激戦鹿児島を吉留大雅(鹿児島実業)が制す!~鹿児島県高校総体

5月18日、鹿児島県総合体育センター体育館において鹿児島県高校総体新体操個人競技が行われた。

注目は男子個人。今大会に3連覇がかかる吉留大雅(鹿児島実業)と、3月の高校選抜で6位となりすでに全日本選手権出場権を獲得している森園颯大(れいめい)、さらには、昨年高校総体に個人で出場している石牟禮華月(鹿児島実業)のハイレベルな三つ巴が予想された。

結果的には、吉留が1種目目のクラブはやや硬さがあったもののノーミスでしのぎ、トップに立つと、その余裕からかスティックでは、持ち前の動きののびやかさ、タンブリングの高さを存分に見せつける演技で、今大会唯一の17点台をマーク。昨年は、出場権を得ていながら、怪我で出場できなかった高校総体への出場を決めた。

終わってみれば、鹿児島県高校総体は3連覇となった吉留だが、昨年出られなかった全国高校総体への思いは強かったのだろう。また、身近で上達を見ていた石牟禮の追い上げ、高校選抜で結果を出している森園の勢いなどに対する、畏怖もあったのかもしれない。

スティックの演技をノーミスで終えたあとの、応援席に向かって見せたガッツポーズは力強く、晴れやかな笑顔だった。

2位には、石牟禮が入った。第1演技者となったクラブで、手具操作も体の動きも止まらないアグレッシブな演技を通し切り、もともとタンブリングは強かった選手が、「強くて巧い選手」であることを証明して見せた。今大会最初の演技となったこの石牟禮のクラブには、16.700の高得点が出て、その後の選手たちの得点も軒並み16点超えというハイレベルな戦いとなった。

2種目目のスティックは、1番演技者の吉留が17点台をマークしたため、石牟禮にとっては、吉留を逆転することはほぼ不可能と思われる展開となったが、3位の森園に対するリードは0.2という僅差だったため、森園より先に演技するスティックでミスはできない、という緊迫した状況だった。

しかし、石牟禮はこの状況でもメンタルの強さを発揮。まったく怖がることなく、自分の演技をやり切り、演技終了後には満足そうな笑顔が見えた。

得点は、16.700。最終演技者となった森園には十分なプレッシャーをかける得点だった。

森園も、「今年こそは高校総体に!」という思いは強かったと思う。それだけに緊張感も大きかったに違いないが、クラブ、そしてこのスティックでも大きく崩れることはなく、昨年や高校選抜と比べても、安定感ははるかに増した演技を見せた。

しかし、スティックの得点は、16.875。石牟禮との差を詰めたが、逆転には届かなかった。大きなミスはなかったが、途中でキャッチが両手になったところがあった。そういうわずかなミスが僅差の勝負では命取りになる。

非常に内容が濃く、難易度の高い演技構成を、緊張感の中で完璧にやり切ることは容易ではないと思うが、それでも、ここまで完成度を上げてこれたところに、この選手のたゆまぬ努力が感じられる。

ユースチャンピオンシップへの出場も予定しているようだが、「全日本の切符」がかかっていた昨年や、「高校総体の切符」がかかっていた今大会とは違い、すでに全日本出場権を獲得している今年の森園は、ユースでは思い切り「攻めの演技」ができるはずだ。

ミスを恐れず、「見せたい自分、見せたい演技」を、全身全霊で演じたときの森園颯大は、どうなるのか? そんな期待が膨らむ演技だった。

田窪莉久(れいめい)は、4位に終わった。しかし、クラブ16.000、スティック16.750。

パワフルで華のある演技、そして昨年よりも手具操作に格段の進境の見られるノーミス演技を2つ揃え、これだけの得点をあげながらも4位。

これが今の鹿児島だ。

田窪もユースへの出場を予定している。かねてより「素材としてはピカ一」と言われる大器が、いよいよその力を発揮しつつある、そのことをしっかり感じさせた今大会の田窪の演技だった。

PHOTO & TEXT:Keiko SHIINA