2018高校選抜の収穫⑤~激戦区千葉の底力を見せた八千代松陰

この週末に、「世界選手権・アジア競技大会代表選考会」が行われ、日本代表選手が選出された。

選ばれたのは、大岩千未来、河崎羽珠愛、柴山瑠莉子、飯田由香。この4人に共通しているのは、イオン所属であること。つまり、千葉県の選手だということだ。

大会日程が許す限りは、これらの選手は、千葉県の高校の選手として(河崎以外は高校生のため)県内の大会にも出場している。その結果、千葉県の強豪校でも、高校総体や高校選抜の個人競技に出場することがなかなか難しくなっている。

しかし、それほど強いだけに前年度成績で出場枠が増減する高校選抜には、今年は、千葉県の選手、高校がかなり多く出場していた。

個人は、大岩、飯田、そして石井陽向(昭和学院高校)。棄権にはなったが柴山も出場権を得ていた。

24名の個人選手のうち4人が千葉県勢。そして、その選手たちがそろって上位に入っている(1位・大岩、2位・飯田、3位・石井)。

さらに、団体でも、高校総体常連の昭和学院だけでなく、八千代松陰も出場。

そして、昭和学院は2位、さらに八千代松陰も4位という強さを見せた。

今の千葉は本当に強い。決して、イオン頼みというわけではなく、イオン勢の壁が厚いだけに、他のクラブ、学校、選手、それぞれが向上しなければ、道が拓けない。そんな厳しい環境が、千葉県の新体操を強くしている、と感じずにはいられない。

とくに今回、驚いたのが八千代松陰だった。

演技の出来としては、完璧とは言えなかった。演技序盤に落下もあり、細かいミスもいくつかはあった。しかし、それが気にならないくらいに、訴えるもののある素晴らしい演技を彼女たちは見せてくれた。

強豪県・千葉のチームだけに、もちろん選手たちの能力も高い。

が、この日の八千代松陰の演技が秀でていたのは、その表現力、演技力だ。

かなり大人びた雰囲気の作品で、高校生が表現しきれるものだろうか? とも思ったが、彼女たちの演技からは、一人の女性の情感や、おそらく波乱万丈であっただろう人生、が感じられた。

その人生を経て、成熟していく女性の姿、が見えるような気がしたのだ。

強豪県・千葉。

こと、団体ではこのところ、ずっと高値安定の昭和学院がいる千葉県では、八千代松陰が高校総体に出られることはめったにない。そんな状況がずっと続けばおのずとモチベーションは下がっていくものだ。そうなれば、作品の質も落ち、「表現」どころではなくなる。

しかし、八千代松陰は違っていた。

たとえ「勝ち」にはなかなか届かなかったとしても、自分たちの演技を諦めることなく、磨き続けているのだとわかる演技を見せてくれた。

その姿勢があったからこそ、高校選抜では4位と、昭和学院に迫る成績をあげた。そして、その演技は強烈な印象を残したのだ。

高校総体には誰だって出たい。

しかし、高校総体がすべてではないのだ。「表現するスポーツ」新体操は、その演技を披露する場がある限り、見る人の心を動かせる可能性がある。そこに価値を見出すことができれば、いついかなる試合に対しても、全力を尽くせる。目指していた試合に進めなかったとしても、モチベーションを失うことはない。

今回の八千代松陰の演技を見て、そんなことを感じた。

全国には、力はあってもなかなか上の大会に進めない選手、チームはたくさんあると思う。

しかし、「次に進む」「上に進む」以外にも、新体操で目指すべきものはあるのだ。

そろそろ各県で、県総体が始まる。そこには悲喜こもごものドラマがあるだろうが、たとえ思うような結果を得られなかったとしても、悲観することなく、次に向かってほしいと切に思う。

PHOTO:Ayako SHIMIZU     TEXT:KeikoSHIINA