山本響士朗(高田高校)が高校3冠達成!~2024北部九州インターハイ(男子個人)
山本響士朗(高田高校2年)が、今年3月の高校選抜、5月のユースチャンピオンシップに続き、インターハイも制覇。
さらっと「高校3冠」を達成しました。たしかに、男子の19番目で登場した山本選手は、リング、ロープとも頭ひとつ抜けた演技を披露し高校生ではなかなかでない17点台をマーク。ロープでは、17.525と大学生でもなかなか出ない高得点をマークする圧巻の演技でした。間違いなく難しい内容をこなしているのに、まったくミスする気配がない、卓越した安定感には脱帽でした。
奇しくも山本選手の直後の演技順だった長瀬羚(済美高校3年)もリングでは17.175と17点超え、ロープも16.950と山本選手に迫りましたが一歩及ばず。長瀬選手も演技内容の難しさ、スピード感では山本選手に劣らず、この2人の演技が続いた7班は別次元の戦いでした。
3位には、リングで17.025と17点超えを成し遂げ、ロープも16.675と2種目を高いレベルでまとめた高山蓮音(坂出工業高校3年)が入りました。高山選手は、タンブリングの強さ、体操の大きさ、深さなどの持ち味はしっかりと見せつつも、どこか冷静さをまとった静かな闘志を感じさせる3年生らしい演技でした。
4位には1年生ながら、2種目とも16点台後半まで得点を押し上げた村山颯(国士館高校1年)がつけました。ぐっと身長が伸びて演技にスケール感を増しながら、持ち味の清廉な雰囲気は損なわず、「美しく、そして強い」演技へと変貌を遂げつつある村山選手は、この先、どこまで山本選手に迫れるか、期待が膨らみます。
5位の東凰雅(鹿児島実業高校3年)は、1種目目のリングでは流れるようなスムーズさでスピード感あふれる演技、つなぎの良さ、操作の正確性も際立っていましたが、ロープでやや操作にもたつきが出てしまったところが惜しかったです。それでも大きなミスにせずにまとめられた対応力は素晴らしかったですが、得点を伸ばしきれませんでした。
6位には、美しい線と大きさの見える演技で2種目とも16点台にのせた吉澤昴(県立井原高校2年)が入りました。吉澤選手は井原の選手ではありますが、いわゆる「井原らしさ」とはひと味違った彼の色をもった選手で、その個性がより洗練されてきたように感じました。
上位入賞した選手以外でも、まだ熟練度が上がっていないながらも、可能性や魅力を感じる選手は多数いました。
まだ粗削りながら、のびやかで美しい線が見えた都甲正人(尼崎西高校3年)、身長も大きくタンブリングも強く、今回はまだミスが出ていましたがチャレンジングな手具操作も見せていた寺田翔晴(清風高校2年)、大人びた表現力を感じさせる新垣大輔(南風原高校3年)、情感の伝わる動きが魅力的な加藤慧士(半田高校3年)。まだ試合本番でミスなく通し切れていないだけで大きな可能性を感じさせる選手たちでした。
新体操未実施県だった滋賀県から代表として出場してきた上嶋悠大(滋賀学園高校1年)は、1年生ながらタンブリングも強く、2種目とも大きなミスなくまとめる勝負強さも見せ、来年開催の滋賀国スポに向けて楽しみな選手でした。
宙に浮いているリングに両足で飛び込むというリスキーな技を見せてくれた笹原實(京都市立紫野高校3年)は、小柄ながらもバランスのよい体型で動きが大きく見え、高いポテンシャルを感じました。
山本、長瀬というスーパー高校生2人と同じ班で演技し演技力、表現力では劣らぬものを見せた安達大翔(盛岡市立高校3年)、落下が多く点数は伸ばせなかったものの、大柄なうえに動きも大きくスケール感のある八木琉大(島田工業高校3年)、タンブリングも強く、きびきびとした動きが小気味よかった渡邊太陽(埼玉栄高校3年)、手具落下のミスがもったいなかったが、無理のない美しい動きが魅力的だった矢島優聖(青森山田高校3年)、柔軟性があり、ていねいな演技が好印象だった溝田気心(神埼清明高校3年)らも印象に残りました。
開催県・福岡代表の吉村瞭汰(福岡舞鶴高校3年)は、地元の大声援を受け、2種目とも大きなミスなくまとめました。過去の大会ではミスで自滅することも多かった選手だけに成長が感じられましたが、男子新体操らしい良さを演技の随所で感じさせてくれるこの選手には、まだのびしろが感じられます。ジュニア時代とは見違えるほど美しい線が出せるようになった岩﨑彪雅(光明学園相模原高校2年)は、今大会ではまだミスが出ていて点数が伸びきれていませんが、完成度が上がってくるとかなり上位に迫れるのではないかと思います。タンブリングも強く、随所に美しい線が見えるものの、まだ未熟な面も散見される「未完の大器」と感じたのが又川宝乗(新湊高校3年)でした。2種目目のリングはノーミスで観客を惹きつける力をもっていました。
今の高校生は、上位陣がかなり高いレベルに達してしまっているので、それ以外の選手たちにとっては、上位の壁はかなり高く感じるのではないかと思います。
が、たとえば大学であと4年間新体操を続けるとしたら、かなり伸びる可能性を多くの選手が持っているんじゃないでしょうか。今日の試合でもミスしてしまったり、良さを発揮できなかったりして悔しい思いをしている選手も多いかと思いますが、それでも「良さ」や「可能性」は垣間見えました。あとは、どこまでそれを磨いていけるか、だと思います。
※山本選手の写真は、2024テレビ信州杯のもの。