映画「バクテン!!」公開へのカウントダウン企画㉛~2013佐藤三兄弟

映画「バクテン!!」公開前のカウントダウン企画は、これが最後! いよいよ明日は、公開日となる。

まだまだ取り上げきれていない選手、チームが多いが、「カウントダウン企画」としてのラストを飾るのはやはり彼ら。「バクテン!!」のアオ高のモデルでもある宮城県名取高校出身の佐藤綾人・颯人・嘉人の三兄弟だ。

ジュニア時代から全国レベルで活躍してきた3人は、2011~2013年と全日本ジュニアに揃って出場しているが彼ら地元である白石市の熱の入れようは凄まじかった。「広報しろいし」で毎年、男子新体操大特集。そして、2013年にはいつも大会取材、記事公開をしていた私たちGymloveに記事と写真の依頼があったのだ。

ただし、もう時効だと思うが「無料で」という依頼だった。無料で提供は当時もさんざんやっていたので(それで少しでも多くの人に男子新体操が知ってもらえるならよいと思っていたのだ)、そのこと自体は珍しくはなかったのだが、その量にはさすがに驚いた。「3人とも4種目分写真ありますか?」「団体もありますか?」「中田監督(当時青森大学)のプロフィールもお願いします」。それだけ佐藤兄弟や男子新体操を推してくれているんだな、と思うと嬉しくてもちろん提供させていただきました。

それが以下の記事。

こうして、あらゆる機会を捉えては、「男子新体操」をアピールし続けてきた。力不足なことも多かったけれど、それでも続けてきた年数、深さ(バカさ?)は自負してもいいと思っている。

そして、ついに男子新体操が映画になった! そんな歴史的瞬間に立ち会うことができてよかった。自分たちがやってきたことも、少し報われような気分を味わえた。

映画「バクテン!!」、どうか多くの人が観てくれますように。

そして、そこから男子新体操に興味をもってくれた人が、この1か月、上げ続けてきた記事にも触れてくれて、より深く男子新体操の沼にはまってくれたなら、最高に幸せだ。

3回の全日本ジュニアで見えた3人の成長、そして課題

(「広報しろいし」2013年12月掲載)


「白石に男子新体操をやっている三つ子の兄弟がいる」。
そんな噂を聞いて、色めきたったのは平成28年のことだったと思う。そして、その年の全日本ジュニアで、私は彼らを初めて見ることになった。なんと言っても、いくら三つ子とはいえ、あまりにもそっくりなことに驚いた。顔も体形も「うりふたつ(いや三つ)」なのだ。
この年の全日本ジュニアには30人の選手が出場していたが、そのうちの3人が同じ顔なのだから、見ているほうも混乱する。 演技順によっては、たった今、演技を終えた選手と同じ顔の選手がまた次に出てくる、といった状況になるのだから。観客はもちろん、もしかしたら審判も目を白黒させていたのではないだろうか。


この年、全国デビューを飾った「白石の三つ子=佐藤3兄弟」のインパクトは大きかった。 三つ子という話題性だけではなく、激戦区東北を勝ち抜いて全日本ジュニアに出てくるだけあって、 中学年生の時点で彼らはかなりうまかったから、なおさらだ。
初出場の全日本ジュニアでの成績は、5位綾人、10位嘉人、11位颯人だった。それぞれにちょこちょことミスもありながらのこの成績は、全日本デビューとしては上出来だろう。
彼らの演技は、中学1年生にしては、非常に見せる力をもっていた。それは、彼らの素質によるものもあるだろうが、指導にあたっている本多和宏氏の力に負うところも大きいのだろうと思う。自身国士舘大学の新体操選手として活躍していた本多氏は、現役時代から非常に魅力的な演技をする選手だった。いわゆる「センスがいい」のだ。本多氏が指導する選手、チームにはやはりその「本多イズム」が継承される。 創部2年で高校選抜大会团体準優勝(平成 20 年度)を成し遂げた聖和学園高校もそうだったし、この佐藤兄弟も例にもれない。


佐藤兄弟にとって2度目の全日本ジュニアとなった平成24年、キューブは、佐藤兄弟と高橋兄弟という「三つ子×2組」という奇跡の団体を送り込んできた。 中2と中3の6人で組んだこの団体は、体の大きさも揃っていて、構成も凝っていた。ジュニアチームとしてはかなり能力も高く、優勝も十分に狙えるチームだったと思う。しかし、結果は4位。 倒立でのミスが致命傷となった。
ただ、たとえ倒立でのミスがなかったとしても、優勝は難しかっただろうと思う。 キューブの演技はとにかく、動きが小刻みで、止まらない。曲に合っていてダンスのようなかっこよさはどのチームよりもあるのだが、そういう細かい動きでは、新体操で重視される「同調性」を見せることは難しい。動けば動くほど、ミスもでやすく、減点箇所も多くなってしまう。ただ、それだけに、キューブの演技はかっこいい! それは誰もが認めるところだと思う。

同じことは、佐藤兄弟の個人についても言える。 平成2年の全日本ジュニアでは、5位嘉人、6位綾人、7位颯人と3人で同じような順位となったが、このときは3人とも種目による得点の差が大きかった。いい種目では高い点数が出るが、ダメだとダメ。そろいもそろってそういうむらっ気のある選手だったのだ。それは、彼らの性格や資質による部分もあるには違いないが、おそらく彼らやキューブが目指している新体操にそういう傾向があるのではないかと思う。


平成25年、3回目になる全日本ジュニアで、綾人が2位になった。
この大会で彼は、初めて4種目をほぼノーミスでまとめ、すべて9点台にのせた。5位になった嘉人も、落下のあったスティック以外はよくまとめ、ロープでは9点台もマークした。颯人は、この大会ではミスが多く、10位で終わってしまったが、もっとも高い得点をあげたクラブだと9点近い点で、種目別で5位に入っている。
初めて見た2年前と比べると、体もぐっと大きくなり、筋力もついてきたのか、演技中のタンブリングも強くなり、迫力が出てきた。
出来によって試合での成績には差がつくことはあっても、今はまだ 3人の力は拮抗しており、兄弟で切磋琢磨できる環境にいると言えるだろう。
来年から、いよいよ高校生になる。せっかくの「白石の宝、宮城の宝」である。県内の高校に進学して、インターハイに宮城旋風を巻き起こしてほしいものだ。彼らには十分その力がある。そして、個人選手としては、個々の違いがもっと明確になっていったときに、どんな選手になるのか実に楽しみだ。顔も体もそっくりな3人だが、よく見ると選手としての個性や性格には違いがある。ただ、あまりにも外見が似ているため、個性が見過ごされやすい。それは、もったいないと思うのだ。 能力も魅力もある3人なのだから、これからは「三つ子」という括りを吹き飛ばすような個性を発揮してほしい。


誰よりもかっこいい
誰よりも美しい
誰よりも力強い
誰よりも巧い

なんでもいいのだ。3人それぞれが、自分の得意な部分で「ナンバーワン」を目指す。

そんな彼らを見ることができるなら、男子新体操は私にとってますます魅力的なスポーツになるに違いない。

【写真提供・清水さんからのメッセージ】

5月に東京体育館で行われた全日本ユースチャンピオンシップという大会では出場選手の多くが高校生の中、 3人そろって決勝に進出。 団体も4位に食い込むなど目覚ましい活躍を見せてくれた。 三つ子という話題性がとかく先行しがちと思われることも多いのではないかと思うが、着実に実績も重ねつつあって目の離せない選手、 チームであることは間違いない。 ユースから全日本ジュニアの数カ月でぐんと背も伸びたようだし、何より3人それぞれの個性が少しずつ顕著になってきたように思う。 新体操は表現力も重要な競技なので、 3人3様の個性あふれる演技を期待する。 まだまだ伸びしろもいっぱいの年代なのでこれからどのように成長するのかとても楽しみだ。

 

~映画『バクテン!!』いよいよ、明日(7/2)公開!~

※映画公式サイトはこちら。 ⇒ https://bakuten-movie.com/

PHOTO:Ayako SHIMIZU    TEXT :Keiko SHIINA