「それぞれの結実」~第73回国民体育大会

10月7~8日、サンドーム福井にて、第73回国民体育大会新体操競技が行われた。

初日の個人競技では、静岡県が1位。兵庫県が2位、香川県が3位で勝負を決める団体競技を迎えた。

 

個人競技首位の静岡県は、夏の高校総体で団体2位になっている城南静岡高校のメンバーを中心とした静岡選抜チームで挑んだが、昨年もほぼ同じメンバーで国体に出場している。昨年までは、城南静岡高校に団体を組めるだけの部員がおらず、城南静岡の選手たちにとっては、国体が大きな目標となっていたのだ。

2017年7月に、岐阜のOKBアリーナで練習する静岡選抜チームを見たことがあった。

このときも、非常に熱の入った練習ぶりで、そのころでもすでに高い完成度を見せてはいたが、彼女たちの目指すところにはまだまだ遠い、という状態だったようだ。様々な先生方の講評に熱心に耳を傾け、ひたすらに練習を繰り返す、彼女たちの姿からは、高校総体を目指せない静岡の選手たちの国体に懸ける思いの強さが感じられた。

結果、2017年の国体で静岡県は4位となった。団体のみの得点では6位。個人でのリードを守り切れず、団体で順位を下げてしまった。

しかし今回は違った。高校総体2位という実績による自信もあったのではないかと思うが、団体でも19.300という高得点で2位。

高校総体2位に満足することなく、暑い夏から気持ちを緩めることなく、国体に向けて練習を重ねてきたのだ、と感じさせる演技であり、結果だった。個人での貯金もあり、ついに静岡県が総合優勝を成し遂げた。

今年の静岡選抜チームの中心をなす奈良岡未森、大野明香音、鈴木萌悠らは、高校3年生。海野晴子、小澤萌子は2年生。おそらく小学生のころから、「2018高校総体」を意識して育成されてきた選手たちだろう。そして、その培ってきた力は、国体でもいかんなく発揮されたと言える。

地元で高校総体が行われる2018年に向けて、静岡県の強化に真摯に取り組んできた静岡県の新体操関係者、そしてもちろん選手たちの努力は、高校総体、そしてこの国体を通して大きな花を咲かせた。結果も素晴らしいが、県全体で取り組んできただろうここまでの経過こそが称賛に値すると思う。

 

また、個人では13位と振るわなかったが、団体で、20.100というハイスコアをマークし、団体1位。総合順位も一気に2位まで上げた東京都の頑張りにも感服した。大会会場で観戦していた人のSNSでも「東京都の団体が素晴らしかった」というコメントはいくつも見かけた。ミスがなかっただけではなく、おそらく選手たちの思いがその演技から伝わってくる、そんな演技だったのだ。

二階堂高校は、今年の3月の高校選抜には出場し8位だったが、激戦区東京の予選を勝ち抜くことができず、高校総体出場を逃している。

じつは、昨年も二階堂高校は、高校選抜では優勝していながら、高校総体には出場できず2年連続で苦杯をなめている。それでも、国体には東京都代表で出場し、総合優勝を成し遂げている。このときも、国体では見事、総合優勝し、地力を見せたが、今年も同じだった。

個人こそは苦戦しているが、団体は、「ここに懸けてきた!」ことがわかる、最高の1本が本番で出た。

それが実現できるだけの努力を彼女たちはずっと積んできたのだ。高校総体予選で負けたそのときからずっと。

そんな演技は、見る人の心をうつ。強い思いは伝わる、のだ。

 

もうひとつ、特筆しておきたいチームがある。

個人競技18位ながら、団体で18.050をマークして4位となり、総合順位を9位まで上げた岡山県だ。

高校総体では、団体10位の岡山県代表・岡山南高校の選手たちを主体とした岡山選抜チームは、1年生が中心の若いチームだが、

この選手たちは、ジュニア時代からきらり☆岡山新体操クラブで全日本ジュニアや全日本クラブ団体なども経験してきている。

2017年の全日本クラブ団体では19位、全日本ジュニアでは15位とまだ入賞圏内には届いていないが、いつもとてもていねいで美しい、そして華やかさのある演技を見せているチームで、期待値は高かった。今年は、クラブ団体にシニアで出場しており、11位。D得点は10.300をマークしながら、E得点が3.800と伸びなかったが、D得点で見れば表彰台にのれる可能性もあった。

それだけの力はつけてきていたチームなのだ。

この国体での団体4位は、決してフロックではない。まだ伸び盛りの1年生たちが、この先どこまで伸びていくのか楽しみなチームだ。

 

10月に行われる国体は、全日本選手権出場のない高校生たちにとっては最後の公式戦になる。

高校単独ではない選抜チームの場合も、「これが最後」の大会だ。

それぞれがこの1年、いやもしかしたら何年も前から、このチーム、この演技に懸けてきたものを出せる最後のチャンス。

順位はどうであれ、「やり切れた!」という思いで終わることができたチームは、見ている人も幸せな気持ちにしてくれる。ここに挙げたチームは間違いなく、多くの人たちを幸せにしたのだ。

※2018国民体育大会結果 ⇒ https://www.jpn-gym.or.jp/rhythmic/wp-content/uploads/sites/3/2018/05/18r_kok.pdf

TEXT:Keiko SHIINA

PHOTO:Ayako SHIMIZU(二階堂高校⇒2018高校選抜、岡山南高校⇒2018高校総体)

    Keiko SHIINA(静岡選抜⇒2017岐阜合宿)