2016高校総体に向けて⑨~熊本県立芦北高校
1年前の高校総体。
34年ぶりにその舞台に戻ってきた熊本県立芦北高校だが、本番の演技では力を出しきれたとは言いがたかった。
もちろん、完璧な演技ができたとしても、まだ上位チームとは差がある。
それはわかっていたことではあるが、本番ではいくつかのミスもあり、出場23チーム中20位。
目標だった高校総体に、いざ出場したときの厳しい現実を知る大会になった。
果たして今年はどうだろう。
7月25日、芦北高校の体育館を訪ねてみた。
今年のメンバーも、ジュニアから新体操経験がある選手は2人しかいない。
それでも、3年生は、高校に入ってから2年以上練習を重ねてきたなりの力をつけてきている。
技によっては、とても高校から始めたとは思えないレベルに到達している選手もいた。
なによりも、6人そろったときの「チームとしてのまとまり」は、1年前とは見違えるようになった、と感じた。
やはり、実際にチームとして高校総体という舞台を経験してきた、ということが大きいのだろう、と思う。
「去年はやりきれなかった分も今年は!」という思いを、昨年から引き続きメンバーに入っている選手は強く持っているだろうし、そういう思いはほかの選手にも伝播する。
1年前は、監督やコーチから「そんなんじゃだめだ」と言われても、「だめだ」と言われる理由が飲み込めていなかったのではないかと思う。
しかし、今は違う。
できるかどうかは別として、「こうありたい」というものが彼らには見えてきているように見えた。
そして、そのために何をしなければならないのか、少しずつわかってきているのではないだろうか。
そのことを顕著に感じさせたのは、個人での総体出場も決まっている赤星光希(2年)だ。
中学時代に全日本ジュニア出場も経験し、現在の芦北高校ではもっとも実績をもっている選手だが、1年前の彼は、受験シーズンにブランクがあり、その後、腰痛にも悩まされていたということで、見るからに重たい動きをしていた。
ところが、今年はまさに見違えるようだった。
ジュニア時代に見せていたキレのいい動きが復活し、そして、年齢を重ねたなりの重みや、とき艶めいたものさえ感じさせるようになっていたのだ。
団体でも目立つポジションに置かれることの多い選手なだけに、彼の成長はそのままチームの成長につながる。
これは大きい。
もちろん、まだまだ粗けずりなチームだ。
本番でよい1本を出せるだけの勝負強さも、おそらくまだない。
それでも。こうして着実に1段ずつ階段を登るように成長していくチームは見ていて気持ちがいい。
今回の高校総体で、彼らがどこまでジャンプアップできるのかはわからない。
けれど、必ず次に繋がる試合にはなるはずだ。
そう確信できるチームに彼らはなっていた。
ならば、今年もまた、高校総体の壁に思い切りぶつかってくるといい。
そこで経験したことはすべて、おそらくジュニアからあがってくる多くの新入生を迎える来年に生きるはずだから。
PHOTO & TEXT:Keiko SHIINA