世界選手権&アジア競技大会日本代表、決定!

前半種目で大岩千未来(イオン)が、32.800をマークし、2位の河崎羽珠愛(イオン/早稲田大学)の31.000を1.800リードした時点で、1枠しかない世界選手権代表の座は、ほぼ大岩が手中にしていた。

そうなると俄然、3~4枠とされていたアジア競技大会の出場権争いが熾烈になってくる。

前半種目では、3位・柴山瑠莉子(イオン)、4位・飯田由香(イオン)、5位・猪又涼子(日本体育大学)と続いていた。アジア競技大会代表当確ラインである4位の飯田と、5位の猪又の得点差は、0.450。

落下があれば、大きな減点となる今年のルールだけに、代表の行方はまだわからない、そんな状況で2日目の1種目目・クラブの競技が始まった。

 

試技順2番で登場した猪又涼子が、まず先制パンチとも言うべき勢いのある演技を見せ、13.400をマーク。1つのミスも許されない状況にありながら、猪又の演技には躊躇がなく、代表入りへの強い思いが伝わってくる演技だった。

続く飯田由香は、この猪又の気迫に飲まれたかのように、どこか自信なさげな落ち着きを欠く演技で、12.750。この時点で、猪又41.750、飯田41.550となり、逆転。飯田は、猪又を0.200差で追うことになった。

さらに、試技順4番で登場した現・全日本チャンピオンの立澤孝菜(イオン/国士館大学)が、素晴らしい演技を見せ、16.250という突き抜けた高得点をマーク。前半種目ではミスが続き、13位という不本意な順に沈んでいた立澤だが、ここで意地を見せた。

大岩の次に世界選手権代表の座に近いところにいる河崎羽珠愛も、立澤に続き、ノーミスで演技を決めたいところだったが、やや力が入りすぎているのかミスが続き、13.900と点数を伸ばせず。

前半種目8位に終わっていた古井里奈(国士館大学)も、クラブでは素晴らしい演技で14.350をマーク。アジア新体操選手権代表はだてではないところを示した。

そして、12番目に登場したのが初日首位の大岩。

前半種目の勢いのまま逃げ切るかと思われたが、「暫定首位」が、プレッシャーとなったのか。クラブの落下や細かいミスを連発する。が、それでも14.600と河崎の得点を上回り、点差を2.500まで広げる。

試技順15番の柴山瑠莉子は、この種目、ミスが続き12.950と沈み、この時点で42.350。3位は死守したものの、4位に上がった猪又との得点差は、0.600につまった。

 

最終種目・リボン。

代表選手の行方が決まるこの種目は、ミスが起きやすい種目でもある。

 

試技順1番は、河崎。

クラブではややミスの目立つ演技になってしまったが、リボンはしっかりとまとめてきた。表示された得点は14.750。リボンとしてはかなり高い得点だ。この時点で、河崎のアジア競技大会代表入りはほぼ確定した。

8番目に登場した大岩のリボンは、見ているほうにも緊張感が伝わってくる演技だった。その緊張からかリボンに結び目ができたり、体にリボンがからまったり、というミスも見られた。ただ、以前とは違い、そのミスの処理が素早かった。そして集中力を切らさなかった。そこに大岩の成長が見てとれた。13.500に得点は踏みとどまり、この時点で河崎をかわし、大岩が1位となった。

アジア競技大会の代表は多くても4人。残り2つの座をかけて最後の戦いが始まった。

11番目に登場した柴山は、表情豊かにリボンの演技を踊り切る。やや手具操作に危ういところがありながらうまくカバーし、14.200。この時点で3位となり、リボンの点数が伸びにくいことを考えると、この時点で代表入りがほぼ確定した。3月の選考会では、脚の故障もあり思うような演技ができず、代表入りを逃した柴山のあきらめない気持ちが代表の座をたぐり寄せたのだ。

残り1枠は、猪又か飯田か。

まず猪又が演技を行った。演技序盤でリボンが体にからみつく、というミスが出てしまうが、そこを乗り切った後は、パワフルに踊り切り、演技後には笑顔も見えた。得点は13.400。続く飯田のリボンの得点が13.600以下なら、猪又が逃げ切り4位となる。

果たして飯田のリボンは、この追い込まれた状況で、見事なノーミス。13.800をたたき出し、猪又を再逆転。4位となり、アジア新体操選手権に続き、アジア競技大会の代表にも食い込んだ。

猪又にとっては、演技序盤のミスさえなければ、と悔やまずにはいらない結果となったが、最後の最後の究極にプレッシャーのかかる場面で力を出し切った飯田の成長には驚くしかない。

3月に行われたアジア新体操選手権代表選考会でも、飯田はきわどい勝負を制して代表の座を得ており、勝負強さや運も持っていると感じる。現在、急成長中でまだ守るものを持っていない、そんな勢いもある。

アジア新体操選手権、アジア競技大会と、国際大会を一気に2つも経験することになった飯田。この経験がさらなる飛躍につながりそうだ。

 

激戦の結果、世界選手権代表には大岩千未来。

アジア競技大会代表には大岩千未来、河崎羽珠愛、柴山瑠莉子、飯田由香が選出された。

日本が世界に誇れる美しい選手たちであり、個性のある選手たちだ。

8月のアジア競技大会、9月の世界選手権に向けて、どこまで完成度が上がっていくのか、楽しみにしておきたい。

 

REPORT & PHOTO:Ayako SHIMIZU     TEXT:Keiko SHIINA