2013国際ジュニア体操競技大会~種目別決勝女子前半種目

2013国際ジュニア体操選手権種目別女子決勝ではアメリカのBailie KEY選手が、

前日の個人総合に引き続き種目別でも4種目全てで優勝を果たした。まさに完全女王である。

 
【跳馬】
 
 
跳馬の1人目はYan WANG選手(CHN)。先に男子が演技をしていたとはいえ、この日初のしかも1発で決まってしまう跳馬の第1演技者。
また、この日の種目別は1人ずつの実施だったので、自然と視線が演技者に集中する。そんな緊張感のある状況だったが、空中姿勢が大変綺麗な実施。
体はすごく小さな選手だが、高さのある跳躍で大きく見えた。中国選手らしい針のような「シュピッ」と音が聞こえるような演技だった。着地で横によろけてしまったのが惜しい。
 
宮川紗江選手はアメリカや中国の選手のようにひねりの多い跳躍ではない(1回ひねり)が、その分とても美しい実施。高く上がり、空中姿勢も美しい。
着地までピタリと止め、とても好印象だった。Dスコアは5.0だが、やはりEスコアは高く評価されたようで、9.2という高得点を出した。(14.200)
杉原愛子選手の跳躍は、手をつく位置がやや遠かったように見えた。そのためか上手く体が上がらず、着地では尻もちをついてしまった。
宮川選手よりさらに半分ひねるDスコア5.3の演技だったが、Eスコアで大きく引かれてしまった。(12.775)
このあたりが体操競技の面白いところである。DスコアとEスコアの兼ね合いが難しく、だからこそ面白いのである。
 
Lauren HERNANDEZ選手(USA)は少し着地が低くなってしまったが、1歩にまとめる実施。ひねりのスピードが速く、パワフルな演技。
個人的に興味をもったのはKim JANAS選手(GER)。距離のある跳躍で、着地も止めた。何より前方系の伸身の技が珍しく、姿勢も着地も綺麗で見とれてしまった。
今大会では表彰台にのぼることはなかったが、今後、注目していきたい選手である。
 
そして今大会のヒロイン、Bailie KEY選手(USA)は、驚くぐらい高くて余裕のある実施!
線も美しく、2回ひねっているようには見えないくらいいとも簡単に跳んでいるようだった。が、決してそんなことはなく、
きっとたくさんの努力をしてきたんだと思うと、やはり素晴らしい選手なんだなあと改めて実感した。
 
この跳馬には日本人選手が2人も出場しており、日本女子が苦手としていたイメージが徐々になくなってきている気がした。
もちろん、世界選手権代表の村上茉愛選手の影響も大きくあると思う。
一方で、日本がずっと得意としていた段違い平行棒では1人も決勝に残っていないことや、ゆかには2人出場などからも、
女子体操の流れや日本の傾向が、少し変わってきているように感じた。
 
 
【段違い平行棒】
 
Andreea IRIDON選手(ROU)の停滞なくスピード感のある実施から始まる。倒立も大変美しく、見応えのある演技をする。
小さな体が2本のバーの間で華麗に舞う姿はとても素晴らしかった。
続いても倒立の美しいMaria BONDAREVA選手(RUS)。とても高さのあるトカチェフを実施したときは驚いた。
彼女も小柄な選手だが、嘘のように高いトカチェフだったのだ。着地も1歩にまとめ、全体的に綺麗な実施。
 
 
そして女王、Bailie KEY選手(USA)。迫力のある大きな演技。割と無難な構成なのに、あれだけ迫力があるのはやはり彼女だからなのか。
彼女のもつ雰囲気と演技が、どの種目でも見事にマッチしているようだ。着地もピタリと止め、空気を全て自分のものにしてしまった。
 
Maria KHARENKOVA選手(RUS)はマロニーがとても印象的。流れのある大きな演技で、しかも体線が美しい。
全体を通してその美しい体線を維持しながら、美しい弧を描くような演技をする選手。
そしてゆかの演技が印象に残っているCatherine LYONS選手(GBR)。彼女は体が大きく、脚も長い。
その体を生かした演技をしており、ギンガーは特に大きく素晴らしい実施。難度は決して高くないが(4.9)素敵な雰囲気をもつ。
着地は1歩にまとめる。
 
今回は段違い平行棒では日本人選手の出場はなかった。日本女子といえば段違い、というイメージが強くあったので、
個人的には少しさみしい気もするが、逆に今まで絶対に敵わないと思われていた跳馬やゆかでの活躍が期待できるのはとても楽しみである。
 
PHOTO by Yoshinori  SAKAKIBARA   TEXT by umi