第70回全日本体操種目別選手権(男子)~リオ五輪への残り3枠を懸けたスペシャリスト決戦

リオ五輪日本代表の座を懸けた最後の大一番が今日、代々木体育館で始まる。

すでに代表に決定している内村航平(コナミスポーツクラブ)、加藤凌平(コナミスポーツクラブ)に続き、残り3枚の五輪へのチケットをつかもうと、スペシャリストたちが決戦を繰り広げる「全日本体操種目別選手権」だ。

内村、加藤との組み合わせによってより高いチーム得点が期待できる選手が選抜されるため、各選手、それぞれの得意種目で「可能な限りの高得点」を目指すいわば「捨て身の演技」を見せるこの大会。

五輪代表争い、という見方だけでなく、各種目の現時点での日本の最高峰の演技を見られる大会としても注目したい。

4日に行われる予選には、シード選手は出場しないが、上位8選手のみで行われる5日の決勝を目指し、各種目のスペシャリストがしのぎをけずる。

 

【ゆか】

1組の谷川翔(市立船橋高校)、湯浅賢哉(市立船橋高校)は、次世代のトップを担う逸材たち。とくに谷川は、NHK杯で終盤まで上位に食い込む大健闘を見せた進境著しい選手。

2組の、白井健三にも迫るひねり力を見せる五島誉博(仙台大学)の演技にも注目したい。

3組には、昨年はアジア競技大会、ユニバーシアード、世界選手権と大車輪の活躍を見せた早坂尚人(順天堂大学)が登場。宗像陸(相好体操クラブ)の、ダイナミックな演技も楽しみだ。

4組も佐藤巧(徳洲会体操クラブ)、谷川航(順天堂大学)と力のある選手が並ぶ。谷は持ち味である吸い付くような着地が決まれば、高得点が期待できそうだ。

決勝では、ここにシード選手の白井健三(日本体育大学)が加わる。

 

【あん馬】

1組でいきなり2013年世界チャンピオンの亀山耕平(徳洲会体操クラブ)が登場。五輪を懸けた起死回生の高難度演技で16点台を目指す。圧倒的に美しい亀山ブランドのあん馬は見逃せない。

2組には、社会人になってからめきめき力をつけてきている横山聖(コナミスポーツ)、武田一志(徳洲会体操クラブ)がいる。社会人1年目の野々村笙吾(セントラルスポーツ)も、NHK杯では調子をあげてきていたので期待したい。

3組は、西日本の学生チャンピオン・前野風哉(鹿屋体育大学)、昨年はあん馬と鉄棒での貢献度で世界選手権代表となった長谷川智将(徳洲会体操クラブ)、先日のブラジル国際で大活躍、あん馬優勝の今林開人(セントラルスポーツ)と、有力選手がひしめきあう。

決勝では、ここにシード選手の萱和磨(順天堂大学)が加わる。

 

【つり輪】

日本の弱点と言われるつり輪は、「貢献度」という点では、勝負どころになる。

1組は、美しくコントロール力に優れた野々村笙吾のつり輪、力強い武田一志のつり輪の競演のあと、つり輪には絶対の自信をもる長野託也(朝日生命)が登場する。

2組は、コンディション万全ではないながらも、得意のつり輪で貢献度を示したい神本雄也(日本体育大学)が登場。また跳馬のスペシャリスト・小倉佳祐(相好体操クラブ)も2つ目の貢献種目としてつり輪に挑む。

3組には、日本のつり輪キング・山室光史(コナミスポーツ)がいる。まずはここで、存在感をおおいに示したい。

昨年の団体選手権のつり輪で圧巻の演技を見せたポパイ・市瀬達貴(朝日生命)もこの組だ。

4組の齋藤優佑(徳洲会体操クラブ)は、豪快かつパワフルな演技、田中佑典(コナミスポーツクラブ)は、つり輪ながら優雅とも言える独特の演技で勝負をかける。

 

【跳馬】

1組での注目は、跳馬での新技ももつ小倉佳佑。

2組には、この種目に懸ける思いはひとしおの佐藤巧、安里圭亮(相好体操クラブ)が登場。

3組の齋藤優佑の雄大な跳躍、谷川航の美しい空中姿勢にも注目したい。

4組にはつり輪に続いて山室光史が登場。ロンドンでは予選で骨折し悔しい思いをした跳馬で、今回はリベンジを果たしたい。

決勝では、ここにシード選手の白井健三(日本体育大学)が加わる。

 

【平行棒】

日本の平行棒のレベルは非常に高く、15点台は当たり前に出せる選手たちがひしめきあっている。

そんな中で、トップ争いにがらんできそうなのは、1組の野々村笙吾、2組の田中和仁(徳洲会体操クラブ)、3組の神本雄也、加藤凌平、4組の萱和磨あたりかと思われる。

とくに神本は、平行棒で16点台を出すことができれば、五輪への道が開けてくるだろう。

ほかにも、平行棒の進化が著しい白井健三にも注目したい。

決勝では、ここにシード選手の田中佑典が加わる。

 

【鉄棒】

平行棒同様、レベルの高すぎる鉄棒だが、1組トップで登場する田中佑典が16点台をマークして、チーム貢献度で他の選手を突き放せるかが見どころとなりそうだ。

伸び盛りの白井健三、萱和磨らは鉄棒でも自らのポテンシャルを示してくれるだろう。

最終演技者となる長谷川智将は、昨年のこの大会、最後の鉄棒で代表を決めたときの感動は記憶に新しい。

今年も、あの感動を再現できるか。l期待したい。

決勝では、ここにシード選手の内村航平(コナミスポーツクラブ)が加わる。

 

PHOTO:Yuki SUENAGA      TEXT:Keiko SHIINA