2019南九州インターハイ男子団体準優勝/青森山田高校(青森県)

今大会、青森山田の試技順は、男子団体のトリだった。

青森山田の荒川監督にとっては、初の「トリ」ということで、試技順が決まったときから、かなりテンションが上がっていたようだった。

一方で、今までに経験したことのない緊張も感じると漏らしていた。

それで思い出したのが、2011年。地元青森開催だったインターハイだ。

東日本大震災からわずか5か月後に行われたこの大会では、東北勢には「復興に向けての力になる」という命題もあり、ましてや

地元の強豪校・青森山田には「優勝」が宿命づけられていた。

この年も、5月の全日本団体選手権では優勝しており、優勝する力は十分にあるチームだったからなおさらだった。

しかし、この年は本番で、ミスが出てしまい2位。

このとき、荒川監督は、「地元開催で自分が緊張してしまっていた。自分の緊張が選手に伝わり、ミスをさせてしまった」と、

おおいに反省していたのだった。

ある意味、待ちに待った、待望の「トリ」だ。監督が張り切りすぎて、緊張しすぎなければよいが、と思っていた。

 

果たして本番の演技は。

2011年とはまったく違った。「トリ」という緊張を彼らは楽しんでいるかのようだった。

おそらく、監督も、だろう。

井原が凄まじい演技をして首位に躍り出て、神埼清明も青森山田の目の前で、ほぼ完璧なパフォーマンスを見せた。

「さあ、こい!」と言われているような場面でフロアマットに上がる。

観客も、「いよいよ青森山田だ、これで優勝が決まる」とワクワクし、まさに手に汗握って見つめている。

その緊迫した、そしてめったにない場面を、楽しめるところまで、このチームと監督は成熟していた、ように感じた。

「全方位的な強さ」では、高校3冠を達成してもおかしくない、と思わせるハイレベルなチームだった。

しかし、そのすべての要素が強いというバランスのよさが、今回に関しては、井原高校に上にいかれる要因になったようにも思う。

インターハイという年に1回の大勝負では、「圧倒的な強さ」か、「突き抜けたインパクト」。

そのどちらをもったチームが勝つことが多いような気がする。

青森山田の演技は、あまりにもそつがない。完成度が高い。実施も強い。

ある意味、それが「当たり前」になってしまっているところが、こと、勝負の面では不利に働いたのではないか。

そんな気がしてしまった。

優勝はできなかった。「3冠」には届かなかった。

それでも、今年の青森山田の演技は、間違いなく強く、美しく、かっこよかった。

このところ、比較的オーソドックスな構成で地力の強さを見せてきた青森山田だが、今回の作品は久々にややダンス寄り、だったように思う。

それはおそらく、そういった斬新な動きや振りと、強いタンブリングを両立して見せられるチーム力があることへの自信の表れではなかったか。

そして、たしかに、それを違和感なく見せる、魅力に昇華させる力を今年の青森山田はもっていた。

 

このチーム、この演技で優勝できなかった。

それは、それだけ2019年のインターハイが、熱くハイレベルだったということを物語っている。

「3冠」への挑戦は、また仕切り直しになるが、次にはより進化した青森山田が見られるに違いない。

PHOTO:Ayako SHIMIZU    TEXT:Keiko SHIINA