2014体操ワールドカップ東京大会 記者会見/内村航平

4月5日、東京体育館で開催される「体操ワールドカップ東京大会」の公開練習が、本日行われた。

 

また、練習終了後に、出場する日本人選手の記者会見も行われ、各選手、今大会と今シーズンの抱負を語った。

 

今日の公開練習での内村航平は、まるで存在感を消すように、フロア上に出てくる時間も短く、抑え目な練習に終始していた。しかし、それでもひとたび器具について動き始めると、周囲の選手やコーチたちが取り囲んで凝視するほど、精度の高い動きを見せていた。

ここ数年になく短めにカットした髪型のせいか、少しやせたようにも見え、その動きはよりシャープかつ繊細になったようにも見えた。

会見でも、「Dスコアは、練習では6種目合計で40くらいまであげてやってきたが、そこまでやると、怪我の心配も出てくるし、また肩が痛くなりそうな感じもあったので、今回は、38.7まで落としてやる。それでも今までより難しいことを、かつ美しくやる、というのが今年の目標。」

と語った。

「久しぶりの試合なので、気負いすぎず、無理せず、10であれば6くらいに抑えるつもりで、楽にやれば、いつもとおりにできると思う。」

と語った内村は、25歳という自身の年齢について聞かれると、

「25歳を乗り切れば、リオ五輪につながるのかな、と思っている。いろいろな先輩たちからも、25歳からちょっとずつ(衰えが)くるよ、と言われていますし、28歳でもう一度くるよ、とも言われています。なので、25歳は気をつけようと思っていて、普段から無理しないことを心がけている。今日のような練習でも、6種通すことができそうだな、と思っても、それを避けるようにしている。2日続けて通しはやらないようにして、ケガには気をつけている。」

と、ベテランならではの、年齢なりの調整法を披露した。

記者から、「髪を短くしたのはなぜか?」と聞かれたときも、

「25歳だし、結婚もしたし、あまり長いのは印象が悪いかな、と思ったので。もう大人なので。」と答え、笑いを誘った。

 

「今回の向けて演技は仕上がっているので、問題はない。体にもとくに気になるところはない。」と好調をうかがわせる余裕の発言が多かった内村だが、今大会の鉄棒の構成に関しては、「下り技に3回ひねりをやって、最後の最後にキツイことやるなあ、というのを世界に向けてアピールしたい。東京体育館の鉄棒の着地では、今まで動いたことがないので、今回も止めたいが、3回ひねっているので、さすがに、1歩くらいでおさまればいいかな、と。」と、闘志を見せた。

 

今大会で優勝すれば、世界選手権代表が内定するが、「内定をもらったとしても、今後の試合に対する気持ちはあまり変わらない。全日本にもNHK杯にも出るつもりでいるし、そこで代表を獲りにいく、というつもりでいる。」と言う内村。昨年度の世界選手権で銀メダルと、自分のすぐ下につけてきた加藤凌平選手についても、「あまり意識はしないが、お互い意識せずにはいられない相手。いい刺激にしてやっていきたい。」と、語った。

最後に記者から、6種目それぞれのDスコアを教えてほしいとリクエストされると、「ゆか6.6、あん馬6.2、つり輪6.2、跳馬6.0、平行棒6.7、鉄棒7.0」と即答。

合計38.7は、十分ハイスコアだが、それでも「無理はしていない」と言えるのが内村の強さだ。

今季初戦で、またその圧巻の演技を見せつけてほしい。

 

●内村航平

 

PHOTO & TEXT  by  Keiko SHIINA