第57回NHK杯に向けて② 注目の1組

全日本選手権上位6選手による1組の中から、世界選手権代表の2名が出る可能性は極めて高く、注目せずにはいられない組だ。

持ち点(全日本選手権予選+決勝の得点)の差も大きくない。首位の谷川と3位・内村の差は、0.832。5月20日は手に汗握る展開になりそうだ。

 

●谷川 翔(順天堂大学)持ち点172.496(1位)

全日本選手権予選、決勝の12演技中、14点台にのらなかったのは鉄棒の2演技のみ。あん馬、平行棒では15点台にも手が届くだけの実力はある。高いE得点を武器に、世界選手権代表に初名乗りをあげるか?

 

●白井健三(日本体育大学)持ち点172.146(2位)

全日本選手権予選、決勝で4つの15点台をマーク(ゆか・跳馬)。得意種目での爆発的な得点力は他の追随を許さない。一方で、あん馬、つり輪がすべて13点台に終わっており、課題となっている。

 

●内村航平(リンガーハット)持ち点171.664(3位)

全日本選手権11連覇は逃したが、予選、決勝12演技の中で14点に届かなかったのは、落下のあった予選でのあん馬のみ。ほか11演技はきっちり14点台にまとめ、予選5位から3位まで順位も上げ、貫禄を示した。ただし、全日本選手権においては15点超えした種目がなく、14点台にはのせても14点台前半にとどまった種目が多かった。全日本選手権を戦い抜いたことで試合勘を取り戻し、より精度の高い実施が戻ってくれば得点の上積みは期待できるだろう。

 

●萱 和磨(順天堂大学)持ち点171.329(4位)

全日本選手権では、予選のゆかと鉄棒(予選、決勝とも)が13点台。ほかは14点台にのせているが、得意種目のあん馬が決勝では、14.400と得点が伸びきれなかったため、NHK杯ではさらなる高得点を出せれば、総合順位も上がりそうだ。

 

●田中佑典(コナミスポーツ)持ち点171.062(5位)

決勝の平行棒でマークした15.266は、全日本選手権の全選手、全演技を通しての最高得点。あん馬、跳馬は13点台にとどまっているが、平行棒、鉄棒の得点は抜きんでている。全日本選手権は予選で7位とやや出遅れたが、決勝で巻き返しての5位と、ベテランらしいしぶとさも見せた。

 

●千葉健太(順天堂大学)持ち点170.396(6位)

つり輪、鉄棒など14点を切っている種目もあるが、それも極めて14点に近い得点であり、6種目通して大きくへこむところのないバランスのよさが強みだ。決勝の平行棒では15点にものせ、得意のあん馬もかなり上位につけている。実施の美しさには定評があり、高いE得点で勝負する選手だ。

PHOTO:Yuki  SUENAGA ※田中のみ2016年のもの