2016高校選抜2日目団体競技

シーズンはじめの大会となる高校選抜は、インハイ時とはメンバーも大きく変わったチームも多く、演技の完成度をあげきれないままの試合になる年も少なくない。

しかし、今年は「フープ&クラブ」という手具での2シーズン目にあたったこともあり、作品は新しくなっていても手具操作、連係などがこなれているチームが多く、とくに上位はハイレベルな争いとなった。

 

その激戦を抜け出し、優勝したのは金蘭会高校(大阪府)だった。

D7.850+E7.800=15.450は、昨年の高校総体のときの伊那西高校の優勝スコア(15.416)を上回るハイスコア。

そのハイスコアを納得させるだけの演技を今大会での金蘭会高校は見せた。ここ数年、中学、高校ともに団体が強く、常に優勝争いにからんでいる金蘭会だが、意外にも高校選抜では初優勝だという。

今回の演技も、「金蘭会ならではの技のデパートぶり」で、2分30秒息つくひまもなく、クラブが飛び、フープが飛ぶ。まともに手で投げる場面などない。脚で投げる、背中で跳ね返す、などどの投げも交換も工夫がこらされており、はっとさせる。

そして、その高難度の演技を、ほぼ移動なしでやってのけるその精度の高さ。わずかなずれが生じても、伸びてキャッチしたり、ステップしながらキャッチするなど、ミスに見せないだけの巧みさもあり、まさに「水をも漏らさぬ演技」だった。

金蘭会は、昨年のインハイメンバーから1人しかメンバーが変わっていないとのことで、そういう点では恵まれていた、といえるが、それでもこれだけの内容をこの精度でやれるまでにはどれほどの練習量があったのか、と想像すると頭が下がる思いだ。

昨年の高校総体は大阪開催で、当然、地元優勝が期待されていただろうが、無念の4位。その大阪総体で優勝した伊那西の地元である長野での選抜優勝は、ややできすぎのドラマのようだが、現実にそれが起こるのがスポーツの妙味だ。

●女子団体優勝:金蘭会高校(大阪府)

 

男子団体では、上位チームにもいくつかのミスが出た。そんな中で、ノーミスで会心の演技を見せた小林秀峰高校(宮崎県)が2年ぶりの選抜優勝を飾った。

小林秀峰の得点は、「D9.400+E8.500=17.900」。この得点だけを聞けば、「男子の全国大会優勝の得点にしては低い」と思う人もいるだろう。

現に昨年の選抜で優勝したときの恵庭南高校は18.900、高校総体で優勝した青森山田高校の得点は、19.150と比べると、ぐっと低い。

しかし、これは今年の高校選抜のレベルが低かったというわけではない。高校生の大会では初めて新ルールが適応されたことによるものだ。

新ルールで行われた昨年のジャパンのとき、5位になった小林秀峰高校の決勝での得点は、17.975。それを思えば、きわめて妥当な得点だったように思う。

2位の青森山田高校(青森県)は、Dでは9.425と小林を上回っていたが、小林は8.500という高いE得点で青森山田を突き放した。

新ルールでの評価では、従来よりも減点を厳しくとるようになっているという。そのため、昨年までのように倒立が動くとか、タンブリングの着地のようなミスがなければ上位チームは軽々と実施9点台が出ていたのに比べてかなり得点は低くなる。

そこを理解しておく必要がある。ただ得点だけを見て「今年の高校選抜はレベルが低い」などと言わないことだ。

前日の公式練習でも、当日朝の公式練習でも、小林秀峰はいい状態だった。そして、本番でも演技が安定しているため、ひとつひとつの動きが大きく、力強く見えた。

そして、出場チーム中もっともリスクの高い組み技もしっかりと決め、強さを強烈に印象づけた。

高校選抜を前に、「自信がない」という言葉も聞かれたチームだが、いざふたを開けてみれば、その演技は堂々たるもので、強かった。

1週間前に足りなかったなにか、「自信」という最後のピースがはまり、小林秀峰は優勝した。2013、2014、そして今回と、小林秀峰の航行選抜での勝率はかなり高い。

今大会で得た「自信」を、夏の高校総体での8年ぶりの優勝へとステップボードにしたいものだ。

●男子団体優勝:小林秀峰高校(宮崎県)

PHOTO:Ayako SHIMIZU       TEXT:Keiko SHIINA