次々に育ってきたクラブだけに、この中学生たちにも期待してよさそうです。

シンドバット新体操クラブ(山梨県)の中澤陸選手(中2)は昨年の全日本ジュニアでは7位。小学生のころから全日本ジュニアでも目を引く存在だった期待の星です。技術が高いのはもちろんのこと「魅せる力」をもった華のある選手で、次世代スター候補といってもいいでしょう。

ベルーガすぽーつくらぶ(静岡県)の芦川友海選手(中2)も、男子新体操では新興のクラブですが、めきめき力をつけていて昨年の全日本ジュニアでは16位。かつて全日本ジュニアを中1で制したことのある伝説の名選手・福士祐介さん(青森大学卒)の指導による基礎力を武器におおいに成長が期待される選手です。

1班の最後には、鹿児島実業高校(鹿児島県)から3選手が出場します。エースの東凰雅(高2)は、2021年の全日本ジュニアチャンピオン。昨年旋風を巻き起こした「強い鹿実団体」のメンバーとして、団体選手権、インターハイ、全日本選手権にも出場し場数は踏んできています。今年の選抜ではミスが重なってしまったものの、それでも6位入賞と地力のあるところは証明しました。今回のユースでは、思い切りのいい演技を見せてくれそうです。米澤翔太選手(高1)も昨年は全日本ジュニアを経験し、今が伸び盛り。線のきれいな気持ちの良い演技に注目してほしいです。

<写真提供:naoko>

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