第3回男子新体操クラブ選手権個人総合優勝/水戸舜也(KOKUSHIKAN RG)

今年で3回目となった男子新体操クラブ選手権は、この大会の転機となったように思う。

個人総合選手権を新設し、そこに全日本出場枠が「5」与えられたことによって、全日本インカレまでで

全日本出場権を得られなかった選手たちにとっては敗者復活戦的な位置づけの大会となり、クラブ対抗や種目別のみ

だった前回大会までに比べて、各段にレベルアップし、出場選手達の目の色が明らかに違っていた。

その結果、佐藤嘉人(TEAM BLUE)が個人総合2位、金田翼佐(TEAM BLUE)が7位、河野主尚(KOKUSHIKAN RG)が8位、河野純信(国士舘)が9位、浅尾素成(KOKUSHIKAN RG)が11位で全日本選手権への出場権を獲得した。

例年より熱さが増したこの大会で、初代の個人総合チャンピオンとなったのは、水戸舜也だった。

4種目すべてを16点台にのせ、4種目総合得点は、65.775。2位の佐藤とは0.05差という熾烈な戦いとなったが、

すでに全日本インカレで13位となり、全日本出場権をもった状態でこの大会に挑んだ水戸は、どこまでものびやかに、故郷である北海道でのこの大会を楽しんでいるようだった。そして、その心の余裕の分、佐藤との戦いに勝利したように思う。

大会後、水戸に話を聞くことができた。

「優勝は狙っていませんでした。ただ、地元・北海道での開催だったので、親や友達など多くの人に演技を見てもらえることが嬉しくて、喜んでもらえる演技をしたいと思っていました。

 そして、全日本選手権に向けて、勢いのつく演技をすることを目標にしていました。」

その目標は達成できたように見える。

「今まで全国大会を一度も見に来たことのない親が、来てくれたこともあって、本当に楽しくできました。

 今年の全日本には応援に来てくれる予定だったんですが、地震の影響もあり、見送ることになってしまったので、北海道で優勝を見せることができて本当によかったです。」

佐藤嘉人との僅差の勝負になって迎えた最終種目のクラブは、かなり緊張したのではないかと問うと、

「いいえ、自分は点数や順位をまったく見ないでやっていたので、そういう緊張はありませんでした。」

と即座に否定した。

すでに全日本出場権を手にして挑んだ今大会、水戸は、本心から順位は気にしていなかったのだ。

だからこそ、最終種目まで変に力むことなく、平常心でいつもとおりの演技をすることができた。

そして、そのことが勝利につながったのだった。

 

「今回は、4種目ともまあまあいい演技ができたと思いますし、結果もついてきましたが、動きはもっとつめることが

できたのではないかという反省もあります。手具操作は、うまくいっただけに、そこは悔いが残るところです。」

と、優勝してもなお、次への課題を口にした。

ひとつの勝利で満足するのではなく、この勝利がさらに「もっとうまくなりたい」という水戸の貪欲さを引き出したようだ。

「全日本選手権では、4種目ノーミスでまとめることが大事だとは思いますが、それ以上に、自分が国士舘に来て変わったところを見せられる演技をしたいと思っています。

 自分では、動きの質は高校時代とはかなり変わったと思っているので、そこが見ている人にも伝わるように演技したいです。」

 

 北海道出身。恵庭南高校の黄金時代を築いたメンバーの一人だった水戸は、高校時代から「じつは個人が強い」と仲間うちでも評判だった。

同級生には森多悠愛(現在、花園大学)がいて、大きな大会では森多のほうが上にいることが多かったが、地方での大会では水戸が勝つことも少なからずあったという。とくに手具操作のうまさや独創性は、当時の同級生からの評価も高かった。

 そんな水戸が、恵庭南の同級生の中ではただ一人、国士舘大学に進学してきた。そこには、国士舘大学OBで元全日本チャンピオンの斉藤剛大への深いリスペクトがあったからと聞いたことがある。

 ジュニアや高校時代、国士舘に練習に来たこともあった水戸は、現役当時の斉藤を間近で見ている。そして、その技術のすさまじさと、それを実現するために的確な努力を休むことなく継続する斉藤の姿を見ていたというのだ。

「凄い人だ、と思っていました」

と言う水戸は、その斉藤の後輩になった。今でも、ジュニアや高校生に指導している姿を見、自らも動いている姿を見ると、「指導者としても凄い」と思うようになったと言う。

水戸が、斉藤をリスペクトするのは、おそらくどちらかというと自分に似たタイプだからなのだろう。

スピード感やダイナミックさ、手具操作の巧みさはあるが、やや動きの面では粗がある。男子新体操独特の大きな深い動きや表現力勝負となると、少しばかり不利。

2人ともそんな選手だった。

しかし、斉藤が大学の4年間で、苦手分野にも果敢に取り組み、驚きの進化を遂げたように、水戸もまた着々と進化を続け、その演技は洗練されてきている。今回の優勝は、ここまでの彼の努力と成長に対するご褒美のようなものだと感じる。

そして、ここはまだゴールではない、のだ。

PHOTO:Ayako SHIMIZU       TEXT:Keiko SHIINA

※ 緊急告知 ※

水戸舜也選手も所属する国士舘大学男子新体操部が、「ZIP!」(日本テレビ系)に出演!

「DESHIIRI」のコーナーで、King & Princeのメンバーが男子新体操に挑戦します。

10月1~5日の5日間、7:35~7:40くらいに放送予定。 メインはもちろん、King & Princeですが、

見本などで国士舘メンバーも登場予定です。お見逃しなく!