女子高生、おそるべし! ~女子体操界は、新世代スターが続々!
女子高生、おそるべし! ~女子体操界は、新世代スターが続々!
今年の世界選手権に出場する女子代表選手は、4人中3人が高校生というフレッシュな布陣となった。
また、今回、代表には惜しくも届かなかった選手の中にも高校生がいた。
中には、年齢が足りずに、もともと世界選手権の出場資格はないながらも、年齢さえ足りていれば・・・
というほどの活躍を見せた高校生もいた。
ここ数年は、田中理恵、鶴見虹子の2枚看板という感のあった女子体操だが、
いよいよ世代交代は如実になってきている。
なにしろ、この女子高生達、強いのだ。
この先、日本の女子体操をしょっていくことになりそうな期待の女子高生選手たちを
紹介しておこう。
●寺本明日香(レジックスポーツ/高3)
2013種目別選手権▼
跳馬2位(14.100)段違い平行棒8位(12.750)平均台2位(13.850)ゆか6位(13.200)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
1位(総合計得点82.500)
2012NHK杯▼5位(決勝4種目合計54.150)
※能力の高さもさることながら、驚かされるのはそのメンタルの強さ。そして、責任感の強さだ。
ロンドン五輪後に手を骨折、手術までしながら、今シーズン開幕に間に合わせてきた精神力、根性など
まだ高校生ながら、尊敬に値する。記者会見などの受け答えも客観的で非常に冷静。自らの演技の不足点、
今後改善すべき点などもきちんと分析して話すことができるクレバーな選手だ。
●笹田夏実(帝京高校/高3)
2013種目別選手権▼
段違い平行棒1位(14.150)平均台2位(13.850)ゆか2位(13.650)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
2位(総合計得点82.150)
2012NHK杯▼10位(決勝4種目合計52.600)
※ロンドン五輪代表にあと一歩のところで届かなかった経験が糧になっているのか、今シーズンになり、
どんどん安定感を増してきている印象の選手。演技にはとにかく華がある。のびやかな動きで、
大きさが感じられ、姿勢などに欠点がなく、「穴のない選手」だ。平均台の入りの技は、インパクト大で
成功すれば得点源だが、最初にあの大技を入れるのは、並大抵の度胸ではない。
同じ年の寺本とは日頃から仲もよいらしい。2人で日本の体操を引っ張っていく存在になりそうだ。
●村上茉愛(池谷幸雄体操倶楽部/高2)
2013種目別選手権▼
跳馬1位(14.500)ゆか4位(13.450)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
3位(総合計得点81.875)
2012NHK杯▼6位(決勝4種目合計53.500)
※「(世界選手権では)ゆかで金メダルをとりたい」と記者会見で明言した度胸満点のパワフル娘。
ゆかの演技は、世界でも最高難度レベルで、この演技を本番でノーミスで通せれば、「メダル獲得」もあながち
夢ではないので、大言壮語とは言えないが、とにかく元気で奔放、のびのび、明るいキャラクターの選手だ。
演技のダイナミックさは、身体能力もさることながら、この野生児のような性格にも拠るのだろうと思える。
世界選手権代表に決定しながらも、ゆかのラストで失敗して優勝できなかったことの悔しさのほうを
消しきれない様子だった負けん気の強さも、試合での本番強さにつながってくるだろう。
●内山由綺(スマイル体操クラブ/高1)
2013種目別選手権▼
段違い平行棒2位(13.800)ゆか1位(13.750)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
7位(総合計得点79.100)
2012NHK杯▼3位(決勝4種目合計54.600)
※種目別選手権のゆかでの第1タンブリングはすさまじいものがあった。スリムで、筋力はそれほどありそうに見えない
あの体のどこに、あんな力を持っていたのか? と思う高い高いタンブリング。それでなくても、内山のゆかには、
体操競技であることを忘れさせるほどの美しさ、表現力の豊かさがあり、観客を魅了するものがある。
圧倒的な線の美しさは、どの種目でも大きな武器となり得るだろう。まだ高校生になったばかり。
早生まれのため年齢の関係で、まだシニアの国際大会に出場できないが、 来年になれば、いよいよ国際シニアデビュー!
その日が楽しみでたまらない選手だ。
●井上和佳奈(水鳥体操館/高3)
2013種目別選手権▼
跳馬4位(13.500)ゆか5位(13.350)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
4位(総合計得点80.525)
2012NHK杯▼13位(決勝4種目合計52.000)
※今シーズン、とても安定して試合で力を出せている選手のように思う。記憶に残るような大きなミスが少なく、
自分なりのベストに近い演技ができる精神的な強さがあり、頼もしい存在になりそうだ。
バネのある選手という印象が強かったが、最近の演技は、とにかくそのバランスのよさが、目立つ。
タンブリングも強く、動きの美しさもあり、表現力も向上している。世界選手権の代表こそ逃したが、
寺本、笹田、村上にひけはとらないだけの力はもっている。代表に選ばれた東アジア大会での活躍を期待したい。
●湯元さくら(ならわ体操クラブ/高2)
2013種目別選手権▼
跳馬3位(13.650)平均台4位(12.900)
2013全日本選手権(総合得点1/2)+NHK杯2日目▼
8位(総合計得点78.400)
2012NHK杯▼21位(決勝4種目合計48.350)
※なんと言っても表現力が魅力の選手だ。ゆかでは、名前のとおり「さくらさくら」を使用しているが、曲によく
合った動きや表現は、ぱっと目を引くものがある。おそらく上半身や腕の使い方がうまく、柔らかいことによるもの
らしく、上半身の動きが生きるゆかや平均台の演技が印象に残る。しかし、種目別選手権では跳馬でも3位と
脚力のあるところも見せてくれた。井上とともに東アジア大会出場が決まっている。国際シニアデビューの今シーズン
思い切って演技してきてほしい。
PHOTO by Yoshinori SAKAKIBARA/Tatsuya OTSUKA TEXT by Keiko SHIINA