「初めての頂」~飯田由香(クラーク国際千葉)

全国大会では初の優勝だった。

「高校選抜は去年が2位だったので、優勝したい気持ちは強かった。」と、競技後のインタビューでも語った飯田。

2018年はアジア新体操選手権、アジア選手権ともに日本代表として出場。

ユースチャンピオンシップ3位、全日本選手権5位と着実に歩みを進めてきた。

しかし、なにしろ激戦区千葉、ライバルひしめくイオンの選手だ。

なかなか「一番」にはなれなかった。

昨年の高校選抜を制したのはイオンの大岩千未来。

今年は特別強化選手になった大岩は抜けたが、やはりイオン期待の山田愛乃が1学年下にいた。

昨年のユースでは山田は飯田より上の2位、全日本では山田が8位、飯田が5位で1勝1敗。

「また2番かも」という状況にはあった。

しかし、状況がどうであれ、「優勝したい!」という強い思いを飯田は持っていた。

「練習のときから、優勝したい気持ちが強すぎて、張り切り過ぎてうまくいかないことも多かった」と苦笑いするくらいに、「優勝したい!」という思いにしっかり彼女は向き合っていたのだ。

有力選手がひしめくイオンの中では、飯田は「遅れてきた」存在だった。

神奈川県のクラブからイオンに移籍したのは中1のとき。それより前から誘いはあったが、覚悟が決まらなかったという逸材が、「やってみよう!」と意思を固めたのがそのタイミングなのだ。

ジュニア時代の飯田は、「イオンの末っ子」的な存在で、とにかく自分にできることを精一杯やっていればそれでよし、という選手に見えた。

何位だったとか、勝った負けた、にはそれほどこだわっていないように見えていた。

 

それが昨年の代表決定戦のとき、際どい勝負を勝ち抜き、代表の座を手に入れると、インタビューで「絶対代表になりたかった」と言ったので、少し驚いたことを覚えている。

シニア選手としては初の代表入り。「入れるとは思っていませんでした。」という答えが返ってくるかと勝手に予想していたのだ。

しかし、1年前の彼女も「代表になりたい!」という思いにしっかり向き合い、隠そうともしていなかった。

そして、今回も。

「優勝したかった!」と飯田は言った。

「無欲の勝利」なんて言わなかった。

ふんわりした天然系、に見えていたが、この選手のこのまっすぐな強さは、アスリートしての素晴らしい資質だ。

「大器晩成」

そんな言葉が浮かぶ。

おそらく、飯田由香は、やっと「いるべき場所」に向けてのスタートラインについたに過ぎない。

身体能力だけでなく、見た目以上に強靭なメンタルも併せもっているところも見えてきた。

常套句ではなく、まさに「これからが楽しみ」な逸材だ。

PHOTO:Ayako SHIMIZU      TEXT:Keiko SHIINA