第50回東京女子体育大学新体操研究発表会に見えたもの①「技術は魅せる力に通ず!」

2021年12月24日、東京女子体育大学の発表会が行われた。

「観客100%収容可能」になったのが直前だったということもあり、さすがに満席とはいかなかったが、この発表会を楽しみにしている人たちの多さは十分に感じられる盛況ぶりだった。

そして、1時間30分ほどの短時間にぎゅっと集約されたこの発表会からは、今、東女がなにを大切にしているのか、が溢れて出ていた。

素晴らしい演目はたくさんあったのだが、ここではリボンの集団演技を取り上げる。

まあ、この演目、本当に素晴らしかった。

高いポールとリボンを組み合わせて、なにか強大なものを表現しているようにも見え、赤いリボンをもって踊る選手たちは、その強大なものに負けず、自らの力を赤いリボンに託し、全員の力を合わせて戦う戦士たちのようにも見えた。

しかも、その戦いは決して悲壮感に満ちているわけではなく、「自分たちの力を信じる」そんなポジティブさに溢れていた。

「なにがあっても、負けないよ」

「仲間がいるからあきらめないよ」

彼女たちのそんな声が聞こえてくるようだった。

今の大学生たちは、4年間の大学生活の中の2年間がコロナによる不自由さと共にあった。今年の東女には短大の卒業生もいたが、彼女の2年間はコロナとともに始まり、この日がラストステージだった。今年の1年生たちは、最後のインターハイに挑戦すらできなかった子たちだ。

この日までにあまりにもたくさんの苦難を乗り越えてきた、そんな72名が全員でリボンを持って「なにか」と戦っている。

それでも暗くなることなく、ときには笑顔を炸裂させて。

そうだ。

彼女たちは、この笑顔で、明るさで苦難をはねのけ、迷いも振り切り、乗り越えてきたんだ。

発表会のごく序盤で披露されたこの作品で、もう涙腺崩壊だった。

長く新体操を見ているが、現実の世界で様々な困難や悩みに見舞われても、結局、いつもこうやって新体操の「チカラ」に救われてきたな、そんな風に思った。

技術的にもこの作品には凄みがあった。

72名という部員数は、100人超えも珍しくなかったひと昔前よりは少ない。

それでも、フロアマット2面分の広さの代々木第二体育館で全員がリボンをもって踊るには多すぎる人数だ。

リボンという手具は、一人で踊ってもからんだり、結び目ができたりする難しい手具。

それを集団で、それもこれだけ距離の詰まった中で操るのは至難の業のはずだ。

どれだけ練習を重ね、練習では完璧になっていても、ほんの少しのコンディションの狂いで大惨事になるのがリボンだ。

それをこれだけの集団でやる勇気。

ここまで完成度を高めてきた執念ともいえるあきらめない気持ち。

その両方に圧倒された。

今の新体操は技術偏向で面白くない、魅力がないとよく言われる。

でも、集団でここまでの演技ができるのは、そんな非人道的とも思える技術偏向ルールに彼女たちが真摯に向き合い、ルールが求める技術を身につけるべく努力を重ねてきたからこそ、ではないかと感じた。

一見、「新体操の魅力を奪っている」ように見えた現行ルールがあったからこそ、こんなにも素晴らしい集団演技を私たちは見ることができたんじゃないか、そう思った。

D得点が青天井となった2018~2022年ルールには弊害もたしかにあった。

が、ルールを言い訳にせず努力を重ね、食らいついてきた人達は、想像以上の高みに達している。

この技術の高さは、この先の新体操をきっともっと面白くしてくれるに違いない。

そんな期待もこの作品からは感じられた。

※  ↓  東京女子体育大学新体操研究発表会ダイジェスト映像はこちら!

https://www.youtube.com/watch?v=-yiUfvtWTgw

1月下旬、DVDも販売予定! ダイジェスト映像の概要欄にDVD販売の問い合わせ先あり。

TEXT:Keiko SHIIINA      PHOTO:Ayako SHIMIZU