第73回全日本新体操選手権~女子団体総合レポート①

本日、15時からスカイAで再放送される「第73回全日本新体操選手権(女子団体)」の上位チームの演技を振り返ってみよう。

優勝した日本女子体育大学は、1種目目「ボール×5」で、荘厳な美しさ、隙のない同調性が際立つ演技を見せた。

躊躇のない実施、動きの連続性の流暢さ、また多彩な隊形変化も流れるように行われ、いつの間にか変わっている。まさに手練れの演技だった。

「ボール×5」の試技順は3番目だったが、いきなり29.000の高得点をたたきだし、後続のチームにおおいにプレッシャーをかけた。

 

「ボール×5」で、日女に続く25.450をマークしたのは試技順11番目で登場した武庫川女子大学。武庫女らしい個性的なステップが印象的な作品を魅力的に踊り上げ、完成度も高かったが、中盤の交換でボールをこぼす場面があったのだけが惜しかった。

そして、25.300をマークし「ボール×5」の3位に入ったのは、試技順1番で演技を終えていた昭和学院高校/Dream☆Interだった。競技開始直後という緊張を強いられる出番ながら、じつに丁寧で精度の高い演技で、とくに身体難度の美しさはため息ものだった。

 

午後に行われた「フープ&クラブ」では、試技順3番の国士舘大学が、4位となった「ボール×5」に続き、ミスを最小限に抑えながら、「紫の炎(Burn)」というディープ・パープルの名曲ロックを勢いよく踊りきり、25.500を出した。これで他のチームの出来によっては、団体総合での国士舘の表彰台のりの可能性も出てきた。

 

が、6番目に登場した常葉大常葉高校/静岡RGが、その夢を砕く。「ボール×5」では、5位につけていた常葉だが、インターハイ種目でもあったこの「フープ&クラブ」は、「カルミナ・ブラーナ」の荘厳な曲に負けない格調高い演技で、多彩な技が隙間なく入れ込まれているにも関わらず、あわただしさを感じさせない安定感があった。この演技で26.150点を獲得した常葉は、総合で国士舘を上回り、暫定首位となる。2020年はインターハイが中止になってしまったが、開催されていれば連覇もあった! と思える演技だった。

常葉の次・7番目に登場した日本女子体育大学の「フープ&クラブ」は、ほぼパーフェクトだった。全日本インカレではこちらの種目でやや乱れがあったが、見事に修正してきた。得点は28.400。団体総合優勝をほぼ各敵的にする得点だった。

 

 

武庫川女子は、14番目に登場し、こちらもわずかな移動はあったように見えたが、大きなミスはなく、日女に迫る演技を見せたが、25.650で日女には及ばず。それでも、2種目とも完成度の高い演技を揃え、常葉を逆転し準優勝となった。

団体総合の最終順位は、優勝が日本女子体育大学、2位に武庫川女子大学、3位に常葉大常葉高校/静岡RG。

4位には国士舘大学が入り、5位に「ボール×5」の貯金が生きた昭和学院高校/Dream☆Interが入った。

 

通常のシーズンであれば、女子のチームの大半は、3月には(ときには1月のテレビ信州杯のことも)そのシーズンの演技を完成させ、春から夏にかけて数多くの試合をこなすなかで、ときには修正を加えつつ、演技の精度を上げていく。

近年は10月に行われている全日本選手権はいわばその集大成の演技を発表する場となる。

が、今年はなにもかもが違っていた。大学生の多くは、10月の全日本インカレが初試合だった。

高校生も10月のクラブ団体選手権が初試合だったチームが多い。あっても県内での代替大会程度だったろう。

そんな中で例年とおりに、「全日本選手権出場に相応しい演技」を作り上げることには、どれほどの苦労があったと思う。

しかも、例年とは比較にならないくらい練習時間や環境にも大きな制限がかかる中でだ。

目の前にあったはずの大会が次々に中止、延期になる中でのモチベーション維持もどんなに大変だったろうと思う。

が、そんな中でも、2020年の全日本選手権が例年に比べて極端にレベルが下がったということはなかった。

不思議なくらいそれはなかった。

もちろん、それぞれのチーム、選手たちには「もっと練習できていれば」という悔いが残ったかもしれない。

が、それでも。

かつて誰も経験がしたことのない苦境の中での演技としては、どのチームも十分すぎる出来だったと思う。

どんな悪条件でも、目の前に大会がなくても、やるべきことをしっかりとやり続けることができる。

そんな新体操人たちの強さと勤勉さが、誇らしく、愛おしく、2020年の全日本選手権は、私にとって忘れられない大会となった。

※「第73回全日本新体操選手権(女子団体)」は、本日15時~ スカイAで再放送! ぜひご覧ください。

PHOTO:Ayako SHIMIZU       TEXT:Keiko SHIINA