技満載!の演技の中にも「静寂」を見せた日女体大附二階堂高校の圧巻!~第36回全国高校選抜

2021年3月27日に行われた高校選抜女子団体競技はじつにハイレベルな戦いだった。

今のルールでの団体競技は、「どこまでやるのか?」と思うくらいに、技に次ぐ技。

それをやりこなす選手たちは、凄いとは思うが、凄すぎてややその作品の雰囲気、表現したいものを感じ取れる余裕があまりない。

しかし、それは現状の「Dスコア青天井ルール」である以上は仕方のないこと、と思っていた。

こうして「まるで別の競技かのように」移り変わるルールに対応できる選手たちに対しては称賛の思いしかない。

「昔の新体操はもっと芸術性が高かった」などと言う人もいるが、「昔の新体操で今の試合に出て誰か点数出してくれますか?」と言い返してやりたいと思う。

たしかに。

今の演技は、慌ただしくなりがちだ。その分、表現までは見せきれずに終えてしまう選手、チームも少なくはない。

だけど。

個人総合優勝の鈴木菜巴選手(須磨ノ浦高校)がそうだったように、その慌ただしさ、無機質さの一歩先まで努力し続けて突き抜ける選手も出てくる。団体で優勝した日女体大附二階堂高校の演技もそうだった。

高校選抜の団体試技順は、前年のインターハイの成績で上位のチームは後半になる(今回は2019年インターハイの結果に準じていた)。

二階堂高校は、2019年インターハイには出場していないので前半に出番が回ってきた。

それはいわば、過去実績から見れば、「優勝候補ではない」ということ、だ。

過去には、高校選抜でもインターハイでも優勝経験のある二階堂高校は、間違いなく「強豪校」だ。

しかし、驚くほど「強豪」感がない。おそらく、インターハイ常連校ではない、という事実が二階堂高校の謙虚さの根源にある。

今回も、「優勝してやる!」という意気込みよりも、久しぶりの全国大会出場でなんとか力を出し切りたい!

そんな思いで、大会に臨んでいたのではないかと感じた。

得点を見れば、D得点20.20は、2位の純心女子がマークした21.80に次いで2位のハイスコアだから、決して簡単な演技だったわけではない。

十二分に、技は入れ込まれていたとは思うが、二階堂の演技はそれでも、バタついて見えなかった。演技中盤まであまりにも盤石の演技なので思わず審判か? というくらい意地悪く、移動に注目して見ていたが、まあ、本当に移動しないのだ。個々の動きにも無駄がなく、近年の新体操の演技には珍しく「美しい」と感じる余裕が何回もあった。その象徴が、E得点5.55だ。これはE得点では2位の伊那西よりも0.75高く、D得点では二階堂を上回っていた純心女子との順位をひっくり返すだけの得点差をつけたのだ。

2位の純心女子、3位の伊那西をはじめ、今回の上位チームの演技は総じて素晴らしかった。練習時間、場所の確保にさえ苦労してきとは思えない演技の連発に、なんとまあ女子たちの強いことかと感心させられることしきりだった。

が、やはり高難度演技だけに、上位チームにもいくつかの綻びはあった。

二階堂高校にはそれがなかった。綻びがないだけでなく、これでもか! と揃えて見せる「二階堂の団体らしさ」を、今のこのルールの中でも死守した演技を全うした。その信念に満ちた演技が、彼女たちに優勝をもたらしたのだ。

勝つときの二階堂には、こういう強さがある。

激戦区・東京ゆえに当たり前のように出てこれるわけではない「全国」の舞台に姿を見せるときの二階堂は、いつも。

その舞台に向けてどれほど繊細で地道な準備をしてきたのかと感じる演技を見せてくれる。

だからこそ、その努力が実ったときの演技は、「優勝」にも相応しいのだ。

次はまたインターハイ出場を懸けた厳しい戦いが待っているが、今年の二階堂は「きそう!」。

そう印象づけた今大会だった。

TEXT:Keiko SHIINA      PHOTO:Ayako SHIMIZU