2013東京国体 成年男女決勝
2013年10月4日に第68回国民体育大会体操競技会、成年決勝が行われた。
●成年女子
話題性があるためか、長崎県代表を追いかけるカメラが多く見られた。
しかし、話題性だけでなく、実際に内村春日選手(日体大大学院)はとてもいい演技をしていた。
ゆかでは表現力が感じられた。彼女の演技は全日本などで何度か見たことはあったが、
今回の演技は私が今までで見てきたものの中では一番ひきつけられた。
本人も満足のいく出来だったのか、演技終了後に笑顔がこぼれる。
得意の平均台もほとんどの着地を止める完璧な実施だった。
彼女独特の柔らかい雰囲気を纏いつつも、きっちりと押さえどころは決めてくる、そのメリハリ、
絶妙な兼ね合いにひきつけられたのだ。全種目大きなミスのない実施で終始笑顔。
父であり監督である内村和久さんとも笑顔でハイタッチをしていたのが印象に残る。
また、ゆかで記憶に残っているのが、新潟県代表の平松花梨選手(日体大)。
なんともセクシーなゆかだった。振り付けと、彼女のもつものが合っているのだろうか。
ラインオーバーはあったが、個人的にとても好きな演技だったので、ぜひもう一度見てみたい演技だった。
東京都代表の長谷部晴子選手(大阪体育大)は、安定感のある演技を見せた。
特に段違い平行棒では前の選手の採点が長引き、演技前に結構な時間待たされてしまうも、
大きなミスはなく着地を止める。やはり少しのことでは崩れないというのもとても大切な強みだなあと実感した。
●成年男子
千葉県代表はつり輪が最終種目。その最終演技者、久永将太選手(順大)は視線が集まる中での演技となった。
本当に最後の最後である着地で大きくしりもちをついてしまう。と同時に「あーーーーー!!!!!」という声をあげてしまう。
最後だっただけに決めたかったに違いないだけに、つい悔しくて叫んでしまったのであろう。
しかし、暗く引きずる感じは全くなく、すぐに後ろを振り向いて応援団に笑顔で「ありがとうー!」の大きな声。
そんな姿を見ていて、ついほろりとしてしまった。そんな感謝の想いが、演技からも伝わってきた。
全日本選手権などで演技、パフォーマンスともに注目の岡山県代表長谷川智将選手(日体大)。
得意のあん馬では少し停滞があったためか、あのパフォーマンスは見られず。
しかし、その後の跳馬では着地を止めるいい実施。演技終了後にパフォーマンスをするも、少し恥ずかしそうにしていた。
国体は県代表ということもあり、いつもの応援とは違った雰囲気だったためか、照れながらあの動きをする微笑ましい姿が見られた。
これはこれで珍しいものを見られたのかもしれない。
同じ日体大の神本雄也選手(東京都代表)はやはり平行棒が素晴らしい。
彼の演技を見たことがある人には通じるかもしれないが、あのぬるっとしている演技。クセになり、ひきつけられてしまう。
この日も彼の演技は変わらなかった。つり輪でも力強さを見せ、着地を止めるいい実施。
そして、この日はなんといっても大阪府代表に注目が集まる。その中心は、やはり植松鉱治選手(コナミ)だろうか。
跳馬では着地が大きく崩れてしまい、本人も「やってしまった」という顔で舌を出す仕草。
しかし鉄棒では、いつもの観客を沸かせる演技。下りでも着地を決める。
大阪府代表の鉄棒で印象に残っているのは森赳人選手(コナミ)。落下してしまうも、もう一度同じ技からチャレンジしていた。
そしてラストもきちんと着地を止める。
もう一度やればいい、というわけではないとは思うが、やはりこういった演技には心を打たれてしまう。
当たり前ではあるが、やはり全日本選手権などとは違った雰囲気の国体。
この日は特に選手たちもリラックスしているように見えた。
笑顔や選手同士のかけあいも多く見られたことからも、その雰囲気がわかる。
代表争いのかかった大会では味わえない空気感があり、そこでしか見られない選手の一面もあったりしてファンにとっても楽しい競技会だった。
PHOTO by Yoshinori SAKAKIBARA(本大会での写真ではありません)
Norikazu OKAMOTO(植松のみ。本大会での写真ではありません)
TEXT by umi