全日本ジュニアに向けて~JKA芦北ジュニア新体操クラブ

熊本県は、かつて男子新体操王国だった。

県立水俣高校は、高校総体で何回も優勝しているし、その時代をリードする新体操が熊本から発信されている時代があった。

 

しかし、その水俣高校も、一時期は廃部危機がささやかれるほどの部員不足に陥る。

数年前からなんとか復活し、高校総体にも出場しているが、当然、常勝だったころのようはいかない。

九州では依然として、佐賀と宮崎は全国レベルだ。そして、話題性では常に一番、さらに近年は実力もつけてきた鹿児島実業もいる。

熊本県が、再び全国の頂点を目指すには、まず九州の壁が厚い。

それでも、「熊本の男子新体操の復活」に懸け、行動する人たちは驚くほど多い。

彼らの思いと努力の結晶が、昨年全日本ジュニアに初出場を果たし、今回も出場するJKA芦北ジュニア新体操クラブだ。

監督の江口和文は、全盛期の水俣高校の選手から、福岡大学に進学して新体操を続け、福岡大学卒業後には、福大の監督を務めていた時期もある。

いまだに語り草になっている2011年の福大団体「ほたる」のときの監督がこの江口だ。

その江口が、現在は故郷の熊本に戻り、芦北ジュニアの団体を率いている。

今年になってからは、花園大学を卒業したばかりの一藤如月も指導陣に加わり、選手たちのこの上ない見本となっている。

小学生人口が1000人にも満たないという芦北町だが、芦北ジュニアはかなり以前から活動は続けていた。小さな町のわりには会員数も少なくはない。

芦北の小学生に、男子新体操はそれなりに浸透はしてきていた。

が、中学生になっても続ける子どもがあまりいなかったという。現在の団体メンバーは久しぶりに中学生になっても団体が組めるだけの人数残ったのだそうだ。

小学生のころから、九州小学生大会では神埼ジュニアを上回って優勝もしていた彼らの新体操からは、「熊本の男子新体操」に対する先輩たちの思い入れが伝わってくる。

彼らの新体操は、徒手ありきだ。

それも「徒手」というだけあって「手」の動き、形、そして上体の動きにはかなりのこだわりが感じられる。

演技冒頭と終盤に、彼らのその動きの見せ場が用意されているが、そのスピード感と迫力は高校生級ともいえる。

いかんせんまだジュニアだ。

なにもかもが完成されたチームというわけではない。

高校生級の強さ、うまさを見せたかと思えば、まだまだ力不足な面が露呈する瞬間も少なくはない。

それでも、中学2年生が多いというこのチームは、現段階でここまできた。

全日本ジュニア初出場の昨年は、納得のいく演技ができず、結果もついてこなかったが、今年はまず「自分たちのよさ」をしっかり見せられる演技をしてくれるはずだ。

この1年、それだけの練習は積んできているのだから。

それでも、今はまだトップレベルのチームとは差はあるだろう。

しかし、彼らには来年もある!

自分たちの目指すところが、去年よりもずっと近くになっていることを実感できる大会にすること、それが大事なのだ。

一歩一歩。

そして、いつかは「かつていた栄光の場所」へ。

今はまだその道の途中だが、きっとこの道はそこに続いている。

 

PHOTO & TEXT:Keiko SHIINA