2018高校選抜の収穫⑥~井出口真子(須磨ノ浦高校)

高校選抜の個人総合は、1日で4種目を行うというかなりタイトな試合だ。

体力的にきついだけでなく、比較的短い時間の中で2種目を行い、しばらくインターバルをおいて、また2種目という進行になっているので、調整も難しい。

さらに、4種目での演じ分けをかなりはっきり見せないと、どれも同じ演技に見えてしまいがち、という難しさもある。

しかし、今大会では、この演じ分け、つまり表現力の面で、感心した選手が多かった。

2013年以降、新体操では芸術性がそれまで以上に重んじられるようになったが、今の高校生たちは、そのときまだ小学生だった。あのころ、小学生たちの演技は、劇的に「踊ること」「表現すること」を重視したものに変化したことを覚えている。

「少しくらいのミスはかわまないから、音楽を感じて、もっと踊る! もっと表情豊かに!」

と指導されているのだろう、と感じる演技が、あのころからぐっと増えたのだった。

新体操のごく入口のところから、「表現者たれ」と教えられてきたのが今の高校生たちだと思えば、納得もいく。

幼いころから、まだ演技も拙いころから、何かを表現しようとして新体操を続けてきた子ども達が今、高校生になり、美しい演技を美しく、楽しい演技は弾むように、荘厳な演技は胸に迫るように、踊っているのだな、と感じる。今大会ではそんな選手をたくさん見ることができた。

井出口真子もそんな選手のひとりだった。

もともと技術も表現も達者な選手ではあった。

が、ここにきて、その「伝える力」の伸びには目を見張るものがある。

前半種目のフープ、ボールは、非常に美しい曲で美しい演技。やや小柄でともすれば子どもっぽい印象にもなりがちな選手だが、前半種目での彼女は、本当に美しい、大人の演技を見せてくれた。

とくにボールは、白のレオタードそのままに、「白」のイメージを壊さないピュアな演技で、心にすっと沁みわたってきた。

それでいて、後半種目のクラブでは、安定したパンシェターンで技術のたしかさを見せつけ、さらに、最終種目のリボンでは、「カリンカ」を可憐に踊り切った。カリンカはチャイルドやジュニアではよく使われる曲だが、シニアになるとやや使いにくいように思うが、この曲と振り付けは、井出口のチャーミングな魅力を存分に引き出した。いや、彼女自身はそう演じるだけの力をつけていたのだ。

4種目それぞれに、まったく違う表情を見せ、それぞれの曲のイメージに溶け込むような演技。持ち合わせた素質もあるのだろうが、それ以上に、「目指してきた」ことが実ってきたのだと思う。

うまくいかないときも、評価が伴わないときも、自分がやりたい演技、自分がなりたい選手像に向かって進み続けてきたのだと感じる演技だった。

ジュニアのころから、よく見てきた選手が、こうして花開く瞬間を見ることができるのは、本当に幸せなことだ。

そして、この先もこの選手がどう成長していくのだろうと、いちだんと楽しみになった。

TEXT:Keiko SHIINA       PHOTO:Ayako SHIMIZU