「Kanzaki2018」夢の再演!~神埼新体操クラブ演技会
6月3日、神埼清明高校の練習場で「神埼新体操クラブ演技会」が行われた。
今年3月の高校選抜でも優勝し、3連覇を達成。今年の夏は、2018年以来となるインターハイでの団体優勝を目指す神埼清明高校や、すでに何回も全日本ジュニアチャンピオンとなっている神埼ジュニア新体操クラブ、昨年は初出場ながら全日本ジュニアで好成績を収めた佐賀ジュニアなど、そうそうたる出演者による演技会はおおいに盛り上がった。
中でも拍手喝采となったのが、神埼清明高校OBによる「2018年作品」の再演だった。
もっとも最近、神埼清明がインターハイで優勝したのがこの2018年であり、当時の3年生たちはこの春、大学を卒業した。
メンバーの一人だった松本健太氏は、青森大学を卒業後、シルク・ドゥ・ソレイユに入り現在はアメリカ在住のため、今回の演技は5人編成ではあったが、それでもその迫力ある演技は、観客を圧倒した。
今回のサプライズ演技が実現したのは、現在大学4年生の2人、太田悠介(青森大学)と乾蒼真(国士舘大学)が教育実習中だったからだ。
昨年まで青森大学で団体選手として活躍していた野口勇人は、今年から神埼清明高校で講師を務めており、2018メンバーのうちの3人が今、神埼清明高校にいた。
そこに地元で社会人として働いている石橋侑也(新体操、ダンスなどの指導)と八並剛(行政書士)が加わり、松本以外の5人が揃ったのだ。
「やろう」と決まったのは3日前のことだったというが、それでも、5年前いやというほど体にしみこませた演技は、彼らの体にも頭にも残っていたようだ。
とても5年ぶりとは思えないほどの息の合い方で、彼らはあのころのままに、いや部分的にはあのころを凌駕すらするような演技を見せてくれた。
演技後に石橋は、「体力は落ちているかもしれないけれど、見せ方、表現などはあのころよりもわかってきたような気がする」と言った。
現在は、新体操やダンスなどでも指導にあたることが多い石橋は、「外から見たらこう見えるということがわかってきたからからか思ったよりもよく動けました」と言う。
今は競技者ではなくなったかもしれないが、表現者としてはさらに成長を遂げたのだろう。
この日、用意された座席は超満員で多くの立ち見も出ていたが、ジュニアや高校生の保護者だけでなく、神埼清明の生徒たちもかなり多く見にきていた。
彼らにしてみれば、「教育実習にきている先生」と「いつも体育を教わっている先生」が、緑の衣装に身を包み、超人的な演技をするという貴重なものを見る機会になったのだ。
そりゃあ盛り上がらないわけはない。
神埼といえば、このバランスだが、その開脚度、美しさ、安定感ともになんら衰えを感じさせなかった。
現在の高校生たちも非常に美しいバランスを見せていたが、その伝統はここから始まったのだ、と思い出させてくれるバランスだった。
そして、多くの新体操人が「これはきつい」と評していたバランス直後のこの側倒も、あのころとなんら変わりなく彼らはやってのけたのだ。
3バックも、「どれだけ練習したんだろう」と思うほどの揃いっぷり。
そして、驚いたことに、空中でひねるときの高さもタイミングもぴったりなのだ。
3日前に「やろう」となったのだから、たくさん練習を重ねたわけではない。
ただ、5年たってもこれがすんなりとできるくらいに、彼らはこの演技をやり尽くしていたということなのだと思う。
2017、2018年は神埼清明高校がインターハイを連覇したが、とくに2018年の神埼はその強さがとてつもなかった。
本番の一本を見るときも、まったくハラハラしない。
「ノーミスで通るに決まっている」と思える安定感があり、そしてその通りになるのが2018年の神埼だった。
あれから5年が経った。
インターハイが中止になった2020年を含むこの4年間、じつは神埼は優勝できていない。
「今年こそは」という強い思いはこの演技会での高校生の演技からも感じられた。
そこに、この先輩たちの神演技である。「おれたちも」と奮い立たないわけはない。
今年の神埼清明は、いつも通り、いやそれ以上にきっと強い。
※この神演技の動画はこちら。⇒ https://www.youtube.com/watch?v=EjC35mnKKEc