2018高校選抜の収穫②~模索する「冷静と情熱のあいだ」

昨年、高校総体の東京都代表に初名乗りをあげるのではないか、と評判だった潤徳女子高校。

しかし、さすがの激戦区・東京の予選は甘くなかった。

潤徳女子の初出場どころか、選抜優勝校の二階堂高校も代表を逃すという大波乱。そして、その結果、高校総体出場を勝ち取った駒場学園は、見事に高校総体準優勝を勝ち取った。

おそらく、二階堂高校が出ていても、潤徳女子が出ていても、上位争いには絡んでいただろうと思わせる見事な演技を駒場学園が見せ、東京のレベルの高さを証明した。

さらに、潤徳女子の選手たちが所属しているクラブチーム「TESORO」は、8月に行われた全日本クラブ団体選手権で優勝し、全日本選手権への初出場を成し遂げた。高校総体出場より先に、全日本選手権出場が叶ったのだ。

初出場の全日本選手権でも、彼女たちの演技は堂々たるものだった。そして、「2018年こそは高校総体初出場もあるかも」と予感させるものだった。

その潤徳女子が、高校選抜に登場した。

試技順12番。すでに常葉大常葉、駒場学園、八千代松陰らが高得点を獲得していた。

潤徳より後には、伊那西、金蘭会、昭和学院ら強豪校もまだ控えている。

 

昨年の全日本クラブ団体選手権に続いて、一気に潤徳女子が上位に飛び込んでくるか否か。そんな緊張感のある場面だったが、演技が始まると、そんな緊張はみじんも感じられないパワフルでダイナミックな演技が繰り広げられた。

うまい! もちろん、うまい!

難しいことにも挑戦しているが、動きに躊躇が感じられない。

「思い切りのいい演技」とはよく使う言葉だが、これがまさにそうだ! と感じる踊りっぷりだった。

技術も能力も高いとは思う。

が、それだけではない。このチームはひとりひとりが持っている「熱量」が半端なかった。そして、その熱がひとつひとつの動きや表情からほとばしっていた。

「情熱」

としか言いようのない空気を彼女たちはまとっていた。

この熱はおそらく、フロアに立っている5人だけのものではない。

フロアの外で祈っている控え選手。見守っている監督。

さらに演技開始前に響き渡った応援の声を発していた、おそらくクラブの後輩たち。

みんなの思いを一身に受けて、それをエネルギーに変えて、彼女たちの演技は、まぶしいくらいに輝いていた。

午前中に演技を終えた駒場学園の演技も素晴らしかった。二階堂高校には今回はミスが出ていたが、決して悪い演技ではなかった。

「今年の東京も代表争いが大変だ・・・」

潤徳女子の演技を見ながら、そう思っていた。

そして、その厳しい代表争いを、潤徳女子が勝ち抜くことがあってもおかしくない、そう思わせる演技、を彼女たちは見せていた。

が、終盤でまさかのミスが出た。

落下、場外、手具交換もついた痛恨のミス。

おそらく熱量では、出場チーム随一くらいの演技であり、チームだった。

ある意味、その熱量が有り余ってしまってのミスだったようにも見えた。

結果は10位。

あのミスがなければ、と思うと残念な結果かもしれないが、「力がないわけではない」ことは十分証明できた演技ではなかったか。

この夏の高校総体に出場する東京都代表をめぐる争いに、潤徳女子は確実にからんでくるだろう。そして、そこで、今回のリベンジを果たすべく、彼女たちはまた明日から全力を尽くすに違いない。

今の「情熱」を損なうことなく、でも、勝利をとりこぼさないだけの「冷静さ」を身につけて。力を出し切ったときのこのチームの演技は、楽しみでしかない。

TEXT:Keiko SHIINA      PHOTO:Ayako SHIMIZU