GA CUP MEN'S RG~男子新体操競演会2021②

2日目に行われた男子ジュニア個人(リング+ロープ)は、かなりハイレベルな戦いになった。

1種目目リングでは、2019年度全日本ジュニアチャンピオンの神山貴臣(国士舘ジュニアRG)が、風格を感じさせる演技で、15.050をマーク。

しかし、東凰雅(鹿実RG)が、美しい体操とキレのいいタンブリング、果敢な手具操作とマルチに高いレベルで揃った目の覚めるような演技を見せ、15.500と神山超えの高得点をたたきだす。

さらに、吉澤昴(別府RGみやび)も、中学1年生とは思えぬ成熟した表現力あふれる演技で、15.100。

神埼ジュニア新体操クラブの精神的支柱となってきた中3の浅田匠(神埼ジュニア新体操クラブ)は、今大会では団体には出場せず、ほぼジュニアのコーチのような役割を果たしてきた。おそらく彼にとってのジュニア最後の演技となるのは、今大会の個人種目だった。

そして、浅田は、1種目目のリングで、去年1年間、目指してきた大会がことごとくなくなってしまった彼の思いをぶつけるような素晴らしい演技を見せ、得点は、15.800。トップに躍り出た。

上位4選手が15点超えという素晴らしい戦いとなった個人ジュニアだが、問題は2種目のロープ。

男子選手にとっては鬼門とも言える種目、どの大会でもミスが多くなりがちな種目だ。

 

ロープでは、浅田選手が一番最初に登場。

ドラマチックな曲に負けない強さを感じさせる演技だったが、細かいミスはいくらか出てしまい、13.250。ほぼノーミスだったリングと比べると実施点が2点ほど低くそれが大きく響いてしまった。

神山選手も、投げが狂ったのかキャッチの前に待ってしまったところもあり、演技後半失速気味の演技となってしまった。ロープ扱いは他選手に比べて卓越したものを感じさせたが、それだけにもたついてきたときに落差が目立ってしまい、14.550。7.800という構成点の高さで、浅田選手を逆転することには成功したが、実施点はやはりリングよりも1点低かった。

東選手も、ラスト近くでロープの扱いにもたつきは見えた。が、全般的にロープの張りがよく、動きながらのロープ操作には目を見張るものがあり、大きなミスをうまく回避して演技をまとめ、スピード感が落ちることがなかった。「これは!」と、見ているほうにも手応えを感じさせる演技で15.700。実施点はリングの8.000よりは低い7.550だったが、構成点が8.150と抜きんでており、この時点でトップに躍り出た。

2020年度は全日本ジュニアが中止になってしまったため、じつは東選手はいまだ、全日本ジュニアに出場経験がない(2019年は惜しくも出場を逃している)。いわば全国的には無名と言っていい選手だ。が、その選手が、ほぼ表舞台に出ることのできなかった昨年1年間を驚くほど有効に使ってきたことが感じられた。2年前に鹿児島実業の体育館で練習を見たときは、線の美しさでは目を引く選手ではあった。が、ここまで全方位方に力をつけてくるとは驚きだ。2021年度、無事、全日本ジュニアが開催されれば、おそらくそこで衝撃デビューを見せてくれるだろう。

優勝を争う選手の中で最後の登場となった吉澤選手も、1年生で日頃はマットのある環境で練習できてないことを思えば、「よくぞここまで」と思える演技は見せた。が、やはり難関のロープとあって、細かいミスは散見され、演技終了後は足を傷めたような様子も見られた。万全の演技ではなかったのだろうが、それでも12.900と踏みとどまった。ミスの分、得点はリングほど伸びなかったが、ロープではリングとはまったく違う雰囲気でかっこよく、クールに演じきり、表現者としてのポテンシャルの高さは存分に感じられた。おそるべし中学1年生! 小学生のころから九州小学生大会では優勝するなど実績を残してきた選手ではあるが、徒手だけでなく手具をもっても、これだけ「魅せる演技」ができるというのは、間違いなく逸材だ。練習環境は厳しいとは聞くが、焦らず、くさらず先で大きな花を咲かせてほしい選手だ。

神山選手、浅田選手は中学3年生のため、ジュニアとしては最後の大会になったと思うが、彼らが抜けてもまだ下に新しい力が伸びてきていることが感じられ、明るい未来を感じられる大会だった。

※本大会は審判の密を避けるため構成3名、実施3名の6審制をとっているため、得点はあくまでも参考記録。

TEXT & PHOTO:Keiko SHIINA