猪又涼子(日本女子体育大学/ポーラ☆スターRG)~第71回全日本新体操選手権

本日、発表会が行われる日本女子体育大学のエース。

今となっては、その正確かつ、フロアいっぱいに駆け回るエネルギーあふれる演技が代名詞の選手だが、

なによりも魅力なのは、彼女が常に「努力で壁を突き破っていく姿」を見せてくれることだと思う。

 

猪又涼子。

チャイルドやジュニアのころから、繊細で表現力豊かな演技には定評のある選手だった。

忘れられないのが、彼女のジュニア時代のボールの演技だ。

今大会、男子で栗山巧選手が使っていたニーノ・ロータの「ロミオとジュリエット」。

あの曲を使った演技だ。たしかジュニア最後のほうでの演技だったと思うのだが、あのとき、本当に会場が

水をうったように静まり返ったのを覚えている。

あまりにも美しく、可憐ではかなげで、そして、今よりももっと小さかった猪又涼子だったが

観客の心をこんなにもわしづかみにする力をもった選手なのだ、とあのとき私は思い知らされたのだ。

 

しかし、この今でも記憶に残る名演技でも、彼女は演技終盤でミスをした。

どんなミスだったかは覚えていないが、そこまでがあまりにも完璧でその世界に浸らせてくれていただけに、

「あららら」と突然、現実に引き戻されたことをはっきりと覚えている。

そう。

あのころは、「素敵だけど、肝心なところミスする惜しい選手」だったのだ。

美しさや可憐さはあるけれど、力強さや迫力、ダイナミックさにも欠ける選手だった。

ましてや、手具操作は決して目立ってうまいほうには見えていなかった。

6年後に、今のように貫禄と迫力あふれる演技をする選手になるとは、期待はしても予想はできなかった。

ところが、彼女は、見るたびに1ミリずつでも進化することをやめなかった。

 

その結果が、特別強化選手である喜田純鈴も出場した今大会で、個人総合3位。

猪又涼子は、ここまできた。

決して恵まれたものばかりではない選手だと思う。足りないものも、苦手なこともたくさんあった選手だったはずだ。

それが、ここまできた。

そのあきらめない姿勢に、たゆまぬ努力に、見ている者は心うたれるのだと思う。

そして、彼女がよい演技をしたとき、よい結果に恵まれたとき、心から「よかった」と思えるのだ。

【猪又涼子選手大会後コメント】

「全日本を振り返って、今、嬉しさの反面、悔しさもあります。

 総合の表彰台にのれたことは自分の自信になりましたし、来シーズンに繋がる良い結果だったと思います。
 が、ミスもあったので、4種目やり切れたら良かったな、と思います。
 1番の反省はミスが出たこともそうですが、あと一歩ここが出来れば、というところがあったこと。
 そこには悔しさもあります。

 自分の強みは4種目やり切れる気持ちの強さだと思います。
 全日本でも、ミスが出てもすぐに気持ちの切り替えが出来たのは良かったと思います。
 こういう自分になったのは、高校(伊那西高校)で団体と個人を並行してやってきて“自分だけが大変じゃない”ということを知ったから。

 今回は、団体でその高校の後輩たちが頑張ってくれたことも嬉しかったです。

 来シーズンは4年生になってひとつひとつの試合が最後になっていくので、きっと振り返るといろんな思いが出てくると思うんですが、

 何よりも常に感謝の気持ちをもって“自分らしさ”を忘れないで頑張りたいと思います。」

 

※猪又選手も出演する日本女子体育大学の演技発表会が本日行われます!※

 当日券もわずかですがあります。ぜひお出かけください。

 

 PHOTO &INTERVIEW:Ayako SHIMIZU       TEXT:Keiko SHIINA