2018高校選抜の収穫⑨~二瓶 樹(会津学鳳高校)

「ああ、新体操続けてくれていた!」

ユースチャンピオンシップの試技順に、彼の名前を見つけたときに、まずはそれが嬉しかった。

福島県では伝統のあるクラブ「会津ジュニア」で男子新体操をやっていた選手だが、練習場所であった会津工業高校の新体操部がなくなるに伴い、練習を続けられるかどうか、という話を高校選抜で聞いた。

同じ福島県のクラブである華舞翔新体操倶楽部の山田監督が、「いつでも練習しにこいよ」と声をかけていたが、ただでさえ忙しい高校生。

果たして練習できているのだろうか。

新体操、やめてしまったかもしれないな。

そう思っていた。

ただ、それを「仕方ない」と思うには、高校選抜で見た彼の演技は、印象的だった。

熟練度の高い演技ではなかったかもしれない。高い得点は出ていなかったかもしれない。

が、新体操をとても大切にやってきたことが伝わってくる演技だった。

十分な環境はなかったかもしれないが、やれることを一生懸命に積んできたことがわかる演技だった。

そして、福島県こと会津の選手たちが昔から共通して持っている「表現力」が彼の演技からも感じられたのだ。

 

しかも、この高校選抜は、地元・福島県での開催であり、出場できたことがとても嬉しかったのだろう。

苦しい環境ながら、この舞台に立てたことへの感謝の思いもあったのだろう。

彼は演技中にとても幸せそうな顔をしていた。

「新体操が好きなんだ!」という思いがストレートに伝わってくる、そんな演技だった。

会津ジュニアには、彼の下にたくさんの子ども達がいたはずだ。

テレビ信州杯の男子キッズ選手権に、たくさんの選手たちが出ていたことを覚えている。

ちょうどこの二瓶選手の少し下の世代の子ども達だった。

会津ジュニアが練習場所を失った今(指導者も、だろうか)、あの子たちはどうしているのだろう。

それでも、先輩であるこの選手が、こうして新体操を続けていて、こうして大会で演技を見せてくれること。

その演技が、独特のきらめきをもっていること、はきっと彼らにとっても希望になるに違いない。

男子新体操において「会津」は特別な意味をもっている。

どういう形でもいい。「会津」の血が、継承されていくことを期待したい。

そして、二瓶選手がその牽引役となってくれることを、期待してしまう。

それほど、「また次の演技が見たいな」と思わせる選手であり、演技だった。

TEXT:Keiko SHIINA      PHOTO:Ayako SHIMIZU