2018九州高校総体の収穫③~植木温大(日出総合高校)

植木温大は、九州総体で個人総合7位だった。

決して上位ではない。が、彼より上にいる6人は、ジュニア時代から全日本ジュニアに出場した経験もあるキャリア組だ。

植木も、ジュニア時代から新体操はやっていたのではないかと思うが、激戦九州を勝ち抜いて全日本ジュニアまで駒を進めることはなかったのだろうと思う。その選手がここまで上がってきた。

 

彼を初めて見たのは高校1年生になった昨年の九州総体や全国高校総体だった。

そのときも決して上位ではなかった。ミスも少なくなかったと思う。

ただ、それでも、なぜか印象に残る選手だった。

まず、その癖のないのびやかな体操が目を引いた。

そして、なんと言っても、「新体操大好き!」なオーラが漂っていたのだ。

大分県は、2008年の国体開催地だった。奇しくもこの2008 年大会を最後に、男子新体操は国体での競技を休止。

国体強化としてこのときの大分県は男子新体操にも力を入れていたらしく、のちに大学で活躍する菅、古田、小谷ら有望な選手たちが育っていた。

国体でも個人(4選手が1種目ずつ演技をした合計点で競う)では3位、団体でも4位となっており、総合3位で見事入賞。開催地の意地を見せた。

が、近年は、なかなか団体も組めない苦しい状況が続いている。

 

それでも、学校再編で校名が日出総合高校に変わっても、たとえ個人選手だけになっても九州総体への出場は途切れていない。

けれど、おそらく部員数も少なく、練習環境もままならないのではないかとは想像できる。

そんな中で育ってきたのではないかと思う、この選手の演技は、1年前に見たときから、「好きでやっている」感にあふれていた。

今の大分は、決して男子新体操が盛んなわけではない。が、この選手は、あの2008年にいた選手たちがもっていた輝きをどこか彷彿とさせるのだ。

正直に言えば、今、現在「うまい」わけではない。まだミスもなくなってはいないし、粗削りなところも多い。

ただ、「うまくなりたい」という気持ちが見える。「挑戦している」のもわかる。

この1年間で驚くほど伸びていた。変わっていた。環境がどうであれ、伸びていく力をもった選手なのだということを証明してくれた。

彼自身の新体操に対する思いも強いのだろうが、その彼を支える人達もまた、大分の男子新体操の火を絶やさないように

という熱い思いをもっているのだろう。植木の演技からは、そんなことも感じられた。

 

今年の九州総体で彼より上にいた6人のうち4人は3年生だった。

最終学年になる来年、久しぶりに大分県の選手が、九州のメダルを手にするかもしれない。そんな予感もある。

ぜひそこをめざして、もうひと伸びしてほしい選手だ。

 

TEXT  &  PHOTO:Keiko SHIINA