「扉を開く」~神谷梨帆(ステップ愛知)

新体操フェスタ岐阜では、ジャパン出場権を懸けた男子の社会人大会、クラブ選手権でおおいに盛り上がったが、女子フロアで行われている「マスターズRGレディース」も素晴らしかった。

いわば「女子の社会人大会」という位置づけで、競技としての新体操に縛られず、新体操愛好家のための自由度の高い演技発表の場として、この「マスターズRGレディース」が誕生したのは2019年だった。コロナ禍の2年間を経た今大会は「質・量ともに」この大会の目指す姿におおいに近づいてきていることが感じられた。

その「マスターズ部門」で、今年も輝きを放っていたのがカテゴリー2で優勝した神谷梨帆(ステップ愛知)だ。

近年はフープを駆使してのパフォーマンスで様々なイベントでも活躍している神谷選手だが、この大会では本来の新体操の形を残しつつ、「パフォーマー」ならではの、エンターテインメント性の高い演技を見せてくれた。

フープとリボンの2種目に出場していたが、とくにリボンは、一篇の物語を見ているような印象的な作品だった。普通の競技作品であれば、もっと難度を入れなければ高得点にはならないのかもしれないが、この作品においての難度は、体も手具も物語を描き、感情を伝えるためのツールとしてのみ存在していた。もしかして、新体操って本来はこうだったのかもしれない、この演技を見ながらそう思った。

今大会のマスターズ部門では、こういった「新体操ってこれでいいんじゃない?」「むしろこれがいいんじゃない?」と感じる演技をたくさん見ることができた。

手具を扱い、音楽にのせて演技をする、ということはこんなにも素敵で可能性に満ちたものなのだ、と確信させてくれた。

そう思わせてくれたマスターズ出場者のみなさんには、感謝してもし足りないが、中でも神谷梨帆選手は、この新たな世界を牽引してくれているように感じる。新体操の指導者でもある神谷選手は、競技の世界のことも熟知している、その上で、「こんな新体操もいいんじゃない?」と自身の体を使って見せてくれる。

今大会では、なんと男子選手とのミックス団体にも出場して「男女ミックス団体」の可能性の扉をまたこじ開けてくれた。

いつもクールな印象の神谷選手だが、この数年、彼女が実践してきたことはじつに「熱い」。

きっと彼女は「誰かにために」やっている意識はないと思う。

しかし、間違いなく、彼女の後に道はできる、そう思う。

PHOTO:Ayako SHIMIZU      TEXT:Keiko SHIINA