鹿児島実業高校(女子)が、サニックスCUP団体選手権「フープ✖5」で優勝!

2003年から福岡県宗像市のグローバルアリーナにて開催されている「サニックスCUP国際新体操団体選手権」が、昨年はコロナ禍のため中止されたが、今年は2年ぶりに開催されている。10年前からはブルガリアの名門クラブ・レフスキーも出場する国際大会として、九州の選手たちにとってはあこがれの大会となっている同大会だが、今年はまだ海外のチームの出場は見送り国内のみでの開催となった。

大会1日目には、チャイルド団体、ジュニア団体(ボール×5)、シニア団体(ボール×5)、シニア団体(フープ×5)が行われ、チャイルド団体、ジュニア団体は上位8チームが2日目に行われる決勝進出を決めた。

シニア団体は、予選なしの一発勝負となったが、東京女子体育大学、中村学園女子高校、佐賀女子高校など有力チームがずらりと出そろい熱戦を繰り広げた。そんな中で、来シーズンからの高体連種目「フープ×5」のみに出場していたのが、鹿児島実業高校だ。

鹿児島県は、現在、鹿児島純心女子高校が3年連続インターハイ出場。

今年も来週に控える全日本選手権にも出場するなど、高いチーム力を維持しているが、その純心の躍進の陰で鹿児島実業も、着々と力をつけてきており、今年はインターハイ予選では純心、国体予選では鹿児島実業が勝つという「戦国鹿児島」となっていた。

しかし、鹿児島実業にとっては久しぶりの全国の舞台となるはずだった三重国体は、直前になって中止。

インターハイ前に鹿児島実業男子の取材で鹿児島実業を訪ねたときも、国体に向けての練習をひたすら繰り返していた女子チームの姿を見てきただけに、あの中止後、彼女たちは頑張れているだろうか、と案じていた。

なので、今回、サニックスCUPの出場チームの中に鹿児島実業の名前を見たとき、本当に嬉しかったのだが、その演技は、期待を大きく上回る素晴らしさだった。作品は、国体に向けて練習していた「フープ&クラブ」をそのまま「フープ×5」にアレンジしたものだったが、あれだけ練習を積んできた作品だけに、ノーミスだっただけでなく、表情、動きなどじつに魅せるものがあり、10チーム中6番目の試技だったが、終わった瞬間「これは(1位)いけるのでは?」と思わせるパフォーマンスだった。鹿児島実業のキャプテン・山坂心乃選手は、ジュニア時代から全日本ジュニアでも活躍してきた能力の高い選手だが、個人演技ではやや無表情な印象があった。が、ついにチームの中心となった今回、その山坂選手も演技中に弾ける笑顔を見せ、曲を表現していた。

コロナ禍での2年間、苦しいことのほうが多かったのではないかと思うが、しっかり成長しているのだな、と感じさせてくれた。

そして、なんと。今回のチームには1年生が3人入っていたとのことだ。1週間前の鹿児島県新人戦では、場外2回のホロ苦デビューだったというが、わずか1週間で立て直してのノーミス演技。そして、優勝!

現在の1年生はおそらく、鹿児島国体(2020年の予定だったが2023年に延期)に向けての強化からは外れていた年代かと思うが、すぐ上のお姉さんたちの頑張りを間近に見て切磋琢磨してきた年代なのだろう。国体に向けての強化はやはり県に大きな力をもたらす、と鹿児島県の女子の今の充実ぶりを見ると、改めて感じずにはいられない。

そして、なによりも今年の国体に向けて頑張っていた3年生たちの無念も見てきた。そんな後輩たちが勝ち取った今回の金星だったと言えるだろう。

サニックスCUPでの鹿児島実業の健闘を受け、来週はきっと全日本選手権で鹿児島純心も「鹿児島力」を見せてくれるに違いない。

そして、来年は。。。

鹿児島女子から目が離せない。

TEXT&PHOTO:Keiko SHIINA  (2021鹿児島県予選にて撮影)  

<集合写真提供:鹿児島実業高校新体操部>